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「もったいない」を極める――エコネコルの選別技術が拓く資源循環の未来(前編)

2026/03/03 17:04
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「もったいない」を極める――エコネコルの選別技術が拓く資源循環の未来(前編)

2月16日、MIRU取材チームは2025年にエンビプログループ代表取締役に就任した佐野文勝氏にアポイントを取り、グループ会社である株式会社エコネコル(本社:静岡県富士宮市)を訪問した。本報は前編としてエコネコルの資源循環事業の進化や現在進めている取り組み、次報の後編ではリチウムイオン電池リサイクル事業とプラスチックリサイクル事業について紹介する

エコネコルの資源循環事業への進化

エコネコルは「もったいないを極める」をスローガンに掲げ、廃棄物を再生資源へと転換する資源循環事業を進めている。創業当初は鉄スクラップの回収・販売が中心であったが、資源循環の重要性が高まる中で、破砕・選別・濃縮といった中間処理機能を強化し、単なるスクラップ取扱業から資源再生を担う企業へと発展してきた。

エコネコルの強みは、物理選別機を巧妙に組み合わせて高精度な選別を可能にする工程設計やその運用力にある。この強みにより、従来は焼却や埋立処理されていた微細金属や混合素材といった難処理物からの有価資源回収を可能としている。エコネコルは単なるスクラップ処理として単一素材の回収をするだけでなく、廃棄物から可能な限り多くの資源を取り出す「資源回収のデパートのような」事業展開を進めることで、サーキュラーエコノミー社会の実現と資源循環ビジネスの進化を図っている。

これを実現するためには、廃棄物処理法に基づく中間処理業の許可とそれに対応する破砕・選別設備への投資が不可欠である。一方、古紙やくず鉄などの資源性の高い廃棄物については、「専ら物(もっぱらぶつ)」として扱われる制度が存在する。専ら物とは、古紙、くず鉄、空きびん、古繊維など、主にリサイクルを目的として流通する廃棄物であり、廃棄物処理法上の収集運搬業や処分業の許可、マニフェストの適用が不要とされる特例である。本来は資源循環を円滑にするための制度であり、リサイクルの促進に一定の役割を果たしてきた。

しかし、佐野氏は「リサイクル事業が一般化してきた現代社会において、この制度が必ずしも資源循環の高度化に資するものとはなっていない側面がある」と指摘。本来であれば中間処理によって不純物を除去して資源価値を高めることが望ましいが、専ら物として流通する場合には高度な選別を経ずに取引されるケースも多く、結果としてリサイクル業界全体の付加価値向上を妨げる要因にもなっているという。

エコネコルは専ら物の特例に依存するのではなく、自社で破砕から選別、濃縮までを担う中間処理機能を整備してきた。シュレッダーをはじめとする設備と選別技術を組み合わせることで、従来は回収されずに廃棄されていた微細金属や有価資源まで回収し、資源価値を最大化する体制を構築している。これは単なるスクラップ流通ではなく、資源の品質を高めて供給する「資源再生業」としての同社の特徴を示すものである。

資源循環の高度化と市場環境の変化

エコネコルは現在も鉄スクラップ事業を基盤としているが、その市場価格は国内メーカーの意向だけで決まるものではなく、海外市場の需給や価格動向の影響を強く受ける。国内メーカーが価格を据え置いたとしても、海外市場でより高値が提示されればスクラップは自然と高値の市場へ流れる。これは資源が経済原則に基づき最も価値の高い用途へ配分されるためであり、再生資源はすでにグローバル市場の中で評価される時代に入っている。国内で原料を安定的に確保するためには、国際市況に見合った価格での調達が不可欠であり、スクラップ事業者には単なる回収量だけでなく、より高品質な資源を供給する能力が求められている。

こうした市場環境の変化を踏まえ、エコネコルは従来の鉄スクラップ回収に加えて自動車破砕残さ(ASR)に含まれる微細金属の回収に注力している。ASRは使用済み自動車(ELV)を破砕した後に残る混合物であり、鉄やアルミのほか、銅、亜鉛、ステンレス、さらには電子基板由来の金銀材など多様な金属を含んでいる。これらは従来、回収が困難であったことから十分に資源化されず、埋立や焼却処理されることも多かったが、近年は資源価格の上昇と選別技術の進展により重要な資源として再評価されている。

エコネコルの廃棄物処理のフロー(画像は同社Webサイトより引用)


エコネコルではASRなどに含まれる金銀材を効率的に回収するため、複数の物理選別技術を段階的に組み合わせた処理工程を構築している。例えば、液体比重選別において比重約1.6の比重液に破砕物を投入し、プラスチックやマグネシウムなどの軽量物を浮上分離させる。その後、比重2.8〜2.9の比重液で再選別することでアルミニウムを回収する。ここで沈殿した亜鉛、ステンレス、真鍮、銅などの重金属は、渦電流選別機や色選別機によって材質ごとに分離され、最終的には人手による選別も組み合わせて不純物を除去する。こうして回収された高純度金属は再生原料として高付加価値で販売される。

特に銅系材料には電子部品由来の金銀材が微量ながら含まれており、選別と濃縮を重ねることで貴金属資源として回収することが可能となる。近年、金や銀は資源価格の高騰や供給不安を背景に経済価値が大きく高まっており、従来であれば回収コストに見合わなかった微細金属についても工程を増やして濃縮することで事業として成立する環境が整っている。エコネコルは破砕後の集じん工程や後段の選別工程を活用し、回収率よりも純度と濃縮度を重視した工程設計を行うことで金銀材を含む有価金属の回収を実現している。

同社の金銀材回収への取り組みは、現在の資源価格高騰を受けて始まったものではなく、10年以上前から選別技術の改良と回収体制の整備を継続してきた領域である。こうした長期的な技術蓄積が実を結び、近年の資源価格上昇を背景として事業としての収益性が顕在化しつつある。

エコネコルは廃棄物を単なる処理対象ではなく、有価資源の供給源としてこれまで培った破砕・選別技術を基盤に、廃棄物に含まれる微細金属まで回収することで資源価値の最大化を図っている。

現在、エコネコルは金銀材の回収、リチウムイオン電池リサイクル、プラスチックリサイクルを三本柱として事業を展開しており、廃棄物の再資源化を通じて新たな資源価値を創出する資源循環モデルの構築を進めている。廃棄物の中に埋もれた資源を回収するための技術開発と工程改善を継続し、10年後、20年後を見据えた新たな資源回収の可能性を切り拓くことが、同社の資源循環戦略の中核となっている。


 

富士工場の金属選別ラインは物理選別機をいくつも組み合わせ、廃棄物から金属を高純度に選別している


 

廃棄物から高精度に選別されたステンレス材

次回の「もったいない」を極める――エコネコルの選別技術が拓く資源循環の未来(後編)では、エコネコルの事業の三本の柱のうち、リチウムイオンバッテリーリサイクル事業、プラスチックリサイクル事業について紹介する。

 

 

(IRuniverse Midori Fushimi)

Midori Fushimi

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