脱炭素経営が叫ばれる一方で、「何から始めればいいかわからない」「可視化した先が見えない」と悩む企業は少なくない。そうした声に真正面から向き合うのが、伊藤忠丸紅鉄鋼が展開する脱炭素ビジネス支援サービスである「MIeCO2」(ミエコ)だ。CO₂排出量を可視化するだけにとどまらず、それを“活かす”ことで導入企業の利益へとつなげるソリューションを提供している。
見える・教える・減らす・活かす
先述した通り、ミエコの特徴は、CO₂の可視化(見える化)にとどまらない点にある。ミエコは「見える」「教えて」「減らせる」「活かす」の4つのサービスから構成されており、NTTとの共同開発による可視化ツールを基盤にしつつ、提供するソリューションのラインアップは多岐にわたる。
その中でも伊藤忠丸紅鉄鋼が力を入れているのが、SBT認証取得やメディアへのPR支援などを含めた“活かす”支援だ。HPのブランディング支援では現行HPの課題を整理し、目的や競合分析を踏まえた上で、ユーザー視点のデザイン・構成へと再構築を支援。脱炭素の取り組みや採用情報を正確かつ効果的に発信できるような仕様とした。
2020年の社内コンペ時代から同サービスに関わる加藤俊哉氏(MleCO2プロジェクトリーダー)によれば、「可視化したデータを使って、企業の独自性をどう打ち出すか。そこまでを導入企業と共同で取り組むサービスは少ない」という。多くのSaaS型サービスでは、導入後はトラブル時のサポート程度で、それをどう活用するかは導入先企業の自己責任となるが、社内に脱炭素分野に秀でた専門人材が確保できていない企業も多い。

その課題に真正面から向き合ったミエコの“活かす”ソリューションは高い評価を受けており、引き合いも着実に増えている。可視化して終わりではなく、「その情報をいかにビジネスに落とし込み、企業の利益に変えるか」というミエコの事業戦略が顧客ニーズを的確に捉えている証拠といえる。
2025年12月には、東京ガスと共同で鋼材・加工メーカー向けに低炭素鉄鋼製品の開発・販売を支援するサービスの提供を開始したと発表した。既に初号案件としてウインファーストとの契約を締結しており、26年5月頃に低炭素鉄鋼製品の販売を開始する計画だ。
ウェットな伴走支援
また、通常はサービス外とされがちな業務までカバーする「ウェットな伴走支援」もミエコのこだわりの一つだと加藤リーダーは強調する。ミエコ導入以前の過去データの収集・入力や初期設定なども率先して行い、必要最低限のコストしか割けない中小企業の頼もしい味方となっている。
現在の顧客は鉄鋼関連が7~8割を占めるとのこと。伊藤忠丸紅鉄鋼として蓄積してきた鉄鋼業の知見が大きな武器となっている。あらゆる産業は直接間接に鉄鋼製品に接していることから、サービス自体は業界を選ばずに適用できるため、今後の広がりにも期待したい。
(IRuniverse K.Kuribara)