2月13日10時、新日本電工は前日発表した25/12期決算を受けて、説明会を開催した。説明に使われた資料はこちら。説明は青木社長が行った。

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<決算サマリー>

〇25年実績(資料1ページ)
25年の経常利益の実績、会計上は27億円ということで、対24年年比、22億円の減益。ただ、これのほとんどが在庫の影響によるもので、高い時の原料在庫が、使われたという、ネガティブな影響があった。それを除くと53億円と、21年以降、50億円以上を、5年間連続して達成できたということ。
同社は、どうしても合金鉄を使う原料の上がり下がりによって経常利益が大きく左右されるので、そういった影響を除去した実力ベースでの経常利益を非常に重要な経営指標として考えている。これをベースに、配当も決めている。(配当の)前提となる利益は53億円だったということ。
〇26年見通し
今年は、去年の原料価格の上がり下がりが少なかったということで、在庫はほとんどないとみており、その前提で経常利益、実力利益とも60億円とみている。
あと、同社の場合、24年から27年までの中期経営計画、これを展開しているが、これも後ほど説明するが、合金鉄はちょっと市況の関係で非常に苦戦をしているが、それ以外の事業は極めて順調で、特に最近、焼却灰資源化事業の関係で昨年の11月に大きな投資の意思決定をして、順調に進んでいる。
〇株主還元
株主関連も積極的に進めており、昨年は8月から10月までの間に40億円の自社株買いを実施した。また、25年の年間配当金を12円ということで確定した。これは中間5円、期末は7円ということで、25年はちょうど100周年ということで、記念配当を含めて12円と決めた。26年は、60億円を前提にした配当金は13円。なお、自己株買いをしたということで発行済み株式数は減ったことを受けて、従来、配当の下限を10円としていたが、下限を11円に引き上げたことがポイント。
<25/12期実績>
〇合金鉄・マンガン鉱石市況動向(同6ページ)
25年の合金鉄のマーケットは、高炭素フェロマンガン、資料の赤いグラフが、その市況の推移。24年は、上がって下がって、25年は下がって少し戻した。結果として、24年と25年の市況の平均値は、あんまり変わらなかった。
一方、原料の方も影響する部分がある、24年は、オーストラリアで大きなサイクロンがあり、大きな優良な鉱山が出荷停止になった。こういうこともあって需給が締まる局面があった。こちらについては、先ほど説明した在庫影響が、ここで影響している。要は、製品の値段が変わらない中で、この時期に使った原料が、この高い時期であったということで、これを除去して実力ベースの損益を指標にしている。
そういった意味で、国内の合金鉄マーケットに関して実力ベースで言えば24年と25年はあんまり大きな変化はなかったことになる。
〇業績(同7ページ)
ただ、一方で、マレーシアに拠点を持っており、そこでシリコマンガン、フェロマンガンの2つあるが、特にフェロシリコンの市況は、歴史的にも最低レベルというようなところまで、ドーンと下がった。これが非常に大きな経営のインパクトを与えた。そのことを受けて、連結業績の実績は、売上高は、ほぼ変わらず10億円の減で、773億円。経常利益は、先ほど説明した在庫影響というものがあったことで、27億円。在庫影響等を除いたところでは、ほぼ前年並み、前年よりもちょっと良い53億円だった。
〇事業別:実力ベース(同8ページ)
事業ごとに見ていくと、合金鉄は、実力ベースで24年に対して▲9億円。その他の事業、特に焼却灰資源化事業での増益が結構大きく、その分で全社的にはほぼ横ばいの実力ベースの利益を捻出することができた。
〇損益分析(同9ページ)
まずフェロシリコンの市況悪化で▲5億円の大半。25年は合金鉄で(レンガを張り替える)大きな定修があった。これで稼働率を下げたことで▲4億円。収益の改善等でリカバリーしてほぼ横ばいの実力ベースの利益となった。
●合金鉄(同10ページ)
国内は17億円円から12億円に減っているが、定修影響がほとんど。海外は、▲6億円から▲10億円になったが、そのほとんどが、フェロシリコンの市況悪化が、響いた。
●機能材(同11ページ)
20億円から22億円に増益になったが、コストの悪化の分を、価格改善に取り組んだということでリカバーし、増益となった。
●焼却灰資源化
14億円から21億円と増益になったが、物価上昇、人件費のアップ等々のコストの悪化はあったが、灰をたくさん集めるとか、あるいは灰の処理単価を上げた。1番大きいのが、いわゆるパーフェクトリサイクルということで、灰の中から貴金属を取り出す、パーフェクトリサイクルを実現しているが、その貴金属の市況が、金が相当高騰した。このようなフォローの風が吹き増益を拡大させてくれた。そういったことで+7億円ほど(収益改善の+13億の内訳)。
〇B/S、C/F
資料の12ページを参照。
<26/12期見通し>
〇事業環境(同14ページ)
合金鉄。実はヨーロッパの合金鉄業界が非常に厳しい。安い輸入品が入ってきて困るということで、昨年の11月にセーフガードを発動した。要は、ある一定の量を超えると、高い値段でしか入れちゃいけないというセーフガード。
それから電池、自動車用の電池、EVが今スローダウンしているので、電池用材料が非常に厳しい状況になっている。
地政学リスクの高まりということで、特に国名を挙げるとあれだが、中国の問題っていうのが相当懸念される。ただ一方で、温暖化対策とか循環型社会の構築、こういったところのニーズは引き続き高い。
〇取り組み(同15ページ)
●こういうが外部環境の中で同社として、どういう状況にあるかといると合金鉄に関しては、世界的な鉄鋼のマーケットが弱いということで、原料のマーケットもあまり強くない。ある意味安定しているということで、在庫影響が今年はなくなるとみている。
一方で、このセーフガードが発動されたことによって若干その市況が改善したという部分もあるが、その先、需要そのものが非常に弱いということで、先行きが不透明(同社の高炭素フェロマンガン市況は欧州市況がメインの指標となっている)。
●EVの普及停滞の影響で、電池の受託事業の一部が、契約終了になるという事態が起きている(同社はもともとマンガン系をやっていたが、三元系も手掛けるようになり、住友金属鉱山から委託を受けて販売していたが、その委託が無くなった)。これはちょっとネガティブな動き。
●米中の摩擦等の問題があり、日本では同社しか作ってないような材料も結構あるので、そういったものに対する期待が一方で高まっているという部分もある。
●焼却灰資源化は、引き続き需要が増えていくということでこれは拡大している状況。
●事業ごとにどう取り組むか?
合金鉄は、同社ができるコスト削減体制強化策、これは徹底的にやっていく。機能材は、やはり先端的に尖った製品、同社でした作ってないようなものも結構あるので、付加価値に合った値段を頂戴するような交渉を進めるとともに、脱中国の事業の取り組み、同社はレアメタルを結構輸入しているので、そのリスクを下げるような多角化、調達先の多角化も進めていく。環境面では焼却灰資源化、投資を決めたので27年に向けて準備を進めるとともに収集量の拡大、27年から新しい設備が直ぐに稼働できるように収集を進めてく(同社のライバルはDOWA HDやセメントメーカーになる。セメントメーカーは国内需要の低迷に加え、製品である普通ポルトランドセメントへ転嫁に限界が来ているで、同社にとってはチャンスになっている)。アクアソリューションは、PFAS(有機フッ素化合物)除去などに取り組んでいく。
〇合金鉄・マンガン鉱石市況動向(同16ページ)
合金鉄の市況、赤い線が欧州、黄色が米国。欧州がセーフガードを発動したことで市況が上昇した。米国はあまり動いていなかったが、ここにきて動き始めたが、欧州が弱含んできた。これはやはり需要自体が弱いため。これから市況はどうなるのかわからない。
同社は欧州と米国の価格を前提(国内価格は、欧州をメインに米国を参考にして、3ヵ月毎に、前3ヵ月の平均価格が基本となる。例:1-3月の販売価格は、10-12月の市況平均が基準)に価格を決める仕組みになっているので、これらの市況が非常に重要。原料のかかくは大きく変動していないので、在庫影響はほとんど発生しないことを前提に26年の業績を想定している(原料であるマンガン鉱石は、南アから運んでくるため、在庫は4~5ヵ月ほどとなるので、収益に影響してくるのが遅れる。また、在庫は決算期末の価格が適用されるので、業績影響の価格と、在庫に影響する価格が違ってくるが、業績を設定する際、足元横ばいで想定することが多いため、在庫影響が発生しないことになる。)
〇業績見通し
では、26年の経常利益が53億円から60億円になるのか。焼却灰の収集量2割増を目指していることが大きい。電池材料の見通し不透明であるのでリスクとなるが、焼却灰と合金鉄のコスト削減を徹底して収益の確保を図ることでカバー。なので、会計上の経常利益が27億円から60億円円となる。
<2030年あるべき姿と第9次中期経営計画>については、長くなるので割愛するが、「新日本電工:2030年あるべき姿と第9次中期経営計画」へ。
<株主還元>(同29-31ページ)
25年は、自己株買を440億円行った。年間の配当は、普通配当11円、記念配当は1円ということで、合計12円。うち、期末配当は7円。
26年は、経常利益が60億円見通しなので、これを前提にした実力ベースでの当期利益を計算し、7掛けすると42億円になるので、42億を前提にして、配当性向の40%で計算したのは、13円なので、これを提示した。
一方で、冒頭説明した自己株買が減ることにより発行済み株式が1割減ったので、従来、配当10円を11円にする。そういったことを踏まえて、これまでの配当の推移は資料の31ページの通り。
この新しい中期計画を始める時に、あたらし還元方針を設定して、確実にそれはパフォームさせていく。
(IRuniverse 井上 康 )