12月22日14時半、UACJは、航空宇宙・防衛材事業に関する事業説明会を開催した。説明に使われた資料はこちら。説明は航空宇宙・防衛材事業本部 鋳鍛製作所の吉田所長が行った。
<航空宇宙・防衛材事業本部の発足および背景>

〇UACJ VISION 2030(資料3ページ)
UACJビジョン2030において、機能図にあるように、既存の成長領域を赤いリンゴとして、また新領域を緑のという新しいビジネスとして、この両方を広げていくことに同社は取り組んでいる。
新領域成長分野の1番左側の青いリンゴの部分に航空宇宙と書いてあり、この分野における事業化を決定した。
〇航空宇宙・防衛材事業本部の発足および背景(同4ページ)
同社は、かつては左上に示す事業のよう箔を含めた5つの事業で活動していた。
航空宇宙全体は元々、板と押出と鍛造品の3つの事業でバラバラに営業活動し、生産活動していたのが実態だった。23年、24年で、押出加工品と鋳鍛事業は子会社から本体の事業本部にまず繰り上がり、かつ、24年10月1日に鋳鍛事業を母体とする発展的組織改編で航空宇宙事業本部と名乗った。
鍛造品だけ扱うのではなく、板、押出加工品、鋳物品、鍛造品の4品目をワンストップで提供できる事業組織へと改善した。
この事業部の下には鋳鍛製作所とUACJ Foundry&Forgingがあり、このベトナム工場では自動車の部品であるリプレッサーホイールの製造を行っている。
〇事業本部新設の狙い(同5ページ)
同社のターゲットになるユーザーは国内大手プライムメーカー。宇宙防衛に関して、従来は、6割で低い安定という状況だった。
国内プライムメーカーは従来、米国材のアルミメーカーの板・押出・鍛造品を輸入し、日本では機体パーツを作って北米の航空機メーカーに販売する仕組みだった。
そこに同社は、先ほど説明したように、限られたアイテムだけで販売してきた。コロナが収束し、航空機需要が急速に回復してきた頃には、米国のアルミニウムメーカーが自国のプライムメーカーに優先的に供給したために、日本の国内プライムメーカーは調達に非常に苦労した。
それまでもUACJでやってくるということは聞いていたが、同社にさらに強い接合として機材もやってくれという声がかなり増した時期だった。
これも含めて、同社が航空宇宙に対して本格的に取り組むということ、また、航空宇宙というユーザーと同じ事業の名前にすることで、目的を意思表示できる事業本部の名前にした。
24年10月から事業を始めて1年が経過したが、各プライムメーカーからはよくやってくれた、期待しているといった期待と感謝の言葉を多数いただいているのが実感としてある。
中段にも書いてあるように、航空宇宙、航空分野、宇宙分野に関しては、機体構造体、エンジン部品、ロケット構造体、燃料タンク、特殊車両などのようなものでアルミが使われている。
〇航空宇宙・防衛材事業本部の発足および背景(同6ページ)
こちらの図は同社のアルミニウム製品をプロセスごとに示している。幅広い製品を取り扱っている。また
加工製品の中には半導体製造装置用の厚板製品も含まれている。
この製品の中で、鋳鍛製作所では鍛造製品を製造しており、その鍛造の技術を後ほど紹介する。
<事業紹介:取扱分野>
〇事業分野について(同8ページ)
主な事業分野は航空、宇宙、防衛の3分野。この3分野について、需要がどうなっていて、同社のポジションがどうなっているか説明する。
〇航空分野の需要動向(同9ページ)
右は航空機の分野で、航空旅客輸送の推移を表しているが、コロナが無ければ点線に示すように、順調に世界の旅客数が増えることになっていた。
ただ、2019年あたりから4年間に関しては旅客数が減っているが、また増加傾向にある。
旅客数が増える見通しに対して機体数を増やさねばならないこと、また、環境対応で低燃費化及び旅客数増加の要求に対応するため、機体設計を最適化して、コンパクトながらも1機あたりの乗客数を増やせる、そういう飛行機を作っていかなければならないと考える。
〇同社における航空分野のマーケットシェア(国内)(同10ページ)
こちらが同社における航空機分野のマーケットシェア。同社の国内プライムメーカーのシェア。
ブルーの部分がUACJのシェアで、左から板、押出材、鍛造品という並びになっている。特に板材については設備制約があり、シェアが少ないのが現状。
ピンク色の部分は、ほぼ北米のアルミメーカーの材料が占めている。先ほど説明した国内プライムメーカーから調達したいという思いが強く、同社の国内サプライチェーン安定化を目指す動きは各社から喜ばれ、かつ同社の動きをバックアップしたいと言われている。
〇宇宙分野の需要動向(同11ページ)
日本で打ち上げるロケット数は、打ち上げ本数自体が少ない状態がずっと続いていた。直近に関しては、AIの急速な拡大や様々な情報通信技術についていくため、ロケット数をたくさん打ち上げなければならないという状況。
〇同社における宇宙分野のマーケットシェア(国内)(同12ページ)
主に国内の基幹ロケット、H3ロケットについて示している。UACJのシェアは高いが、まだ北米に頼っている部分がある。この部分は年間の打ち上げ本数が増えることで全体の需要は拡大していくので、この需要増大対応を図っていく。
同時に北米大が占めるピンク部分をさらに取り込んでいく。
〇防衛分野の需要動向(同13ページ)
防衛分野に関しても、社会情勢の変化に伴い、2022年くらいから増加の動きがあり、23年から27年までの5ヵ年で43兆円という国家予算になった。従来の23年度と25年度比較すると1.5倍に増えている。
〇同社における防衛分野のマーケットシェア(国内)(同14ページ)
防衛関係に関しては、米国家予算が増えたとこことに対して、これらの全体的な増産に向けた対応を日本のアルミメーカーとして推進していきたいと考えている。
〇航空宇宙・防衛材事業のさらなる成長に向けて(同15ページ)
今後の航空宇宙の3分野の売上計画について。2030年度の売上計画は、2024年度の実績を100とした場合、2.3倍への成長を目指している。
この売上計画を達成するために、同社では各分野で具体的な営業施策を複合的に実行している。
防衛分野では、つまりTier1企業は、関係省庁との連携を強化しつつ、需要増に対応できるよう増産体制の整備を進める。
宇宙分野においては、国内基幹ロケットでの同社シェア100%を目指すとともに、民間スタート企業との連携を強化して販路を拡大する。
航空分野では、板押出製品について、北米航空機メーカーの認証取得によりし、新規拡販を図る。
さらに、同社の鍛造、鍛造、プレスを強みとして欧州の大手メーカーと連携し、市場の参入を目指していく。さらに、チタン特殊鋼の既存販売商社へのPR及び販路拡大も検討している。
これらの重点的な施策を通じて、目標である2.3倍の成長を確実なものにしていく。
〇航空宇宙・防衛材事業の強みと課題(同16ページ)
同社の強みは、国内最大級の大型生産設備を使用し、大型の厚板製品や鍛造品などの素材を製造できるルールがある点。また、航空宇宙で使用される各種アルミ合金の開発、製造能力も有している。
一方、課題として、欧米系のアルミメーカーが持っている設備と比較して、同社は設備面で制約がある。
航空宇宙材の熱処理設備の増強と、海外材に対抗するためのさらなる大型鍛造品の製造能力、能力増強が必要。
この課題を同社では焼入材と言っているが、焼入材の製造に不可欠な設備への投資を決定している。
先ほど説明した設備制約を埋めるべく、粛々と認証を取り、アイテム数を増やしていくところが同社の使命。
鍛造品に関しても、まだまだ大型化できていない部分があり、同社が作れない部分はアメリカから輸入されているので、この需要を取り込める鍛造品の大型設備導入の検討も行っている。
〇「課題」に対するアプローチ(同17ページ)
これらの課題に対し、同社は設備投資と製造能力の拡大を進めている。板材については、先ほど説明した厚板焼入材製造設備への投資を決定しており、この設備増強を持って米国材からの切り替えを進めていく。鍛造品に関しては、工事はすでに昨年度下期から始まっており、今年4月に建屋が完成し設備導入しているが、この下期から稼働を開始した。加工、検査、組み立ての設備増強によって生産能力増加する。
さらに、大型の鍛造設備の導入を検討している。
〇第4次中期経営計画の達成およびVISION 2030の実現に向けて(同18ページ)
第2次中期経営計画の重点方針として、成長戦略、付加価値戦略を掲げ、価値創出拡大による収益の最大化と収益率の向上を目指している。
この中で、私たちの事業は、先端分野のサプライチェーンの安定化への貢献、すなわち航空宇宙関連材の提供を重要な柱としている。
この貢献を可能にする同社の強みには2つある。1つは、国内最大級の大型生産設備を使用した大型素材の生産力、もう1つは、ユーザーニーズに確実に応えることのできるアルミ合金の開発力。
これらの強みを最大限に生かし、国内サプライチェーンを強靭化し、UACJグループ全体の収益に貢献していく。
続きは、「UACJ:航空宇宙・防衛材事業に関する事業説明会開催(航空宇宙・防衛分野で使用されるアルミ合金)」へ。
(IRuniverse 井上 康 )