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【年末企画 国内外高純度シリコン(ポリシリコン)市況】 中国産と非中国産との価格乖離が鮮明に

2025/12/26 13:39
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【年末企画 国内外高純度シリコン(ポリシリコン)市況】 中国産と非中国産との価格乖離が鮮明に

高純度シリコン市況は半導体向けの11Nシリコン、ソーラーパネル向けの6Nは基本的に前月比で変わらず。アジア市場では11Nでキロ当たり30〜35ドル(FOBマレーシア)、ソーラー向けではキロ当たり5〜6ドルだが、非中国産は10~15ドルと二極化が鮮明になっている。

(6Nグレードポリシリコン相場の推移)

 

2025年現在のポリシリコン市況は、「中国国内での価格下げ止まりと反発」と、「中国国外(非中国産)との価格乖離」の二極化が進んでいる。

長らく続いていた供給過剰による価格低迷(底打ち状態)から、2025年後半にかけて一定の回復兆しが見え始めているのが大きな特徴である。

 

1. 最新の価格動向(2025年後半時点)

産地や用途によって価格水準が大きく異なっている。

  • 中国国内(N型/P型): 2025年半ばに底(約30元/kg台)を打ったが、政府による生産調整や業界再編の動きを受け、現在は50〜60元/kg程度への回復を目指す動きが見られる。
    • ただし、在庫水準が依然として高いため、本格的な急騰には至っていない。
  • 中国国外(Global Polysilicon Marker: GPM): 米国の貿易制限(UFLPA等)の影響で、非中国産ポリシリコンには高いプレミアムがついている
    • 価格帯は10〜15ドル/kg程度(6Nシリコン)で推移しており、中国産に比べて大幅に割高な水準を維持している。

 

2. 需給バランスと背景

  • 深刻な供給過剰と淘汰: 中国の生産能力は2025年時点で約350万トンに達すると予測されているが、実際の需要(PV設置量ベース)は約190万トン程度にとどまっている。このため、2025年は「不採算工場の閉鎖」や「稼働率の引き下げ」による需給調整が業界全体のテーマとなっている。
  • N型へのシフト: 太陽電池の主流がP型(PERC)からN型(TOPCon等)へ急速に移行したことで、高純度なポリシリコンへの需要が集中している。低品質なポリシリコンは大幅な余剰となり、二極化が進んでいる状況。

 

3. 日本国内の状況

2025年現在の国内ポリシリコンメーカーは、太陽光パネル向けの安価な汎用品から完全に撤退し、「半導体グレード」に特化することで、フル稼働に近い高い稼働率を維持している。

中国メーカーが供給過剰で稼働率を下げているのとは対照的に、国内勢は生成AIやEV向けの先端半導体需要に支えられ、堅調な推移を見せている。

 

国内ポリシリコンメーカーが高稼働を維持できている3つの理由

  • 半導体特化へのシフト完了: 日本のメーカーは10年以上前に、中国勢との価格競争が激しい太陽光向けから撤退した。現在作っているのは「11N(イレブンナイン:純度99.999999999%)」と呼ばれる超高純度品のみであり、参入障壁が非常に高いため、中国の供給過剰の影響を直接受けてはいない。が、中国側も11Nのポリシリコンを生産できる技術力をつけてきている。ゆえに後述するが、マレーシアからの中国向け輸出は減少している。
  • 生成AI・先端半導体の需要拡大: 2025年は2nmプロセスなどの最先端半導体の量産に向けた投資が活発化している。これに伴い、最高品質のポリシリコンを供給できる国内メーカーへの引き合いが強まっている。
  • 海外への生産拠点分散: トクヤマは2025年、マレーシアで韓国OCI社との合弁会社(OTSM)を稼働させるなど、電力コストの安い海外で「半導体グレードの半製品」を作る体制を整えている。これにより、国内拠点はより高度な最終工程や研究開発に集中でき、効率的な稼働が可能になっている。

 国内メーカーの懸念点

現在は高稼働だが、以下の要因がリスクとして意識されている。

  • 電気料金の高騰: ポリシリコン製造は「電気の缶詰」と呼ばれるほど電力を消費するため、国内の電気代上昇が利益を圧迫している。
  • 中国勢の追い上げ: 中国メーカーも半導体グレードへの参入を急いでおり、数年後には高品質領域でも競争が激化する可能性がある、か、すでにその競争時代に入っている。

 

メーカー主な生産拠点推定稼働率動向と戦略
トクヤマ徳山製造所(山口県)90%以上(高稼働)半導体用で世界シェア約20〜25%を占めるトップ級。国内拠点は高付加価値品に集中。
三菱マテリアル四日市工場(三重県)高水準を維持連結子会社の「ハイピュリティ・シリコン」を通じて供給。半導体市場の回復を受け安定稼働。
大阪チタニウムテクノロジーズ尼崎工場(兵庫県)高水準を維持チタン製造の副産物を活用。半導体用ウエハ向けに特化。

 

 

4. マレーシアの状況

2025年現在のマレーシアにおけるポリシリコンメーカーの稼働率は、「太陽光発電向け」と「半導体向け」で明暗が分かれている。

マレーシアは非中国産ポリシリコンの主要な生産拠点だが、世界的な供給過剰と米国市場の不透明感により、最大手メーカーが一時生産を停止するなど、厳しい局面を迎えている。

 

 主要メーカーの稼働状況

マレーシアのポリシリコン生産は、主に韓国OCIホールディングス傘下のOCI TerraSus(旧 OCIM)が担っている。

  • 太陽光発電向け(Solar-grade): 低迷(一時停止・減産)
    • 現状: 2025年中盤、OCI TerraSusはマレーシア工場の生産を一時停止した。
    • 理由: 米国による東南アジア産太陽光パネルへの関税リスクや、中国産の過剰在庫による価格急落が影響しています。2025年第1四半期の稼働率は低水準にとどまり、第2四半期には需要減退を受けて生産調整(シャットダウンを含む)を余儀なくされた。
  • 半導体向け(Semiconductor-grade): 堅調・拡大
    • 現状: 既存の生産ラインは安定稼働を目指しており、さらに日本企業との新工場建設が進んでいる。
    • トクヤマとの合弁(OTSM): 2025年7月にトクヤマとOCIの合弁会社「OTSM」がサラワク州で着工した。これは半導体用に特化したもので、2027年以降の稼働を目指しており、現在は「建設・準備フェーズ」にある。

マレーシア市場の特徴と背景

  • 非中国産プレミアムの維持: マレーシア産は「中国産ではない(ウイグル強制労働問題等の懸念がない)」ため、米国市場向けには高い付加価値(プレミアム)がつく。しかし、現在はプレミアム価格を考慮しても採算が厳しいほどの供給過剰に見舞われている。
  • クリーンエネルギーの活用: マレーシア(特にサラワク州)は安価な水力発電が利用できるため、製造コストとカーボンフットプリントを抑えられる利点があります。これにより、中長期的には他地域より高い稼働率を維持しやすい構造になっている。
  • 2025年現在の実質稼働率: 太陽光向けは市場環境の悪化により50%以下、あるいは一時的な停止状態にあると推測される(OCIの発表では2025年第2四半期に大幅な赤字と生産停止が報告されている)。
  • 今後の見通し: 半導体グレードへのシフトと、2026年以降の太陽光市場の在庫調整完了に伴い、再び高稼働へ戻るシナリオが予想されている。

 

5,今後の見通し

  • 2026年への回復シナリオ: 業界団体のBernreuter Researchなどは、現在の生産調整が順調に進めば、2026年以降に需給が引き締まり、価格が安定化すると予測している。
  • 地政学リスクの影響: 米国や欧州によるサプライチェーンの「脱中国化」の流れが続いており、東南アジアや北米、欧州産のポリシリコンは今後も独自の価格体系(プレミアム価格)を維持する可能性が高い。

(6Nシリコン市場)

項目中国国内市場中国国外(グローバル)市場
現在の状況底打ち後の緩やかな反発高止まり・安定推移
主な価格帯30〜60元/kg10〜17ドル/kg
主な課題膨大な在庫と供給過剰貿易規制による限定的な供給
トレンドN型高純度品へのシフト非中国産サプライチェーンの構築



(IRUNIVERSE YT)

 

 

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