・メモリの新技術「Turbo Quant」
・メモリの価格上昇が継続しており、メモリ関連メーカの業績は過去最高を連発している。そのような状況なのに、直近のメモリメーカの株価は下落している。
その主要因はGoogleが発表した「Turbo Quant」というアルゴリズム。
・この「Turbo Quant」というのは、メモリ容量を削減できるアルゴリズムであり、現状の1/6以下にメモリ容量を削減できるということである。
これが本格的に導入されれば、メモリは一気に過剰供給となるため、投資家が反応している状況である。
Turbo Quant( TurboQuant)は”DRAMの代替技術”ではなく、Googleが2026年3月に発表した”AI向けメモリ圧縮アルゴリズム“である。物理メモリ不足(DRAM不足)を直接解決する技術ではないが、AI推論に必要なメモリ量を最大の1/6 に削減できるため、AI分野に限っては”事実上のメモリ需要削減”を引き起こす可能性がある。
●Turbo Quantaとは何か?
Google Research が2026年3月に発表した、LLM(大規模言語モデル)の推論時に使われるメモリを最大6分の1に圧縮する新アルゴリズムである。
-Turbo Quantの技術的ポイント
・KVキャッシュ(AIの作業メモリ)を3ビット相当まで圧縮→メモリ使用量を最大6分の1に削減
・推論速度が最大8倍に高速化(H100GPU での実測)(acstudio.jp)
・精度劣化ゼロ→従来の量子化(4bitなど)と違い、精度を落とさない。
・再学習不要で既存モデルにそのまま適用可能→GPT4o,Gemini, Llamaなどに後付けできる。
・ PolarQuant + QJL(Quantized Johnson–Lindenstrauss)という新手法を組み合わせた圧縮方式(acstudio.jp)
●Turbo QuantはDRAM不足の打開策になるのか?
結論:DRAM不足そのものの解決にはならない。
・Turbo Quantはソフトウエア的な圧縮技術であり、DRAMの生産量や価格、サーバむけDDR5/HBMの需要といった“物理メモリ市場”を直接改善するものではない。
ただし、AI分野に限っては“メモリ供養を大幅に減らす”可能性がある。
・AI推論のメモリ消費が6分の1になると、以下の変化が起きる。
同じGPUで動かせるAIモデルが巨大化:
例:70BモデルがFP16では140GBが必用→TurboQuantなら約4GBで動作(ai.negi.com)→これにより、
- H100のような高価なGPUの必要枚数が減る
- ローカルPCやスマホでも巨大モデルが動く
- データセンタのメモリ搭載量が減るなどの効果が生まれる。
AI企業のDRAM/HBM需要が減少する可能性
実際、TurboQuant発表直後にMicronやWDCなどのメモリ株が下落したと報じられている。→市場は「AI向けメモリ需要が減る」と判断したわけである。
“AI用途に限れば“DRAM不足の緩和要員になりえる。AI推論は現在、世界のDRAM/HBM需要を押し上げている最大要因の一つである。そのAIが必要とするメモリ量が6分の1になれば、AI分野のメモリ需要は大幅に減少→DRAMの圧力が弱まるという構造変化が起こる。
●今後の動き
2026年内に主要クラウド(AWS/Azure/GCP)がさいようすれば、AI推論コストが50~80%下がる可能性が(acstudio.jp)
2027年以降、TurboQuant前提の芯AIアーキテクチャが登場する可能性が高い。メモリ産業はAI依存の需要構造を見直す必要が出てくる。
(IRuniverse 椿匡之)