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AIがリサイクルの現場を変える――いや、AIの力で変えよう(中編)

2026/01/22 09:58 FREE
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AIがリサイクルの現場を変える――いや、AIの力で変えよう(中編)

前編で述べたとおり、リサイクル産業は「処理の業界」から「循環の業界」へと変わる岐路に立っている。
しかし、その変化は理想論では起きない。現場を動かす仕組みそのものを変えなければならない。

ここで、まず直視すべき現実がある。
日本の資源循環では、技術の進化よりも先に「投資」が評価されてしまっているという事実だ。

設備を入れた。
補助金を使った。
採択された。
報告書を書いた。

だが、その後に

  1. 歩留まりは上がったのか
  2. 品質は安定したのか
  3. 稼働率はどう変わったのか
  4. 何が改善され、何が失敗だったのか

こうした問いに、定量で答えられるケースは驚くほど少ない。

結果として、歩留まりも、品質も、実装レベルでは大きく変わらない
にもかかわらず、「循環している」「投資している」という言葉だけが独り歩きする。

 

この構造を放置したままでは、当然こうなる。
新しいリサイクル技術は育たない。

本当に必要なのは、派手な構想ではない。
前処理、選別、異物除去、阻害因子の低減、工程条件の最適化、品質の規格化は現場にしか見えない改善の積み重ねだ。

ところが、それらは文章にしにくく、絵にもなりにくい。
その結果、評価の対象から外れ、代わりに「設備」が主役になる。

 

次に起きるのが、設備購入が目的化する病である。

日本のリサイクル業界は、ヨーロッパに強い憧れを持つ。
欧州の事例を見て、「同じ設備を入れれば同じ成果が出る」と錯覚する。
だが、原料の質も、回収の仕組みも、制度も違う。

設備は魔法ではない。
原料が違えば詰まる。
異物が違えば壊れる。
水分、塩素、油分が違えば、歩留まりも品質も簡単に崩れる。

現場に合わせた前提設計も、運用設計もなく導入された設備は、やがて高価な置き物になる。

結果として、

  1. 不要な設備投資が増え
  2. 固定費と減価償却だけが重くなり
  3. 改良や研究に回す余力が削られ
  4. 技術が更新されない

という悪循環が生まれる。

表面上は「投資している」のに、実態としては「技術が進んでいない」。
これが、今の日本の資源循環が抱える最も痛い矛盾の一つだ。

 

さらに問題なのは、こうした設備投資の多くに、国や自治体の補助金・公費が使われているという点である。

「補助が出るから導入する」
「採択されるから設備を選ぶ」
「予算を消化するために入れる」

こうした判断が、無意識のうちに正当化されていく。
その結果、使いこなされない設備に、巨額の公費が流れ込む。

その原資は、私たちの税金だ。
無駄な設備投資が積み上がれば積み上がるほど、財政は圧迫され、
そのツケは最終的に、一般の生活に跳ね返ってくる。

 

ここでAIの役割がはっきりする。

AIは「設備を入れたかどうか」を評価しない。
見るのは、その後だ。

  1. 稼働したのか
  2. どの条件で止まったのか
  3. 歩留まりはどう変わったのか
  4. 品質は改善したのか
  5. 投資額に対して、成果は見合っているのか

こうしたデータを、時間軸で、客観的に、逃げ場なく可視化できる

つまり、AIは“公費を使った設備投資そのものを管理・検証する装置”になり得る

補助金を出して終わりではない。
導入して終わりでもない。
成果が出なければ、次は出さない。
成果が出た技術だけが、次へ進む。

そうした当たり前の循環を、ようやく回せるようになる。

 

これは監視ではない。
健全化である。

AIによって、

  1. 実装のない投資
  2. 見栄えだけの設備
  3. 成果の出ない事業

は、自然と淘汰される。

そして初めて、現場で本当に汗をかいて技術を磨いている人間が、正当に評価される。

次回の後編では、なぜこれまで「耳障りの良い文章」と「語るだけの構造」が力を持ち続けてきたのか、そしてAIがそれをどう終わらせるのかを、さらに踏み込んで書きたい。

 

( 利祭来留夫)

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