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【SMM オンラインウェビナー】アジアの銅・アルミスクラップ市場 2025年の市場総括と2026年の展望(前編)

2026/02/12 13:26
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【SMM オンラインウェビナー】アジアの銅・アルミスクラップ市場 2025年の市場総括と2026年の展望(前編)

2月10日、SMM(Shanghai Metals Market)は「アジアの銅・アルミニウムスクラップ市場において、2025年の市場総括と2026年の展望」ついて報告するオンラインウェビナーを開催した。今回は前編として、Senior Copper AnalystのRyan Aw Yong氏が報告したアジアにおける銅スクラップ市場の動向を、次報である後編ではSenior Aluminum AnalystのKY Chin氏が報告したアルミスクラップ市場の動向について報告する。

アジアが主導する世界の銅スクラップの需給

現在、アジアは世界の金属スクラップ取引における最大の受け皿となっている。世界で取引されるスクラップの半数以上がアジアへ流入しており、この比率は今後も上昇が見込まれる。各国が資源安全保障の観点から規制を強化するなか、グローバルなスクラップ取引は構造的な転換期に入っている。2021年に約52%であったアジアの輸入シェアは、2025年には62%に達すると予測されている。

世界的に見ると欧州と米国は依然として主要なスクラップ供給源であり、アジアは最大の消費拠点である。製造業の集積と再生金属需要の拡大を背景に、アジア向けのスクラップ輸出は増加傾向にある。以下にアジア主要国である中国、韓国、日本、インドにおける銅スクラップの価格動向についてまとめる。

中国
アジア主要国の中で最大の輸入国であり、高純度スクラップへのシフトを進めている。品質基準の厳格化により高グレード銅スクラップの需要が拡大している。米中貿易摩擦の影響で調達経路の多様化が進み、日本を含む周辺国からの調達が増加している。
銅スクラップ市場としてはMillberry(純度約99.9%の銅の等級)の価格はが約96.5%から97.5%、No.1 Copper Material(純度99%以上の等級)が95%から96%、No.2 Copper Material(純度約94〜96%程度の等級)が93%から94%で推移している。
電解精錬向け粗銅の大規模な処理能力と、原料を含むスクラップに対する旺盛な需要が価格を押し上げている。2025年後半以降は税金込みスクラップへの需要が強まり、価格の弾力性も高まった。

韓国
国内供給の逼迫が続き、製錬業者は海外調達への依存を強めている。調達価格で中国市場と競争することが難しいなか、中国の買い手とつながる取引業者や仲介業者は国内精錬業者が支払える水準を上回る価格でスクラップを買い付ける構図が生じている。
結果として国内資源の流出が進み、需給の逼迫感が続いている。
銅箔産業の集積により高グレード材の需要が強く、銅スクラップ市場としてはMillberryの価格が97%から98%と域内で競争力が高い水準に形成されている。
一方、No.1 Copper Materialは94.5%から95.5%、No.2 Copper Materialは92%から93%である。

インド
高い経済成長を背景にスクラップ輸入を拡大している。比較的緩やかな輸入規制とコスト優位性により、被覆ケーブルなど低グレード材も加工目的で流入している。これは国内で再処理され、一部は中国向けに再輸出される一方、大部分は国内の銅線需要や電解精錬向け粗銅向けの原料として使用されている。
2026年も消費拡大と規制環境を背景に輸入の増加が見込まれる。
銅スクラップ市場としてはMillberryの価格が96%から97%、No.1 Copper Materialが93%から95%、No.2 Copper Materialが91%から93%である。
低品質材の流入が多いことから、No.1およびNo.2の価格は総じて低めに形成されている。

日本
アジアの重要な輸出拠点であり、成熟したリサイクル体制を持つ。確立された回収と選別の仕組みにより毎年相当量のスクラップが発生している。日本は真鍮スクラップの主要供給国でもあり、銅スクラップ輸出の約30%から40%は真鍮スクラップが占め、その多くが中国向けである。
2025年はスクラップの輸出入が増加したが、これは米中貿易摩擦を背景とした貿易フローの再編が影響したとみられる。加えて日本で事業を展開する中国系リサイクル企業の存在感が高まっており、スクラップ資源の国外流出が強まっている。
銅スクラップ市場としてはMillberryの価格が96%から97%、No.1 Copper Materialが94%から96%、No.2 Copper Materialが93%から94%である。
No.1およびNo.2の水準は韓国よりやや高いが、中国市場と比べると依然として競争力に欠ける。中国系企業の活動拡大により、スクラップの国外流出が加速している。

2026年に向けた市場再編の方向性

2026年の銅スクラップ市場は、各国の政策変更により再編が進む見通しである。西側のスクラップ輸出国はリサイクル資源を国内により多く留める方策を検討しており、関税や輸出枠など輸出障壁の導入可能性が意識されている。インドは2026年に拡大生産者責任制度を本格導入し、国内リサイクルと輸入の均衡が重要課題となる。

タイやマレーシアなど東南アジア諸国は、低品質スクラップの流入による廃棄物の受け皿化を避けるため政策を見直している。日本と韓国がスクラップ資源の国外流出を抑える措置を取るかどうかは依然として不透明である。

米中関係の先行きや原産地証明を巡るコンプライアンス問題も重要なリスク要因である。輸出国の規制強化と需要国の資源確保競争が重なることで、世界の銅スクラップ取引は地域内循環へと向かい、大陸間取引は制約を受ける可能性が高い。銅スクラップは世界の銅バリューチェーンにおいて戦略的な位置付けをさらに強める見込みである。

【SMM オンラインウェビナー】アジアの銅・アルミスクラップ市場 2025年の市場総括と2026年の展望(後編)に続く

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(IRuniverse Midori Fushimi)

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