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日本製鉄:2030中長期経営計画の説明会を開催(戦略、国内事業)

2025/12/12 20:27
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日本製鉄:2030中長期経営計画の説明会を開催(戦略、国内事業)

 12月12日17時、日本製鉄は本日15時半に発表した「2030中長期経営計画」についてウエブにて説明会を開催した。説明に使われた資料はこちら。説明は今井COOが行った。

 

<戦略>

〇目指す姿(資料3ページ)

 ユーザー価値の創造を通じまして、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する総合力世界ナンバーワンの鉄鋼メーカーを目指し成長を続けるため、2030中長期計画、策定した。

 

〇世界No.1鉄鋼メーカーへ復権(同4ページ)

 現行の中長期計画において、国内は、生産設備構造対策あるいは紐付き価格を中心とする価格マージン改善を通じて損益分岐点を大幅に改善するとともに、戦略投資も実行してきた。

 海外は、選択と集中を図りながら、AM/NSインディアの能力拡張、USスチールの買収など、優良市場での生産能力の確保、拡大を推進し、厚みのある事業構造への進化を図り、外部環境によらず6,000億以上の実力損益を確立するとともに、グローバル粗鋼1億トン体制の布石を打ってきた。

 2030中長期経営計画では、こうして確立した事業体制を最大限活用して、国内においては、さらなる収益基盤強化による収益力の向上、海外におけるグローバル成長戦略の実行を通じて、世界No.1鉄鋼メーカーへの復権を果たす。

 実力損益は1兆円以上を実現するとともに、2030年度以降できるだけ早期に、グローバル総合1億トン以上の実現、さらなる利益水準への飛躍をしていく。

 

〇事業環境認識(同5ページ)

 世界経済は、保護主義への転換、相互関税の発動、政治と経済の相互作用が強まると不確実性が増している。こうした環境下で、成長停滞リスクなどを念頭に置く必要がある。

 右側の機会、今後とも、新興国の経済成長やAI・エネルギー関連投資の拡大による成長が期待できる。

 鉄鋼については左側にある通り、国内は、人口減少、製造業の海外移転等を背景に需要の減少が続く見通し。供給面では、中国経済のピークアウトや内需減少にもかかわらず、中国での高水準の生産と積極的な輸出姿勢が続いており、通商摩擦の拡大も懸念される。世界的な鉄鋼需要、鉄鋼供給過剰構造の解消にはなお時間を要し、今後とも厳しい経営環境が続くと想定している。

 右側に機会として、インドをはじめとする新興国での経済成長、それに伴う需要の増加、米国での製造業国産化による高級鋼需要の増加が期待できる。

 

〇本経営計画の概要(同6ページ)

 国内については、コスト競争力の徹底追求に加えて、総合的なソリューション展開、グループ総合力の最大化を通じて、各需要分野、品種ごとのニーズに応じた競争力を強化し、収益力の向上を図る。

 具体的には、自動車インフラ分野、さらにはエネルギー、造船など、分野ごとにユーザー価値を創造し、ユーザーへの提供力を一層向上させ、国内需要を補足していく。

 海外事業については、米国、欧州、インド、タイ、ここを重点地域として、成長投資の実行に加え、同社の技術、ノウハウを最大限移転し、鉄原一貫生産体制を強化する。これにより、高級鋼から汎用鋼で様々な需要を補足し、飛躍的に利益の拡大を図る。また、これらの戦略を支える経営基盤をさらに強化するために、研究リソースは継続的に投入し、世界最先端技術の開発を推進するとともに、業務刷新・効率化を推進し、人材の競争力強化等にも取り組んでいく。

 

〇実力利益1兆円以上の実現(同7-8ページ)

 これまでの5年間、収益体質は大きく改善した。本経営計画では、2030年度までに国内、海外事業とも5,000億以上達成し、実力損益1兆円以上を確実に実現し、31年度以降の次なる利益水準への飛躍をしていく。

 国内事業では、やはり内需の減少や海外市況の低迷、諸コストの上昇等、大幅な事業環境の悪化が見込まれるが、コスト競争力の徹底追求と総合的ソリューション、グループ総合力等で、収益を支え、5,000億以上の達成を目標とする。

 海外については、USスチールの成長投資効果の最大発揮、AM/NSインディアの能力拡張効果等をベースに、2030年度までに5,000億以上の達成を目標す。

 結果、国内・海外合わせ実力損益で1兆円以上、確実に実現することを目指す。

 

〇持続的成長に向けた長期戦略投資(同9ページ)

 本経営計画では、企業価値の持続的な向上に向けて、成長投資、株主還元、財務体質の健全性に関して適切なバランスを追求しながら、経営資源を戦略的に投入する。

 国内におけるさらなる収益基盤の強化による収益力向上、海外においては、グローバル成長戦略の実行による飛躍的な利益拡大のために、2030年度まで今後5年間で、USスチールは、28年度末までの110億ドルの投資を含む総額6兆円規模の設備投資、事業投資を実施する。そのうち半分以上は海外製鉄事業に重点的に投入する。

 

〇株主還元の強化等を通じた当社株式の魅力向上(同10ページ)

 株主還元の強化について、中長期的成長に向けた投資及び株主還元、財務体質の健全性、適切なバランスを実現する観点から、現行の配当性向30%程度を目安とする配当方針は継続する。さらに、本年10月1日、特に個人投資家にとって投資しやすい環境を整え、投資家層をさらに拡大する目的で、普通株1株につき5株とする株式分割を行った。

 加えて、今回、安定した収益基盤を築いてきたことも踏まえて、株主・投資家の配当の予見性を高め、日本製鉄の株式の魅力を高める観点から、2030年度までの5ヵ年において、新たに1株当たり24円、分割前で行きますと120円での下限配当を導入することとした。こうした仕組みを整えつつ、利益水準を向上させ、より高水準の株主還元を目指すことを基本方針とする。

 

〇2030中長期経営計画 主要指標(同11ページ)

 経営計画の諸施策の実行により、収益力及び資本効率の向上並びに財務基盤の強化に取り組み、2030年度を1つのマイルストーンとし、記載のような主要指標の達成を目指す。

 

<国内製鉄事業>

〇国内さらなる収益基盤の強化による収益力向上について(同13ページ)

 国内では、現経営計画機関において、生産設備構造対策による固定費削減、あるいは品種高度化、ひも付き価格マージンの適正化などにより、損益分岐点を約40%改善することができました。

 本経営計画では、こうして構築した競争力ある生産体制を最大限活用し、コスト競争力の徹底追求、総合的ソリューションの展開、グループ総合力最大化、技術先進性の追求を通じて、各需要分野、品種ごとのニーズに応じた競争力を強化し、収益力の向上を図っていく。

 

〇競争力強化(同14ページ)

 ここから、分野ごとの具体的な施策を紹介する。

●薄板

 国内製鉄事業の主要な事業となる薄板事業については、すでに意思決定し現在工事を行っている新鋭設備投資の立ち上げ効果の風発揮・推進する。また、これまでの最適生産体制の構築を受け、各製造拠点の主たる役割を明確化し、集中的に生産することで、さらなる効率化を可能とする。

 まず、電磁鋼板については、瀬戸内、九州の2拠点で生産を拡大。いずれも世界で同社だけの電炉を用いた最高級の電磁鋼板を生産する。

●自動車用鋼板

 東日本、名古屋、九州八幡の3拠点に集約。生産規模の維持において要となる海外向けを含むホットコイルについては、コスト競争力のある大分、鹿島の2拠点集約。

●建材薄板

 残る薄板の生産拠点は、国内の建材薄板需要を補足すべく、最適な生産構造を目指している。

 

〇自動車分野における主要取り組み(同15ページ)

 名古屋製鉄所の次世代熱延ラインが26年4月に稼働する。この最新ラインの活用による新商品開発とコスト競争力の強化を進め、中部地区を中心とした自動車鋼板需要を集中的に生産する。

 東日本と九州八幡を合わせた3拠点で、需要地の近くという立地競争力を活かしたサプライチェーンを構築する。

 電磁鋼板の供給拡大と合わせて、自動車分野での商品ソリューション技術をさらに進化させ、顧客との連携を強化することで、自動車需要を補足したい。

 この結果、東日本製鉄所鹿島地区の連続焼鈍1基は、27年度末に休止する。

 

〇建材薄板分野(同16ページ)

 同社グループの総合力をさらに高めることにより、ユーザーへの価値創造と提供力を一層向上させていく。具体的には、社会のニーズに応える差別化商品群あるいはソリューション提案力を向上させるとともに、グループ一貫での最適な営業、流通、生産体制を追求し、この分野での内需の補足力を強化していく。

 

〇インフラ分野(同17ページ)

 まず資料上段、グループ総合力の最大化ということで、地域軸で営業部や国内支社、あるいはグループ会社が一体となった営業活動を一層強力に進めていく。また、グループ一貫での生産流通体制を追求し、内需の補足を強化していく。

 ソリューションの展開は、紐付き分野における鋼材と利用技術の組み合わせ、建築土木ソリューション、ProStructの展開、市況分野における中山製鋼所との業務提携を通じた競争力ある商品ラインナップの拡充など、分野と用途に応じたユーザーの様々なニーズへの対応力を強化し、確実な需要補足を推進する。

 

〇エネルギー・造船分野(同18ページ)

●エネルギー分野

 新エネルギー需要が世界的に拡大することが期待されている。特殊鋼からステンレス、チタンまで、高温高圧、様々な厳しい環境下で優れた性能を発揮する材料、薄板、厚板、鋼管といった品種横断で開発、供給し新エネルギーサプライチェーン一貫での需要を、同社ワンストップで、補足していく。

●造船分野

 新エネルギー関連での高機能商品ソリューション提案力を強化し、ユーザー価値の創造を図り、国内造船業の再強化に貢献していく。

 

〇ステンレスの競争力強化(同19ページ)

 資料上段に示すように、これまで事業統合あるいはライン集約によって収益の強化を図ってきてきた。

 本年4月には日本製鉄に一元的に統合したが、さらなる競争力強化を図るべく、Cr系鉄原の周南電気炉への集約、あるいは輸入材対抗と汎用品の競争力強化に向けた最適生産体制の追求を行うとともに、戦略投資案件である光の新CC、最大限の活用により品種高度化を図ることで、確実に需要を補足し、収益を確保していく。

 

〇グループ会社再編(同20ページ)

 グループ会社再編については2つの考え方で進めている。

 1つは、戦略会社の完全子会社化ないし吸収合併と、もう1つは、グループ会社間の統合による体質強化というもの。

 昨日も日鉄高炉セメントと日鉄セメントの経営統合を公表したが、これまでも進めてきたグループ会社再編について、再編効果を発揮し、最適なグループ体制を追求し、さらなる収益力向上に引き続き取り組んでいく。

 

 海外事業以降は、「日本製鉄:2030中長期経営計画の説明会を開催(海外事業、経営基盤強化)」に続く

 

 

(IRuniverse 井上 康 )

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