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アルミとプラ、それぞれの循環の理想―アサヒセイレン・前田産業・Novelis―第6回CEシンポ名古屋

2025/11/28 22:05
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アルミとプラ、それぞれの循環の理想―アサヒセイレン・前田産業・Novelis―第6回CEシンポ名古屋

講演する白石氏(右)

 

IRuniverse主催で、11月25日に盛大に開催された第6回サーキュラーエコノミーシンポジウム in NAGOYA。本記事では、アサヒセイレン、前田産業、Novelis Japanの3社の講演概要を振り返る。アルミとプラスチック、それぞれの資源循環の理想に向かう企業の奮闘が垣間見えた。

 

アサヒセイレン、「アルミスクラップは資源小国ニッポンの重要な資源」

 

アサヒセイレンからは企画室長兼鉄鋼営業グループ長の白石憲章氏と、企画室兼合金営業グループ長の松本剛氏が登壇。「国内資源循環推進!アルミニウムリサイクルについて」の題目の下、同社グループの取り組みを紹介した。

 

白石氏はまずアルミリサイクルの意義を強調。日本国内ではボーキサイトも採掘できず、電気代も高くアルミ新地金を製造していないことから「アルミスクラップは資源小国ニッポンの重要な資源」であると見解を述べた。さらに、CO2排出量の高い削減効果もアルミリサイクルの大きな特徴と説明した。同社によれば再生材製造は新地金に比べ排出量を97%削減できるという。

 

その上で、国内のアルミスクラップは、「諸先輩方が邦貨を流出させて手にいれた貴重な資源」だとし、国内に還流させ、先人が集めた資源をつなぐことが、現役アルミ屋の役割であると主張。「国内資源循環のネットワークづくりの機運を盛り上げる」ことの必要性を提起した。

 

その後、登壇した松本氏はアサヒセイレングループの具体的な取り組みを説明した。同グループでは副産物を有効活用するドロス事業に注力しており、富山県に新拠点を設立。2026年から稼働開始する計画だ。富山県はアルミ押出材/建材で全国シェアトップであることから、脱炭素のためスクラップ利用が増え、ドロス発生も増加しているという。北陸地方に拠点を構えていた既存業者の継続問題も踏まえた拠点選定だという。ドロス事業を大阪から岡山に集約し、グループのドロス加工量を4000トン/月から7000トン/月に増強する方針にも言及した。

 

松本氏

 

また、松本氏はグループ史上最大規模の投資となる幸田町須美地区のリサイクル新拠点計画にも触れ、「アルミリサイクルに関してはなんでもできる拠点を作ろうと考えている」としたうえで、「国内アルミ資源循環の      選択肢を提供する」と意欲を示した。

 


Novelis Japan、「老廃スクラップだけでも非常に高品質な製品に」

 

一方、同じくアルミ業界をけん引するNovelis Japanの林孝雄代表は、自動車産業のサーキュラーエコノミーに焦点を当てた講演を行った。

 

Novelisは、世界最大のアルミ板メーカーとして、循環型社会の実現に向けて高リサイクル率(High Recycled Content)アルミ材の開発と実用化を推進している。世界の自動車向けアルミ市場においても、100万トン規模のシェアがあり、将来の生産能力を増やすための投資を継続してきた。

 

林氏

 

Novelisは2030年を見据え、自動車市場におけるCircular Solutionを実現するために、アルミニウムを「選ばれる素材」とすることを目指しており、ユーザーが使い終わった廃車のスクラップや他産業でのアルミスクラップを回収し、再び自動車用アルミ板に生まれ変わらせるといった「自動車End of Lifeリサイクル」のエコシステムを推進している。

 

この具体例として、林氏はメルセデスやドイツ・TSR社との共同プロジェクトを紹介。End of Lifeスクラップ(リサイクル率86%)からMercedes Benz Sクラスのボディサイドパネルを製造する取り組みが進められていると紹介した。メルセデス標準プロセスそのままで、循環型リサイクルを即拡張可能な事例であり、林氏は「老廃スクラップだけでも非常に高品質なアルミ製品ができるという証明」と強調した。

 

また、フォルクスワーゲンとも資源循環の推進に取り組んでいると説明。バッテリーケースの粉砕・選別を行い、そこで得られたスクラップを、高品質な自動車用6000系アルミ板を用いる外板パネル部品に再利用可能であることを証明できたと報告した。

 


前田産業、産業廃棄物処理対象品の有価買い取りからプラコップのアップサイクルまで

 

前田産業の上席コンサルタントである丹羽崇人氏は、プラスチックのサーキュラーエコノミー実践事例を紹介した。2008年に開始した産業廃棄物処理対象品の有価買い取りから、ラグビーチームとコラボしたプラコップのリニューアルプロジェクトに至るまで様々な事例を紹介し、来場者の関心を集めた。

 

トヨタ自動車のラグビーチームである「トヨタヴェルブリッツ」のホストゲーム会場で飲み終えたコップはゴミとして廃棄されていたが、2021年にPP製コップを使用することとして会場内で統一。回収・原料化した後にグッズとしてアップサイクルを実現したという。

 

丹羽氏

 

このプロジェクトは前田産業が提案したものであり、他の企業と連携しながら最終再生製品を見据えたコップ設計や廃棄抑制を意識したデザイン設定、持続可能なスキーム策定などにもこだわったと丹羽氏は当時の経緯を語った。取り組みは来場した観客にも好評で、販売したコップの95%の回収に成功したケースもあるとのことだ。

 

講演の後半には、業界をけん引してきた前田産業が大切にしてきたことに触れ、「スクラップ、屑(くず)」という言葉を使わず、次の生産物の材料として認識することや、「価格」だけでなく、「価値」も評価することの重要性を訴求した。丹羽氏によれば、これらの信念と地道かつアナログなやり方を守り続けてきたからこそ、約1500社との取引や業績の向上につながったという。

 

結びには、今回のサーキュラーエコノミーシンポジウムに参加することができなかった前田俊輔代表の言葉を代弁。「いつまでも話してばかりいないですぐにやりましょう」と呼びかけた。


(IRuniverse K.Kuribara)
 

 

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