錫価格が上昇している。ロンドン金属取引所(LME)の錫価格は1月15日に現物5万4200/tonと、過去最高値を更新した。更新は2022年3月以来約3年9か月ぶり。金や銅といった非鉄金属が快進撃を続け、錫にも投資マネーが流入している。中国価格が今週に入り急伸したことも追い風。需要の楽観と慢性的な供給不足も注目され、買いが集まっている。
「株高を背景に世界的にセンチメントは悪くない」と話すのは野村証券金融経済研究所経済調査部コモディティ調査の高島雄貴エコノミスト。5万円台で上昇を続ける日本株はもちろん、米国株や欧州株なども最高値圏にあり、世界的にリスクを取る雰囲気だ。従来は原油や新興国通過・株などに向かいやすいリスクオンマネーだが、今回は中長期の需要増が見込める金属市場に流入している。
過去3か月間のLMEとSHFE錫価格の推移($/ton)(RMB/ton)

また、今週は特に中国での取引が活発だった。上海先物取引所(SHFE)の錫価格は1月11日から15日までの4日間で24%上昇し、上昇率はLME価格の21%を上回った。
上海有色網(SMM)の1月15日までのレポートによると、「トランプ米大統領が半導体チップの輸入関税に言及し、中国製チップに関税が課されて材料の1つである錫が将来的に値上がりするとの懸念が浮上した」。また、中国では例年、年明けから春節(旧正月、2026年は2月17日)までのこの時期は、企業の材料補充需要が高まるという。
■供給不安根強い、LME在庫は足元回復
錫は需給ギャップへの不安も根強い。まず供給は、ミャンマーやインドネシアでの生産が不安定で、2025年はLMEの在庫が低迷した。
一方で需要は人工知能(AI)やデータセンター需要の拡大観測に伴い、電子機器需要も拡大するとの観測が強まっている。錫は電子機器のはんだ付けに使われるため、やはり需要が拡大するとの見方が増えている。実際、日本の錫輸入も堅調だ。
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ただ、LMEの錫在庫は回復してきている。2025年12月の在庫は5420トンと、前年同月の4800トンを上回った。1月も現時点で在庫は充足している。過度な供給不安は後退する可能性もある。
過去5年間のLME錫在庫量の推移

(IR Universe Kure)