トルコ統計機構(TUIK)のデータによると、2026年1月のトルコの鉄スクラップ輸入量は前年同月比15.4%増の170万メートルトンだった。輸入総額は8億3543万ドルで、前年同月比14.7%増、前月比1.7%増となった。数字だけを見ると堅調に見える。しかし実態はより慎重だ。ディープシーのスクラップ価格は横ばいが続き、鉄鋼製品の需要は極めて弱く、トルコの製鉄所は利幅の圧迫が続いている。1月の輸入量の増加は、新たな買い意欲というよりも、既存の契約履行によるものが大部分を占めている。
購買は需要でなく契約が主導
直近のトルコでのスクラップ購買は、新規受注への対応というよりも、既存契約を履行するための調達が主な動機となっている。この違いは重要だ。需要の改善に応じてではなく、供給途絶を避けるために調達しているということを意味するからだ。多くのメーカーは、状況が改善しない場合に備え、コスト管理と時間確保を目的とした短期的な生産停止の可能性も残している。
トルコの鉄鋼メーカーは特に長鋼材と鉄筋のセグメントで、引き続き厳しいマージンの下で操業している。国内の建設需要の低迷と輸出受注の少なさが、収益性を圧迫する二つの主因だ。国内のスクラップ回収量の制約や、比較的安定した国際運賃が、今のところ売り手側が価格水準を維持しやすい環境を作っている。しかし需要面に明確な改善が見られない限り、この脆弱な市場環境は続くと見られている。
米国がトップに、東欧も存在感を高める
1月の輸入データで最も注目される動きは、米国がトルコ最大のスクラップ供給国として浮上したことだ。米国は35万8153トンを供給し、2025年1月の14万7188トンから143.3%増となり、トルコの月間スクラップ輸入量全体の21%を占めた。この急増の背景には、米国スクラップの価格競争力、廃棄スクラップや工業グレードの豊富な在庫、そして同期間の大西洋航路の良好な運賃環境がある。
東欧の供給国も大幅な伸びを記録した。ルーマニアは前年同月比165.2%増の14万8806トン、リトアニアはトップ10の中で最も高い伸び率となる221.1%増の12万5295トンとなった。ロシアは71.7%増の12万1709トンだった。これらの増加は、主に従来の西欧供給国のシェアを奪う形で実現した。オランダは22万857トンで2位を維持したものの、前年同月比13.0%の減少だった。英国は24.2%減の15万5898トン、デンマークは最大の落ち込みとなる44.6%減で、前年同月の11万8954トンからわずか6万5952トンにとどまった。

欧州とバルト地域:混乱と移行期
欧州とバルト地域では、1月に厳しい冬の気象条件が物流に影響を与え、主要な伝統的供給国からの輸出量が減少した。気候要因にとどまらず、欧州スクラップ市場における2026年の成長期待も、セクター全体の本格的な回復を示唆するには至っていない。炭素排出削減に向けた議論の活発化は、中長期的な転換という観点からは前向きな動きと見られているが、足元の商業的な状況を直接改善するものではない。
政策面では、複数の生産国でスクラップ輸出規制の見直しやクロム輸出税の導入の可能性が引き続き業界の課題となっている。また、鉄鋼メーカーを対象とした新たな貿易措置が今年中に複数実施される見込みであり、地域全体のサプライチェーン計画にさらなる不確実性をもたらしている。
見通し:下振れリスクが強まっている
市場全体の見通しは、スクラップ価格の下振れリスクが増していることを示している。市場関係者の間では、2月末から3月初旬にかけて1トンあたり20ドル程度の価格修正が起きても驚きはないとの見方が出ている。短期的に価格が大きく反発するとの期待は非常に限られており、買い手は現在の価格水準では在庫を積み増さず、様子見の姿勢を取る傾向にある。
トルコの鉄鋼業界にとって、2026年初頭の道は険しい。鉄鋼製品の需要が低迷したままでは、スクラップ輸入量が増えても、鉄鋼の生産量やマージンの改善には直結しない。米国や東欧への調達先のシフトは新たなダイナミクスをもたらしているが、根本的な問題は解決されていない。トルコの製鉄所が本格的に回復するには、建設市場や輸出市場での需要拡大が必要だ。それが実現するまで、サプライチェーン全体で慎重な姿勢が続くだろう。
出典:
Turkish Statistical Institute https://www.tuik.gov.tr/
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ゴヌルタス メーメット
トルコ・イスタンブールを拠点とするフリーランスジャーナリスト。国際関係および外交を中心に執筆しており、特に日土関係、軍事問題、民主的ガバナンスを主なテーマとしている。趣味はランニング、語学学習、旅行。
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