国際調査会社の英プロジェクト・ブルー(Project Blue、本社:ロンドン)は12月4日、東京都中央区でバッテリー、エネルギー転換に不可欠な原材料産業を対象にした専門フォーラム「Critical Materials Forum – Tokyo 2025」 を開催した。電気自動車(EV)向け車載電池材料の中国による寡占が論じられたほか、電池事業のコストバランスについても考察があった。

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リサーチマネージャーのロバート・バレル博士(Dr.Robert Burrell)と同マネージャーのドミニク・ウェルス(Dominic Wells)氏の両氏がそれぞれ2項目ずつ講演。両氏はIR Universeとの個別インタビューにも応じた。
まずバレル氏は重要鉱物全般について「経済成長の基礎であるが、現時点では中国が寡占している」と指摘。寡占の度合いは鉱物によって異なるものの、「電池向けの主材料であるリチウム、コバルト、ニッケル、マンガンは65-90%の中国による寡占がみられる」とした。寡占は採掘から中間加工、電池部品の製造までのほぼ全サプライチェーン(供給網)に及ぶ。同氏は当面はこの構図を崩すのは難しいとしたうえで、シェアの先行きは「中国の技術開発がカギとなる」とも指摘した。
■コバルト価格、急落リスク ESS向けなど需要根強く
次に個別の鉱物についてみていく。コバルトは2025年のコンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)による輸出統制を受けて年初の下落後に急反発した。ウェルス氏は「コンゴが2027年まで分を発表した割当枠はあまりに小さかった」との受け止めを吐露。輸出統制は国内プロジェクトの進捗を狙ったものだが、それらは進行が遅いので収入面からも「割当制が長く維持できるとは思わない」との考えを述べた。コバルト価格は12月5日現在、仲値$24.075/LBで推移している。ただ、輸出統制で流通を絞っているだけで在庫や生産は過剰であるため、バレル氏は「価格は急落のリスクがある」とも話した。
過去3か月間のLGコバルト (Co99.3%)($/LB)価格の推移

コバルトの需給バランスについて、供給は「インドネシア産混合水酸化物沈殿物(MHP)も2035年に向けた増加が見込まれる」(バレル氏)とし、価格の下押し圧力になるとの見立てを示した。水酸化リチウムの生産が増えていることもコバルト価格に影響するという。バレル氏は需要面について、「コバルトフリーのリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池の普及が進むが、コバルトを使う三元系電池の需要は根強く、また電力貯蔵システム(ESS)やポータブル電池向けの需要が強い」とも話した。
(IR Universe Kure)