鉄鋼会社 ArcelorMittal 社 Olaberria 工場にて
日本酸素ホールディングスグループの日本産業ガス事業会社である大陽日酸株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:永田研二)と、欧州産業ガス事業会社の NipponGases Euro-Holding S.L.U.(本社:スペイン マドリード、代表取締役社長:ラウル・ジュディチ、以下 NGE)は、11月12日、世界最大級の鉄鋼会社 ArcelorMittal,S.A.(本社:ルクセンブルク、以下、ArcelorMittal 社)の Olaberria 工場(スペイン)で、水素-酸素燃焼バーナ「Innova-JetHydrogen」を設置した鉄鋼加熱炉の実証試験に世界で初めて成功したと発表した。同社は、世界中の多くの工業炉から CO2排出量を削減するとともに、カーボンニュートラル社会の実現に貢献するために、今後も様々な工業炉向けの酸素燃焼技術の研究開発を進めていく。
1. 実証試験の概要
同社と NGE は Olaberria 工場のウォーキングビーム式鉄鋼加熱炉※1(図1)に対して「Innova-Jet Hydrogen」(図2)による実証試験を実施した。エンジニアリングを担うパートナーのSarralle 社(本社:スペイン)とともに、既設2基の天然ガス-空気燃焼バーナを「Innova-JetHydrogen」に置き換え、燃料も水電解装置で生産したグリーン水素を用いた。CO2削減率、加熱炉内温度分布、NOx 排出量は良好であることを実証できた。鉄鋼加熱炉は鉄鋼プラントにおいてエネルギーを大量に消費するシステム。工場で使用する燃料の約8割が鉄鋼加熱炉で使用される。この実証試験の成功は世界の CO2排出量の9%を占める鉄鋼分野において、脱炭素化を進める重要なステップになる。

2. 水素-酸素燃焼バーナ「Innova-Jet Hydrogen」の特徴
「Innova-Jet Hydrogen」は鉄鋼加熱炉での利用を想定し設計した、均一な温度分布と低 NOx排出量を提供できるバーナ。「Innova-Jet Hydrogen」は幅広いターンダウン比率※2に対応できる能力がある。支燃性ガスの条件として空気(酸素 21%)から純酸素(酸素 100%)までのすべての酸素濃度に対応が可能。また、燃料ガスについても、条件として天然ガス (水素0%)から純水素(水素 100%)までのすべての水素濃度について、使用が可能という優れた特徴を持つ。

図4:「Innova-Jet Hydrogen」の火炎
(燃料ガス:天然ガス 50%/水素 50%、支燃性ガス:酸素 100%)
※1:移動ビームが上下前後の運動を繰り返し、固定ビーム上の鋼片を搬送するシステムを採用している鉄鋼加熱炉
※2:安定な燃焼が可能な燃焼量の範囲
(IR universe rr)