11月17日に開催した住友金属鉱山は経営戦略説明会の続き。説明に使われた資料はこちら。

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<金属事業>(資料25ページ)g4
〇二次電池リサイクル、ニッケルマット生産
1つ目は、二次電池リサイクルプラント。いわゆる電池リサイクル。これは東予工場とニッケル工場にそれぞれ乾式と湿式の工程を分けて建設している。
同社の電池リサイクルのプラントは、乾式のプラントを持つことで原料の対応力が高いというのが特徴だが、右側の写真はこの東予工場側の乾式の建屋を建設しているところの写真。立ち上げは2026年中頃だが、足元は使用済みのLIBサイクルのサプライチェーンの構築やっている。EV市場の鈍化により原料出荷の難易度がアップしている。
かねてからパートナーシップを結んで注力しているが、地域型のEVサーキュラーエコノミーの協議会への参画、国内外のあらゆる原料を探しているというところ。
2つ目は、ニッケルマットの生産プラントは、宮崎県の日向製錬所作っており、2027年度に完成する予定。右側の写真は今から建設するところであるが、建設予定地の写真を示している。目的はニッケルの安定供給を実現するサプライチェーンの強化ということで、電気ニッケルの原料、主にニッケル工場になるが、ニッケルマットを新たに生産する。今のフェロニッケルを作っているので、それを原料として作るが、既存のプロセスを最大限利用して効率的なプロセスを構築していく。
〇ニッケル事業の競争力強化(同26ページ)
このグラフは、これから先5年に予想される世界のニッケルの需要だが、年間やはり4-5%程度伸びていくと考えている。これに対して、原料あるいは今製品の製造について色々進めており、1つ目はカルグーリー・ニッケル・プロジェクト、オーストラリアのブグーンガリー・ハブで、足元、DFSという実現可能性の調査を今進めているところ。以前説明した通り、ニッケルで年間3万と、コバルト2,000トンのものを40年間にわたり生産できるという有望なプロジェクト。
新規ニッケル原料の確保については、カナダのバプティストプロジェクトで、いわゆるアワルワ鉱という鉱石のFSを今実施しているとともに、その他の案件についてもスタディをしている。
既存製錬所は、日向製錬所は先ほど説明した通りで、ニッケル工場はマットの処理量がこれから増えていく予定。コーラルベのニッケルが次期中計30で一応操業が止まるという予定になっているので、これに代わってマットが増えるという予想になっている。そのマットを増えることに対応するようなシステム、あるいは稼働率を上げるために、DXだが、予知保全システムを導入して、設備が壊れる前に定修するというようなことも進めている。
THPALについては、従来通りだが、パートナーの新規鉱区開発を進めており安定供給について進めている。
<電池材料事業>(同27ページ)

〇新品種への対応
現行の主力製品であるNCAからHigh-Ni系NMC正極材への転換を進める。この2025年度上期の状況は、主力製品であるNCA正極材は、ユーザーの需要に応じた生産、販売を継続。その中で、新居浜工場、2系列あるが、そのうちの1系列はNCAを計画通り生産中。2系列目は、新品種でありますHigh-Ni系のNMCの量産立ち上げに向け、現在試験を進めている。
それから、新品種のHigh-Ni系NMCの正極材対応については、2026年度の販売開始に向けて、現在量産化のための設備改造等を進めている。また、このHigh-Ni系NMC正極材への転換に伴い工程の能力が下がるとことになるが、こちらの能力改善に向けた技術開発も並行して進めている。
また、今年の下期より、新居浜工場の建屋屋根の方に太陽光パネルの設置工事を始めており、下期中に完成の予定。
〇次世代技術への取り組み(同28ページ)
全固体電池は、液系のリチウムイオン電池に比べ、小型化・高入出力、長寿命、安全性など、次世代電池として期待されている電池。現在、量産化に向けて、トヨタ自動車様と共同開発契約を締結し、開発を加速させている。
次に、LFP正極材の開発については、新量産プロセス(固相法の確立に向け製品開発、技術開発を継続しており、ユーザーによる評価を現在行っている段階。
それから、開発基盤の強化ということで、電池研究所において現在第2開発棟を建設中だが、25年度の下期より稼働を開始して、次世代技術、それから次世代の製品開発に向けて開発を加速していく。
また、これと並行して、社内での正極材、電池セル評価体制を強化し、新しい製品開発に活かしていきたいと考えている。
<機能性材料事業>

〇次の成長に向けて(同29ページ)
既存製品の拡大もさることながら、成長を見込める分野と社会課題に寄与する分野で伸ばしていきたい。
まず、成長の見込める分野は、生成AI関連並びにパワー半導体、社会課題のへの寄与については、地球沸騰化、水素社会の実現に向けた材料となる。
●生成AI(同30ページ)
高度情報通信社会はこれまで以上に拡大する見通し。同社は、秋田で、ファラデーローテータとして使用され光通信には欠かせない光アイソレーターに使用される材料。現在、需要拡大を受け、24年には新工場を秋田県能代市に建設した。来年には1.5倍、27年には2倍の生産規模となる見通しで、旺盛な需要に応えていく予定。
●SiCkrest(サイクレスト)(同31ページ)
SiCの張り合わせ基盤のSiCkrest。特性は、単結晶単体と比較して優位な点がる。これらの優位性はおユーザーで高い評価を得ている。足元、中国製のSiCの単結晶が参入企業の増大により(価格の)下落傾向にあるという情報も入っているが、一方で、超高品質でかつ高いというSiC結晶の需要が現在追いつかない状況となっている。
同当社、8インチ量産ラインの構築を現在順調に進めており、年内に完成する見通し。また、ユーザー様への評価も順調に進んでおり、来年度には8インチのSiCkrestを販売開始できる見通しとなっている。こちらは、張り合わせの技術のライセンスも含めて、同社の優位な特性を生かして市場でのポジションを獲得していきたい。
●耐酸化ナノ銅粉同(32-33ページ)
先般プレスリリースしたのが、パワー半導体用途から将来のプリンテットエレクトロニクスに向けた新材料である耐酸化性ナノ銅粉の開発をした。現在、市場では高価な銀を使った材料が主流となっており、足元の銀価格の高騰により大きな問題となっている。現在、こちらもユーザーの評価が順調に進んでおり、来年度より販売を開始すべく準備を進めている。
足元はこちらの用途展開を進んでいるパワー半導体パッケージ系を中心とした用途であるが、こちらの材料はさらなる微粉化の開発を進めており、これを進めることで、より低温で配線が書けるという材料に進化していく。これによって、自主基盤に対して配線を形成できるということを目指しており、示しているような用途に対しての拡大を図っていきたい。
●SOLAMENT(近赤外線吸収材料)(同34ページ)
同社で初の素材ブランドとして現在展開しているSOLAMENT。これまでは、自動車や、建築物への用途を中心として展開してきたが、一昨年よりアパレル分野への展開を進めている。直近では、この11月1日にダウンジャケットへ採用され、その製品にSOLAMENTのロゴも使用してもらい、我々の素材ブランドとしてその認知は少しずつだが、広まってきている。また、近年の夏の暑さは尋常ではない。
こちらも大きな社会課題となっている。我々、このSOLAMENTの可能性を検証すべく、今年から農業での実証実験を開始した。こちら一部成果も出ており、我々としては、このSDOLAMENTを活用して、社会課題の解決に向けた取り組みも進めていく。
<戦略の進捗>同ページ)

〇シン・3事業連携のビジネスモデル
中心にあるのが製錬ということで、同社は技術力の高い製錬事業を中心にこのモデルを形成している。
〇銅製錬事業の競争力(同36-37ページ)
同社の銅製錬事業の事業環境、ここのグラフのトレンドに示した通り、製鋼原料の購入条件であるTC/RCは、かつてない歴史的水準ということで、25年のベンチマークが25の2.5ということで低い値になっている。そういった背景ではあるが、同社の銅事業は、競争力の高いということを背景に、足元のTC/RCでもフル生産で経済的に有利だと判断して現在進めているところ。それらの要因について少し補足説明する。
1点目は、同当社銅事業における3事業連携の強み。資料の上に記載しているが、資源事業との連携でみると、同社は権益を持った保有と鉱山があるので、その比率としては約半分強、50%から60%が権益を持っている。その下に帯グラフで示しているが、全体を100とした時に、30%前後が二次原料、残りの部分が精鉱になるが、そのうちの半分強が権益を保有した銅鉱山から来ている。この銅精鉱については、製錬と鉱山側のオフセットということで、どちらにメリットが移るかということだけ。一方で、その右側、1番右側のところに示している40から50%、これが買鉱の精鉱になるので、この部分がTC/RCの影響が効くことになる。今後とも、同社としては、権益を増やしていくということで、こういった背景が起こっても影響をできるだけ少なくしていきたいと考えている。
2つ目が、これも資源との連携になるが、当初、菱刈鉱山で金鉱石を掘っているが、その下の写真からも分かるように、左側になるが、これが菱刈鉱の鉱石の断面写真になる。黒い、ちょうど真ん中のところにある黒い部分、ここに金であったり銀であったり貴金属が濃縮しているところになる。その下に白い部分があるが、これがシリカ分で構成されており、このシリカ群というのは、銅製錬をやる上では必ず必要な成分。一般的には、外部からこのシリカを購入して、補うということになるが、同社は菱刈鉱山を処理しているがために、そういったものは資材として必要なくなるので、その分の資材コストが削減できるメリットがある。
3つ目が東予工場独自の強み(同38ページ)
東予工場は自社開発の精鉱バーナーというのを使っており、これが非常に、パフォーマンスが高い。右に世界中の銅製錬所の1炉あたり生産能力を書いている。我々、フラッシュファーナスというのを使っている。これ1炉あたりの生産性を書いているが、東予工場は1番左から2番目ということで、1炉で45万トンを作ることができる。非常に効率のいい生産をやっていることになる。加えて、高い反応効率を持っており、どの実収率も非常に高く、反応をうまく制御できているので、熱バランスをコントロールできるということで、ここの部分の寿命が10年を超えるとこまで持ってきている。言い換えればメンテナンスコストが大幅に削減できているということになる。
もう1つは、東予工場はいろんなところの製錬所といろんなもののやり取りをしている。例えば東予工場の精鉱中に入った硫黄は硫酸で回収されるが、これは同社のフィリピンでやっているHPALで必要な硫酸に使用されることもあり、ニッケル系から入ってくる銅原料は東予工場で当然製品化され、銅原料中に入っているニッケルはニッケル工場で製品化されるということで、非常に効率のいいプロセスになっている。加えて、今後とも、銅事業については、物流の改善だったり、DXを活用した操業管理の効率化、こういったものを引き続き進め、さらにコスト競争力の高い工場にしていきたい。
〇カーボンニュートラルに対する取り組み(同39-40ページ)
これまでは、電池の正極材だったり、SOLAMENT、こういったものがカーボンニュートラルの貢献に資するものとしているが、足元進めているのが、新たにプロセスを開発して新製品を加えていこうということになっている。図を示したものはプルーブの技術であるSOEC、固体燃料電池での水を電気分解して酸素と水素を作るわけだが、こういったものをうまく活用して、できた水素を今度はCO2と反応させて、最終的にはメタンガスを作るメタネーション、こういう複合技術を形成して世の中に貢献していきたい。
これにSOECのそうだが、メタンの製造もそうだが、当社の触媒を現在使って今開発しているところ。
<政策保有株式>
銘柄については計画的に今縮減しており、減ってはきている。ただ、ただ一方で、足元株価が若干上昇した影響もあり、トータルの金額としては少し上振れしている状況。引き続き継続的に縮減していきたい。
<役員報酬制度の改定>
株主と価値共有を図るということで、企業価値向上を全社で取り組むという内容。これは、役員の報酬とて今年度から株式報酬というのを導入、それに加え、新たに業績連動報酬の中にESGを加えていくといった内容。真ん中の方に図を書いているが、左側が基本報酬と賞与、株式報酬を分けたもの。これの視点を変えると、固定報酬と業績連動に分かれるので、その業績連動の方にESG指標を加え、さらに企業価値を向上していくという意識を高めていきたい。
今後も、企業価値向上に向け、成長戦略の推進等、資本コストや株価を意識した経営に取り組んでいく。
(IRuniverse 井上 康 )