Loading...

トルコ、欧州の新規風力導入で第2位に浮上 ― エネルギー政策が産業戦略としての意味を強める

2026/02/27 14:40
文字サイズ
トルコ、欧州の新規風力導入で第2位に浮上 ― エネルギー政策が産業戦略としての意味を強める

WindEuropeの「Wind energy in Europe: 2025 Statistics and the outlook for 2026-2030」によると、トルコは2025年に新規の陸上風力発電容量を2.1GW導入し、欧州で第2位となった。これは2024年の1.3GWから64%の増加である。年間で設置された風力タービンは合計467基、1基あたりの平均出力は4.6MWであった。これにより、トルコの累計風力発電設備容量は15.9GWに達し、欧州上位6カ国の一角を占める規模となった。

Source: WindEurope

 

この数字は再生可能エネルギー分野の力強い成長を示しているが、その意味は単なる発電量の拡大にとどまらない。エネルギー自立はアンカラにとって依然として戦略的優先課題であり、最近の制度改革は、風力発電を産業政策の構造的な柱として位置付ける動きを示している。2025年には、再生可能エネルギープロジェクトの事前許認可期間を最長48カ月から約15カ月へ短縮することを目的とした、いわゆる「スーパー許可(Super Permit)」制度が導入された。また、送電網への大規模投資計画も発表されており、電力インフラ拡張への長期的なコミットメントが明確になっている。

トルコは2030年までにさらに約11GWの陸上風力を追加し、総設備容量を26GW超へ拡大する見通しである。さらに2035年までに風力と太陽光を合わせて120GWを目標としている。この目標が実現すれば、同国の電源構成は大きく変化することになる。

風力導入の加速は、産業面にも影響を及ぼす。特に鉄鋼分野への波及効果は小さくない。陸上風力タービンは鋼材集約型の設備であり、業界推計では1基あたり約250〜400トンの鋼材が使用されるとされる。主にタワー部分である。2025年の設置実績を基にすれば、新規風力案件だけで10万トンを大きく超える鋼材需要が発生した計算となる。

さらに重要なのは、再生可能エネルギーの拡大がコスト競争力に与える影響である。トルコの鉄鋼産業は電炉(EAF)生産への依存度が高く、安定的で低コストの電力供給が不可欠である。再生可能エネルギー容量が拡大すれば、長期的な電力価格の安定につながり、エネルギー多消費産業を間接的に支える可能性がある。

この動きは、欧州の炭素国境調整メカニズム(CBAM)とも密接に関係する。欧州委員会は、移行期間の報告義務が2025年末まで継続し、2026年から財政的義務が開始されることを確認している。輸出企業にとって製品の炭素強度がより重要な要素となる中、国内電源の低炭素化は、EU市場におけるトルコ鉄鋼の競争力を強化する可能性がある。

したがって、トルコの風力拡大は単なる環境政策ではない。それは産業の強靭性、輸出戦略、そして規制が強化される世界貿易環境における長期的競争力と深く結びついた動きである。

出典:
WindEurope, Wind Energy in Europe: 2025 Statistics and the Outlook for 2026–2030
https://windeurope.org/data/products/wind-energy-in-europe-2025-statistics-and-the-outlook-for-2026-2030/

トルコ共和国エネルギー天然資源省「Super Permit(再生可能エネルギー許認可迅速化制度)に関する公式発表」
https://enerji.gov.tr/duyuru-detay?id=30589

 

**********************************************************

ゴヌルタス メーメット

トルコ・イスタンブールを拠点とするフリーランスジャーナリスト。国際関係および外交を中心に執筆しており、特に日土関係、軍事問題、民主的ガバナンスを主なテーマとしている。趣味はランニング、語学学習、旅行。

 

**********************************************************

関連カテゴリ

関連記事

新着記事

ランキング