一般社団法人日本鉄鋼連盟は、四半期に一度、足元の鉄鋼需給動向に関する説明会を開催している。
東京地区においては、2026年1月28日(水)15:30~ 鉄鋼会館802において、2025年度第3四半期鉄鋼需給説明会が開催された。
大阪は1月30日(金)10:30~から鐵鋼会館(大阪)にて、名古屋は1月27日(火)14:30~ツドイコ名駅東カンファレンスセンターで開催された。
なお、対面での説明会は今回で最後となる。 需給説明会の終了受けて、説明会で配布された資料が鉄鋼連盟のHPに公開された。
鉄鋼需給四半期報及び2026年度鉄鋼需要見通しが公開された。
トピックスでは、「2026年度鉄鋼需要見通し」が説明された。上記参考資料をご参照ください。
鉄鋼連盟では、既に下記記事にあるように2025年12月25日に公表しているが、その詳細が2025年度との比較で詳細に説明された。
鉄鋼連盟、上向井(うえむかい)グループリーダーが2026年度の鉄鋼需給見通しについて説明した。
鋼材内需計は、土木・造船・産機が25年度から微増となり、26年度は前年並みとなるものの、 全鉄鋼輸出は、世界的な通商措置が拡大するなか、中国の高水準の輸出が継続し、鉄鋼貿易環境は引き続き厳しい状況とした。
・鋼材内需計(普通鋼+特殊鋼)を、25年度:4,848万トン(前年度比2.2 %減)に対し、2026年度4,849万トン(+0.0 %)の見通し。
・全鉄鋼輸出について、2025年度:3,022万トン(前年度比4.6 %減)に対し、2026年度:2992万トン(1.6 %減)の見通しとした。
なお、中国の国内経済の減速等に伴い鉄鋼需要も弱含むなか、需給ギャップが縮小せず、鋼材輸出の高水準が続くなど、国際市場への供給圧力は依然として大きい、中国の鋼材需要を分析し、鋼材需要のGDP弾力性は近年、低下傾向にある減少について、不動産投資ショックの一過性のものでなく、構造的需要減少トレンドによるものとした。 これにより、国際市場への供給圧力は継続することを懸念した。
1月22日に鉄鋼生産速報及び1月の鉄鋼需給の動きが発表されている。
鉄鋼生産速報値では、
2025年12月の粗鋼生産は657万トン、前月11月(677.6万トン)比3.0 %減、前年同月(688.7万トン)比では4.8 %減となり、 2025暦年粗鋼生産は8,068万トン、2024暦年(8,401万トン)年比4.0 %減の見通しとした。
なお、鉄鋼生産速報に関する下記記事もご参照ください。
2025年12月鉄鋼生産速報 2025暦年粗鋼生産量は8,068万トンの見通し
11月に開催された、第4/四半期鉄鋼需給説明会の資料は下記よりご覧ください。 中国鉄鋼業の最近の動向を知ることができる。
本記事では、鉄鋼会館(東京)で開催された説明会の概要を紹介する。 東京地区では、「最近の鉄鋼需給動向」についての説明は、 小曾根(おぞね)潤氏[三井物産(株)鉄鋼製品本部本部長補佐](下写真右)が、 トピックス「2026年度の鉄鋼需要見通し」についての説明は、 日本鉄鋼連盟 業務部 国内調査グループの上向井グループリーダー(下写真 左)が説明された。

鉄鋼会館にて開催された需給説明会。開催の挨拶をされる、上向井グループリーダー(写真左)
対面での開催は、今回が最後となる。
「最近の鉄鋼需給動向」
1. 概要 日銀短観(国内の需給判断DI/鉄鋼)では、需要不足との判断が続く。
鋼材需要は、需要産業活動が総じて低調であり減少基調。 多くの鉄鋼メーカーが需要見合いの生産に徹する状況が続き、粗鋼生産は前年割れで推移。
鉄鋼連盟が発表した2025年12月鉄鋼生産見通しは下記のとおり。
○ 銑鉄生産は481.3万トンと前月比0.5 %減、前年同月比6.9 %減となり、前年同月比では9か月連続の減少。
○ 粗鋼生産は657.5万トンと前月比3.0 %減、前年同月比4.8 %減となり、前年同月比では9か月連続の減少。12月の1日当たり粗鋼生産は21.2万トンで、11月の同22.6万トン比6.1 %減。
○ 炉別生産では、転炉鋼が491.6万トンと前月比1.1 %減、前年同月比5.8 %減、電炉鋼が165.8万トンと前月比8.1 %減、前年同月比1.8 %減となり、前年同月比では転炉鋼は9か月連続、電炉鋼は2か月ぶりの減少。
○ 鋼種別生産では、 普通鋼が507.4万トンと前月比3.0 %減、前年同月比5.9 %減、特殊鋼が150.0万トンと前月比2.8 %減、前年同月比1.0 %減となり、前年同月比では普通鋼は2か月連続、特殊鋼は4か月連続の減少。
○ 熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は585.9万トンと前月比2.8 %減、前年同月比4.9 %減となり、前年同月比では2か月ぶりの減少。
○ 普通鋼熱間圧延鋼材の生産は459.8万トンと前月比3.6 %減、前年同月比5.8 %減となり、前年同月比では2か月ぶりの減少。 ○ 特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は126.0万トンと前月比0.5 %増、前年同月比1.2 %減となり、前年同月比では3か月連続の減少となった。
2.普通鋼需要動向
鉄鋼連盟が発表した2026年1月の鉄鋼需給の動き(表6)を下記に示す。 建設業における鋼材受注は前年割れ、製造業においても総じて弱い。

上記(表6)によれば、
○11月の普通鋼鋼材受注(内需計)は、前年同月比0.6 %増の274万トンと3か月連続で増加
・ 建設用(3.3%減)は、土木(12.7%減・16か月連続)、建築(0.6 %減・3か月ぶり)、その他建設(2.2 %減・3か月ぶり)がともに減少したことから、全体では3か月ぶりの減少となった。
※その他建設用:建築金物、建築用付属資材(配管・配線用、サッシ、シャッター等)、仮設材(足場鋼管、メタルフォーム等)など。
・ 製造業用(0.1 %減)は、造船(1.7 %増、4か月連続)、自動車(3.0 %増・4か月連続)、産機(3.4 %増・3か月連続)が増加したものの、電機(10.2 %減・4か月ぶり)が減少したことにより、全体では4 か月ぶりの減少となった。
・ 建設向けのウェイトが高い販売業者向け(4.6 %増)は2か月ぶりの増加となった。
・ 内需全体(0.6 %増)では3か月連続で増加となった。
・ 輸出向け(7.6%減)は2か月連続で減少となった。
○11月の特殊鋼鋼材受注(内需計)は、前年同月比1.2 %増の85.3万トンと2か月ぶりの増加
・ 製造業用(0.6 %増)は、自動車(1.0 %減・6か月ぶり)が減少したものの、産機(14.4 %増・3か月連続)、次工程(0.2 %増・2か月ぶり)が増加したことから、全体では2か月ぶりの増加となった。
・ 内需全体(1.2 %増)は2か月ぶりの増加となった。 ・ 輸出向け(0.02 %減)は3か月連続の減少となった。
3.需要産業別の動向:土木部門
<公共土木の足元動向>
・一般公共事業予算及び国土強靭化予算は前年とほぼ同水準。防災・インフラ老朽化対策及び地方活性化に充填が置かれている。
⇒見通し 人手不足のほか労務費・資材費の高騰の影響はあるものの、24年度の4Qが低調に推移したため、25年度4Q鋼材消費は前年同期比では増加する。
<民間土木の足元動向>
・民間土木の受注額は、好調な企業収益を背景とした設備投資需要に支えられ、活動水準は堅調に推移
⇒見通し 25年度は前年度より鋼材消費の増加が見込まれるものの、25年4Qでは前年同期比で減少が見込まれる。
4.需要産業別の動向:建築部門
<住宅部門の足元の動向>
住宅全体の4Qの鋼材消費は、前塩同期比減少の見通し。
持家:25年上期には、昨年の法改正いよる駆け込み需要の反動減がみられたが、足元は、建築コストの上昇に伴う住宅価格高騰などにより、戸建住宅は引き継木々低調に推移。
貸家:人件費含む建築コストの上昇、金利の先行き不透明感による下押し要因の影響が引き続き懸念。
<非住宅部門の足元の動向>
非住宅全体の4Qの鋼材消費は、前年同期比減少の見通し
鉱工業用:低調。設備投資意欲は旺盛ではあるものの、人手不足・資材高による工事の見直し・先延ばしの影響続く。
運輸業用:首都圏では倉庫空室率が上昇する一方、関西圏・名古屋件では需要増。 商業サービス用:オフィス需要やインバウンドによる宿泊施設等に潜在的な需要はある一方、店舗が弱含み。
5.需要産業別の動向:製造業 造船部門
<造船部門の足元動向>
・手持ち工事量は、高水準を維持しつつも、設計人員や現場労働力の人手不足や労働規制に加え、新燃料船への対応、資機材供給制約などの影響から、起工は頭打ち。
⇒見通し 手持ち工事業は高水準を維持しつつも、人手不足など供給生百が引き続き影響し、25年度の起工、鋼材消費はともに微減、横ばい。25年度4Qでは、鋼材消費は減少の見通し。
6.需要産業別の動向:製造業 自動車部門
<自動車部門の足元動向>
・完成車生産は、国内では消費者の節約志向により需要が伸び悩むなか、中国での自動車生産増加に伴う日系メーカーの需要減など、力強さを欠く状況が続く。
・KDセットは米国の関税製作の影響のほかに、中国での日系メーカーのシェア低下など、需要減は継続。
⇒見通し 完成車は、日系メーカー車の国内外の需要減や、半導体供給懸念などを背景に、生産台数は減少の見込み。 KDセットは、米国関税の影響などによる需要減が見込まれる。
7.需要産業別の動向:製造業 産業機械部門
<産業機械部門の足元動向>
・建設機械は、内需は依然低迷であり、外需も米国関税の影響が不明瞭ではあるが、北米は在庫調整が進展し、欧州も需要は底打ちとみられる。
・工作機械は、国内では自動車分野が低調ななか前年割れが見込まれるものの、中国、ASEANでは、設備投資が拡大基調。
⇒見通し 4Qの鋼材消費は建設機械では北米で在庫調整が進み、前年並みを見込む。 工作機械では、外需を中心に底打ち感がみられ、4Qの鋼材消費は増加の見通し。 産機部門の鋼材消費(4Q)は前年から増加の見込み。
8.需要産業別の動向:製造業 電気機械部門
<電気機械部門の足元動向>
・電気機械部門は国内電力需要の高まりやネットワーク設備の増設により、
・電機械や通信機械で回復が維持される。足元は前年並みで推移。
・家電は、実質賃金の改善に時間がかかるなか、消費者の購買意欲低下から前年比減少。
⇒見通し 重電機械は、回転電機、静止電機ともに需要が増加し、4Qの鋼材消費は増加の見通し。電気部門全体では部門により濃淡があるものの、回転電機、静止電機ともに増加が見込まれる重電機械や、基地局投資を背景とした通信機械の堅調な推移に支えられ、4Qの鋼材消費は増加の見通し。
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