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2025年の中古車輸出(4):軽自動車―Arata AbeのELV RECYCLE Report vol.98

2026/02/17 10:37
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2025年の中古車輸出(4):軽自動車―Arata AbeのELV RECYCLE Report vol.98

本連載のvol.95において、2025年の貿易統計上の中古車輸出台数は、輸出抹消登録台数よりも多く、輸出抹消登録台数と軽自動車輸出届出台数の合計よりも少ないことが示された。今回は軽自動車の中古車輸出台数を貿易統計から見ていきたい。

 

vol.95で示されたように、2025年の軽自動車輸出届出台数は16万台である。これは2010年以降のデータで過去最多である。また、2025年の輸出抹消登録台数、軽自動車輸出届出台数の合計は180.1万台であり、そのうちの軽自動車輸出届出台数のシェアは9%であり、過去最高となっている。つまり、量的にも割合的にも2025年の軽自動車は拡大している。

 

貿易統計では、乗用車において660cc以下のガソリンエンジン車として品目が設定されており、この中古車の数量を拾うことで軽自動車の傾向を把握できる。図1はこの品目における中古車輸出台数と、中古乗用車全体における660cc以下の割合の推移を示したものである。併せて軽自動車輸出届出台数も並べている。

 

これを見ると、貿易統計では、2020年の2.7万台から増加傾向であり、2023年以降、3年連続で過去最多を更新している。中古乗用車全体における660cc以下の割合も上昇傾向にあり、量的にも割合的にも拡大している様子が窺える。

 

2025年は対前年比143%の12.4万台となっているが、16万台の軽自動車輸出届出台数と多少の差はある。それには前回(vol.97)言及された少額貨物分があるが、それ以外に貿易統計の数量は乗用車のみであって貨物車が含まれないという問題がある。貿易統計の貨物車の区分では、660ccという境界線はなく、2000cc以下という品目に軽貨物車が含まれる。よって、この品目から軽貨物車の数量を抽出することは難しい。

 

図 1 660cc以下の中古車輸出台数、乗用車全体における660cc以下の割合の推移

出典:財務省貿易統計、軽自動車検査協会公表データより作成

 

 図2は、図1と同じ660cc以下の中古乗用車について、主要仕向地別に見たものである。これを見ると、前々回(vol.96)で見た中古車輸出台数全体とはやや構成が異なる。首位のアラブ首長国連邦は同じだが、2位のスリランカ、3位のパキスタンは、中古車全体では9位、11位だった。その他、アメリカやバハマ、東ティモールなど中古車輸出台数の主要仕向地としてあまり見かけないところも登場している。

 

図2では、各国において、2025年の中古乗用車全体における660cc以下の割合を示している。2025年の中古乗用車全体における660cc以下の割合は全体では8%だったが、スリランカ向けは39%、パキスタン向けは43%と高い割合となっている。それ以上にインパクトがあるのはフィリピン、ナイジェリアであり、それぞれ中古乗用車の97%、84%が660cc以下である。

 

 ロシア向けの数量は中古車全体では減少傾向だが、軽自動車は増加している。輸出禁止措置は1900ccを超えるガソリン・ディーゼル車と電動車等であり、660cc以下は対象外である。ただし、割合的にはロシア向けの中古乗用車の10%であり、多いというわけではない。

 

 

図 2 660cc以下の乗用車(ガソリンエンジン)の中古車輸出台数(主要仕向地)

出典:財務省貿易統計より集計

 

 図3は、図2の660cc以下の輸出中古車について主要5か国の平均単価(千円)の月別推移を示したものである。仕向地によって年式規制等に違いがあれば、その単価も変わってくる。スリランカは2025年2月から実績が表れているが、その単価は他を大きく上回っている。

 

世界全体の平均は、40万円程度で推移していたが、2025年からスリランカに引っ張られるかのように上昇し、7月には80万円にまでなっている。この月をピークに下降に転じており、12月は55万円となっている。図3に示される上位国では、ロシア向けが上昇傾向だが、パキスタン向けは下降傾向にある。アラブ首長国連邦、フィリピンは20万円を下回る水準でほぼ横ばいである。つまり、平均単価は上昇傾向というわけではない。

 

図 3 660cc以下の乗用車(ガソリンエンジン)の輸出中古車の平均単価(主要仕向地、単位:千円)

出典:財務省貿易統計より集計

注:金額/台数により算出したもの

 

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阿部新(Arata Abe)

山口大学 国際総合科学部・教授

2006年一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。

同大学研究補助員を経て、2008年より山口大学教育学部・准教授

2020年より同大学国際総合科学部・教授

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