メモリ価格高騰は、直近における最もホットな話題だと思い、ここでも多く報を取り上げてきた。
そのメモリ価格が異常事態となっている。
DRAMの大口価格ですが、値段がつかない状況となっているのである。
商社でも、交渉が成立しないという状況は初めてだとコメントしている。
・このままではPCやスマホが値上げとなるのは確実であるが、最悪の場合は生産ストップという事態も考えられる。
初めての状況のため、何が起こるか分からないが、電子機器需要に悪影響を及ぼすのは確実とみられる。。
今後のメモリ価格には注視していきたいが、PCメーカーが今どの様に考えているかを推測した。
●PCメーカーが実際にとっている対策(報道ベース)
1製品価格の値上げを予告・実施
・Dell : メモリコスト急騰を受け、15~20%の値上げを検討中である。
・Lenovo:2026年1月1日以降、すべての見積価格を無効化し、早期発注を顧客に促す
・HP:2026年下半期は特に厳しく、必要に応じて値上げとコメント
この3社を総合すると、PCメーカーは「DRAM価格が決まらない=見積が出せない」ため、「価格を固定しない」方針に切り替えている。
2 早期発注の強制(顧客に在庫リスクを転嫁)
Lenovoのように、「今の見積は年内まで、来年は全部無効」という動きは、
DRAM価格が読めないため、メーカーが顧客に在庫リスクを押し付けている構図である。
3製品ラインアップの見直し
Trend Forceの分析では、
•DRAM+NANDの構成比が2026年に20%超へ上昇、その結果、ノートPCの小売価格が5〜15%上昇
・出荷台数はプラス予測からマイナスへ下方修正
→ PCメーカーは 低価格帯モデルの縮小 やメモリ容量の固定化(構成変更不可) を進めている。
4. DRAM確保のための“前倒し調達”
DRAMパニックの背景には、 長期契約の“狼狽買い(panic buy)”
AIサーバ向けDRAM/HBMへの生産シフトがあり、PC向けDRAMの供給が後回しになっている。
そのためPCメーカーは、
通常より早いタイミングでDRAMを確保しようと前倒し発注している。
5. 構成変更(DDR4モデルの延命など)DDR5が特に逼迫しているため、
• 一部メーカーはDDR4モデルの延命
• メモリ増設不可のオンボード構成の比率増加などで、調達リスクを下げようとしている(業界筋のコメント多数)。
なぜ、「値段がつけられない」のか?
報道を分析すると、原因は三つある。
AIサーバ向けDRAM/HBMが利益率・需要ともに圧倒的
→ メーカーはサーバ向けにウェハを優先投入
② PC・スマホ向けDRAMは“後回し”
→ 契約価格が決まらず、商社も見積不能
③ 長期契約のパニックバイで市場が歪んだ
→ 先端プロセスDRAMが一気に枯渇
PCメーカーの動きは「価格転嫁+リスク回避+前倒し確保」の三点セットである。
特に注目すべきは、
●メーカーは“価格を固定しない”方向に舵を切った。
→調達側としては、見積の有効期限が極端に短くなる世界に突入。
●低価格帯PCは消える?
→DRAMコストがBOMの15~20%に達し、成立しない。
●DRAMの調達競争はPCメーカーでは勝てない。
→AIサーバ向けの利益率が高すぎるため
この動きはまだ数四半期は続くとみられる。
(IRuniverse 椿匡之)