バルカーの26/3期第3四半期は、先端半導体向け高機能シールが好調で33.0%の営業増益。通期では樹脂タンクの需要剥落で40億円の売上減額を見込む一方、利益予想16.7%経常増益を据え置く。27/3期の中計目標達成には課題が残るものの、半導体設備投資の拡大を背景に実質最高益更新を目指す方針で、投資判断はニュートラルを継続 。
26/3期半導体向け高機能シール好調で3.5%減収23.5%営利増予想、27/3期実質最高益へ
株価5050円(3/7) 時価総額944億円 発行済株18,689千株
PER(26/3DO予:18.5X)PBR(1.74X) 配当(26/3予)150円 配当利回り:2.97%
要約

26/3Q3は先端半導体向け高機能シール製品好調で6.8%増収33.0%営利増
26/3Q3は、売上高152.22億円(同期比6.8%増)、営業利益17.02億円(33.0%増)と、先端半導体向け高機能シール製品の好調で収益回復に。BBレシオも25/3Q4の1.03以来の1.02と1を超えてきた。

事業別に新分類のシール事業は売上高114.56億円(9.1%増)、営利15.74億円(26.6%増)、受注119.86億円(10.8%増)、受注残65.79億円(2.8%増)に。市場別売上では先端産業向けが46.0億円(10.8%増)と先端産業向けOリングなど高機能シールの販売が回復した。プラント向けも31.5億円(21.2%増)と回復、機器向けは37.0億円(横ばい)も、MIX良化で利益率の向上から大幅増益に。仕向け先では国内が75.9億円(4.3%増)と緩やかな回復も、海外が中国など好調で38.7億円(20.2%増)と牽引した。

機能性樹脂製品は売上高37.65億円(0.3%増)、営利1.27億円(3.5倍)、受注は35.04億円(19.8%減)、受注残45.01億円(6.2%増)と、先端産業向けフッ素樹脂加工品・タンクの受注が反動減で低迷、売上は受注残高消化が進み、微増を確保した。利益面では事業体制と生産拠点の見直しなどの効果が出始め、Q2の0.88億円営業赤字から黒字転換、同期比利益率でも2.4ポイント改善し、まだ低水準ながら3.4%に改善した。用途先では先端産業向けが20.5億円(13.9%増)と受注残高消化で増収、一方でプラント向けは20.0%減とフッ素樹脂タンクの減少が影響した。機器向けも9.0億円(5.3%減)と低調だった。仕向け先では国内が22.6億円(16.9%減)とフッ素樹脂タンクプラントの減少影響があり、海外は15.0億円(45.6%増)と急回復してきた。

全体を通じ市場別では先端産業向けが66.5億円(11.8%増)と高機能シールなどの好調、特殊タンクの伸び悩みがあったものの2ケタ増収を確保した。プラントは39.5億円(9.7%増)で受注残の消化が進み増収、機器は9.0億円(5.3%減)にとどまった。
26/3期3.5%減収23.5%営利増予想と樹脂タンク剥落し売上40億円減も利益変更せず
26/3期会社予想を、主に機能性樹脂製品事業の販売伸長率が悪く、これを考慮して売上を減額した。ただし26/3期の売上高を580億円(期初計画比40億円減額、3.5%減)としたものの、先端産業向け高機能性シールの販売好調、円安影響もあり、売上総利益は248億円(期初計画比6億円減額、11/5予想比6億円減額、4.2%増)、営業利益70億円(変更無し、23.5%増)、経常利益70億円(変更無し、16.7%増)、税引利益48億円(変更なし、2.6%増)予想を据え置いた。なお、再生ウエハ事業を除いたベースでは1.2%増収(期初計画比40億円減額、)、総利益248億円(期初計画比6億円減額、11/5予想比6億円減額、7.3%増)、営業利益は28.4%増予想となる(以下、前期の再生ウエハ事業を除いた新分類ベースで増減率を示す)。
製品別ではシール製品が売上高438億円(期初計画比2億円減額、11/5予想比14億円減額、6.9%増)、営利66億円(同10億円増額、同1億円増額、35.1%増)予想。高機能シール製品が一段と拡大し、MIX良化もあり利益大幅増予想に。一方、機能性樹脂製品は売上高142億円(期初計画比41億円減額、11/5予想比26億円減額、13.0%減)、営利4億円(同10億円減額、同1億円減額、29.2%減)予想。特殊タンク特需が剥落、先端市場向けが大幅未達となる見込みで、MIX悪化から利益大幅減予想に。
市場別では先端市場向けが248億円(期初計画比35億円減額、11/5予想比35億円減額、1.2%増)と高機能樹脂製品の特殊タンクの大幅減、高機能シール製品の大幅回復を見込み、全体では緩やかな回復に止まる予想。機器市場は176億円(期初計画比4億円減額、11/5予想比2億円減額、2.8%減)は自動車向け堅調も産機向けが低調継続で微減見通し。プラント市場は156億円(期初計画比3億円増額、11/5予想比3億円減額、2.2%増)予想と期初計画の近い見通しに。全体売上では23/3期を僅かに上回り過去最高売上予想とはなるものの微増収に止まるとした。但し現状、TSMCの投資再起動の動きがあり、加えて中国などでは高水準の半導体設備投資が継続しており、国内も半導体工場の新設が相次ぐなどで、先端市場向けの増額が期待される。
営業利益の増減分析では、先端市場向けの特殊タンクの大幅減額を高機能シール材の増額で埋めてMIX良化、円安寄与もあり、利益予想を維持した。
全体として先端産業向けの回復が遅れているが、ここに来て半導体新工場の設備投資がメモリ含め拡大基調を強めており、26/3期には寄与しないものの、27/3期には特殊タンク含め売上増が加速しよう。26/3期は円安が進んでいるものの、Q3累計で営業利益の進捗率が69.8%であり、逆算してQ4の営業利益は前年同期比52.0%増、Q3比較でも24.3%増となる。売上の増額が26/3期については期待できないとみられ、円安寄与はあるものの、営業利益の未達が懸念される。ただし経常利益は円安影響がプラスとなり、結果として会社計画並の経常利益は達成できるとみられる。
新中計で27/3期に売上高800億円、営利120億円目指すが達成には課題多い
同社は24/5に中計としてNF2026を策定、27/3.期に売上高800億円、営利120億円の実現を目指す予想としている。この計画ではまだ再生ウエハ事業が含まれており、少なくともこの分で、売上高30億円、営業利益3億円程度は減額を必要とする。

事業別では戦略製品の拡大等で先端産業向け売上高を420億円(再生ウエハ除外すれば390億円予想となる)としているが、26/3期で248億円予想に減額、27/3期は57%もの増収が必要となる。現在、高機能性シールについては好調に推移しているが、特殊タンク向けが設備投資の遅延もあり、大幅な見直しが必要と見られる。会社側では国内のフッ素樹脂ライニングタンク工場について、2025年8月に子会社のバルカーミカワフロンテックが、国内最大規模となる一貫生産工場を本格稼働させている。これまで中核拠点としてきた台湾工場に加え、グローバル供給体制が整ったことになる。フッ素樹脂ライニングタンクは、半導体生産に欠かせない高純度薬液(レジスト、スラリー、洗浄薬)の貯蔵・搬送に利用される重要な設備である。27/3期は国内でも新設半導体設備投資が拡大、全体では3割程度の伸びは期待されるものの、全体としても先端産業向けは30%増程度にとどまろう。機器市場については26/3期予想比5%増であり、達成可能な数字とみられる。プラントについては26/3期比22%増が必要であり、こちらも達成に未達懸念がある。
製品別ではシール事業が26/3期修正予想比12%増であり、先端品比率が6割程度を占め、27/3期も先端品の伸びが高まる見通しで、計画の490億円に対し上振れ期待がある。機能性樹脂製品は26/3修正予想比90%増が必要であり、先端産業向けは26/3期から増額が見込まれるものの、シール事業、機能性樹脂でもライバル企業もあり27/3期の実現性は低いとみられる。また新規事業についても従来からも具体化が遅れている状況で、再生ウエハ他からシール事業にセグメントを移したとみられるSWR(ソリューション・AIビジネス)については未知数で、この分野でも未達懸念がある。
全体として27/3期は半導体産業の先端設備投資が拡大するとみられるが、原材料価格上昇も影響も懸念され、実質最高益更新とはなるものの、再生ウエハ事業から撤退した分を除いたと数字に対して中計の見直しされるとみられる。
株価は26/3期2ケタ増益、低PERでもあったため、新年度に入り順調に上昇、同業他社比較では見劣りするものの、ほぼ日経平均並の上昇を続けてきた。3/3には5000円を超え2024年3月以来の大台超えとなった。現在、会社予想EPS272.8円に対しPER18.5倍はプライム機械平均PER26.2倍に対し割安、プライムその他製造平PER21.0倍に対しても多少割安、類似企業のPILLAのPER21.5倍、ニチアス22.2倍に対し割安、イーグル工業の14.5倍に対し割高となっている。今期、26/3期について売上の減額、利益予想据置があったが、売上減額により27/3期中計予想の達成未達懸念が高まったとみられる。中計達成が具体性に欠けるところから、27/3期に半導体関連で収益拡大予想も、評価としては類似企業が勝っていると見られるため、ニュートラル継続としたい。



*PILLA(6490),ニチアス(5393)、イーグル工業(6486)との比較

(図表は決算説明資料、もしくはIRユニバース加工、チャートはヤフーから添付)
(IRuniverse Okamoto)