Loading...

自動車解体業界の団結を目指して しかし外国勢の取り込みには課題満載 外川健一

2026/01/17 11:59 FREE
文字サイズ
自動車解体業界の団結を目指して しかし外国勢の取り込みには課題満載 外川健一

写真)固く握手を交わす川島リ協会長と、石井自動車リサイクル機構会長

 

 2026年1月16日、港区新橋の第一ホテル東京にて一般社団法人日本自動車リサイクル部品協議会(略称:リ協)の第16期に向けた記者会見、並びに30周年記念パーティが開催された。記者会見では川島リ協会長より、一時中断した日本自動車リサイクル機構との合併に向け本格的協議を再開することが報告された。

 

自動車解体業、リサイクル部品業界をめぐる環境は厳しいものがあり、ELVの確保のために業界が団結するという、両団体の1つの意思表示だとも考えられる。

 今世紀に入る頃、自工会の業界通の方が、筆者にELV機構(現自動車リサイクル機構)と部品協議会(現リ協)とは、セリーグとパリーグみたいなものだという説明し、妙に納得した気がしたことを思い出した。

 筆者の筆者の整理によると、スクラップと部品の両方を取り扱っている自動車解体業者の中で、国内での中古部品市場に業界の将来性を見出し、中古部品の「生産」、「流通」をいかにスムースに行うことに注力した当時の若手(1980年代から1990年代前半)が、中古部品在庫流通ネットワークを作り出し、それが全国組織として発展したのがリ協の始まりである。

 しかし彼らは同時に自動車解体業者でもあり、有力業者は地元の自動車解体業の組合に加盟していた。問題はこの自動車解体組合には、1986年創立の日本自動車リサイクル協会(自解協)という全国組織(この組織の会長は関西に拠点をおいていた。)があるにはあったが、それが必ずしも全国組織として機能してはいなかった。

 私は93年から業界の調査を本格的に開始したが、当時は多くの関係者から、自動車解体業者の業界団体は関東地方を全国組織に引き込むことができなかったというお話をうかがった。そして全国組織を自称していた自解協も、リサイクル部品の業界団体が全国組織を立ち上げる際に、事前に何の断りもなかったことを問題視し、リサイクル部品の流通団体の全国組織化の妨害とも受け取られる行動に出たことは、有名な話である。

 ただ、通産省(当時)も次回協の存在は知っていたが、業界の近代化のためにはリサイクル部品の販売団体を業界の窓口にしたかったようだ。とくに自動車業界は運輸省という自動車の安全や車検・整備業界で実権を握っているライバルがあり、それをけん制するためにも自動車リサイクルに関しては運輸省には手を出させないように、リサイクル部品という新しい概念を導入し、この業界を管轄する先手を打ちたいという思いもあったに違いない。

 しかし、豊島事件によって自動車リサイクル業界には「逆有償」の嵐が吹き始めた。そこで、自動車リサイクル用の廃車も逆有償取引となるケースも散見されるようになり、厚生省というもう1つのプレーヤーが登場する。通産省は運輸省だけではなく、厚生省もけん制する意味から「自動車中古部品卸売業」という新しいコードでの統計整備を、2002年の改定の産業分類から実施することを発表した。そして、この分類が自動車リサイクル部品業界のアイデンテティともなった。

 結局、自動車リサイクル用のクルマは廃棄物扱いとなり、自動車リサイクル法は経産省・環境省が共同で管轄する法制度として2005年から開始する。その前段階で廃棄物である使用済自動車を扱う自動車解体業者の業界団体として、首都圏の自動車解体業者の業界団体を取りまとめていた酒井清行氏がリーダーとなって日本自動車ELVリサイクル推進協議会が発足した。こちらは自動車リサイクル法対応の業界団体の窓口であり、経産・環境両省への窓口となった。

 それゆえからか、現在も日本産業分類では奇妙かつ興味深い業界分類が続いている。

5423 自動車中古部品卸売業

細分類の説明:主として自動車の中古部品を卸売する事業所をいう。 ただし,鉄スクラップを卸売する事業所は中分類53[5362]に分類される。

5362 鉄スクラップ卸売業

 「5362 鉄スクラップ卸売業」とは、日本標準産業分類における鉄くず(鉄スクラップ)を集荷・選別して製鋼原料として製鉄業者などに卸す事業所を指し、廃車処理業(解体を主とするもの)も含まれるが、スクラップを電気炉に投入できるよう加工処理する「鉄スクラップ加工処理業(製造業:2292)」とは区別される。また、自動車から部品を取り出すことを主目的とする場合は、自動車卸売業(5423)に分類される。

 しかし現在は、自動車解体用のクルマは鉄源以外も非鉄、レアメタル等も含む都市鉱山ともなっている。しかもこの4月から自動車由来のプラスチック類を再資源化し、ASR量の削減も目指した解体インセンティブ制度も発足する。そして、プレーヤーは中華系やパキスタン系をはじめとする様々な外国人業者も本格的に参入している。彼らとともに新しい市場を創り上げていくことができるかは、今後の自動車リサイクル業発展のカギともいえよう。

これからも業界の動向をしっかり観察していきたい。

(熊本大学 外川健一)

写真)記者会見で日本自動車リサイクル機構との合併に関して前向きに取り組むことを宣言した川島会長ほか、16期のリ協理事等。

 

関連記事

新着記事

ランキング