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貴金属PGM市場近況2026#3金主導の高値圏相場続く 銀は振幅拡大、PGMは需給で選別へ

2026/04/07 13:08
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貴金属PGM市場近況2026#3金主導の高値圏相場続く 銀は振幅拡大、PGMは需給で選別へ

■ 金相場(Gold):
金相場は1月末から2月初旬にかけて調整局面入りとなり、ドル高や株安を背景とした換金売りの影響から下押し圧力が強まった。その後は売り一巡を経て、4,800~5,000ドルを中心とするレンジでの値固めに移行した。
2月後半に入ると、米国の関税政策を巡る不透明感に加え、米国・イスラエルによるイラン攻撃を受けた地政学リスクの高まりを背景に、安全資産としての買いが再び優勢となり、3月初旬には一時5,400ドル台まで上昇した。
もっとも、足元では世界的な株安に伴う損失補填売りが上値を抑え、5,100ドル台での推移となっている。中東情勢の緊迫化による原油高を背景にインフレ圧力が意識される一方、利下げペース減速観測も浮上しており、相場環境はやや複雑化している。
それでも、押し目では実需・長期資金の買いが継続して確認されており、
•    米政治を巡る制度不安
•    地政学リスクの持続
•    通貨価値希薄化への警戒
•    中央銀行による継続的な金購入
といった構造的な下支え要因は変わらない。分散投資の広がりによる新規資金流入も相場を支える一方、短期的には株安局面での換金売りや投機資金の回転により、高値圏で神経質かつ大振れしやすい展開が続く見通し。


NY金($/toz)と国内金建値(\/g)の推移 3か月


 

■ 銀相場(Silver):
銀相場は1月末から2月初旬にかけて急落し、年初からの急騰分をほぼ解消。その後は売り一巡となり、75~90ドル近辺を中心とするレンジ相場へと移行した。手掛かり材料に乏しい中、金相場の動向をにらみながらの推移となっている。
下値では構造的な供給不足が意識されており、押し目では実需・投資の両面から買いが入りやすく、相場の底堅さは維持されている。一方で、金と比較して取引単価が低いことから投機資金を呼び込みやすく、元来の高いボラティリティが一層強まりやすい環境にある。
足元では金に連動した値動きが基本となるが、短期資金の流入出によって価格が増幅されやすく、レンジ内での往来を基本としつつも突発的な乱高下が生じやすい局面が続く見通し。構造的な強さと投機的な不安定さが併存する、銀特有の相場展開が当面続くとみられる。

NY銀相場($/toz)と国内銀建値(\/kg)の推移 3か月


 

■ プラチナ相場(Platinum):
プラチナ相場は2月前半、調整局面が鮮明となった。米株安を背景とした銀相場主導の損失補填売りが波及したほか、米先物市場における証拠金引き上げ、中国の旧正月入りを前にしたポジション整理も重なり、2,000ドル近辺まで下落した。
もっとも、売り一巡後は反発に転じた。米経済指標の底堅さや地政学リスクの高まりに加え、金相場に対する割安感が意識され、投機筋の買いが流入。一時2,300ドル台まで回復する場面も見られた。
足元では、現物市場の逼迫感にやや緩和の兆しが見られるものの、主要生産国である南アフリカの増産姿勢は慎重であり、需給の急速な改善には至っていない。このため下値は一定程度支えられやすい一方、投機資金の影響を受けやすい環境が続く。


NYプラチナ相場($/toz)と国内プラチナ価格(\/g)の推移 3か月


 

■ パラジウム相場(Palladium):
パラジウム相場は2月、プラチナと類似した値動きを示し、前半は軟調に推移した。株安やポジション調整の流れを受けて上値が抑えられる展開となったが、月半ばには米国によるロシア産パラジウムへの関税賦課の可能性が意識され反発。月末にかけては買い戻しが進み、月初と同水準となる1,780ドル近辺まで回復した。
需給面では、欧米における自動車政策の見直しによりエンジン車販売が一定程度継続するとの見方が広がり、長期的な需要減少懸念はやや後退している。この点は相場の下支え要因として意識されやすい。
一方で、他の貴金属と比較すると投機資金の流入は限定的であり、価格はより実需・供給動向を反映しやすい構造にある。上昇局面ではリサイクル由来の供給増も意識され、1,800ドル台では利益確定売りが出やすい。
総じて、下値は需給面で支えられるものの、上値追いには材料不足であり、当面は1,700~1,800ドルを軸としたレンジ内での値固めが続く見通し。


NYパラジウム相場($/toz)と国内パラジウム価格(\/g)の推移 3か月


 

■ 総括:金主導、銀が増幅、PGMは選別へ
1月相場を俯瞰すると、構図は明確だ。金が制度不安と通貨不信を映す中核となり、銀がその動きを増幅し、PGMは資金循環に巻き込まれつつ個別需給で選別される展開だった。
金はFRBの独立性を巡る懸念や地政学リスクを背景に史上高値を更新し、市場の「安全資産」需要を体現。一方、銀は投機資金の流入によって上昇局面も下落局面も振幅が拡大し、資金フローの増幅装置として機能した。プラチナやパラジウムは金主導の資金流入に押し上げられつつも、最終的にはドル動向や株式市場の変動、さらには自動車触媒需要やリサイクル供給といった固有要因が価格を規定する色合いを強めた。
総じて、市場の根底にあるのは制度不安と地政学リスクへの警戒であり、押し目では長期資金が入りやすい環境が続く。ただし、短期資金の回転は速く、高値圏では不安定な値動きが常態化しやすい。
金を軸とした構造的な強さと、周辺メタルの高ボラティリティ――この二層構造が、当面の貴金属市場の基本図といえる。

Rhodium / Iridium / Ruthenium
■ ロジウム相場(Rhodium):
ロジウム相場は2月、中国の旧正月入りによる買い手不在の中で手持ち筋の売りに押され、前半はやや軟化する場面が見られた。
しかし月後半にかけては、他貴金属の上昇やスポット的な実需買いを背景に需給のタイト感が再び意識され、12,000ドルの大台を突破。流動性の低さも相まって、上昇局面では価格が押し上げられやすい展開となった。
その後は高値警戒感から反落し、足元では11,850ドル近辺で推移しているものの、需給の逼迫感を背景に下値は切り上がっている。売り手が限定的な状況が続く中、押し目では買いが入りやすく、総じて底堅い地合いが維持される見通し。


JMロジウム価格($/toz)と国内ロジウム価格(\/g)の推移 3か月


 

■ イリジウム相場(Iridium):
イリジウム相場は2月、1月までの上昇局面で流入していた投機資金が一巡したことから、6,600ドル台を中心に横ばい推移となった。高値圏では新規材料に乏しく、いったん上昇が落ち着く格好となった。
もっとも足元では再び動意が見られ、6,800ドル近辺まで上昇。地政学リスクの高まりを背景に、手持ち筋が売り急ぐ動機に乏しい状況に加え、米国と諸外国との対立を意識した在庫確保の動きも相場を下支えしている。
流動性が限られる市場構造に変化はなく、需給バランスのわずかな変化が価格に反映されやすい状況が続く。総じて、投機的な過熱は一服したものの、需給面のタイト感と供給側の慎重姿勢を背景に、堅調な地合いを維持しつつ上振れ余地を残す展開が見込まれる。

JMイリジウム価格($/toz)と国内イリジウム価格(\/g)の推移 3か月


 

■ ルテニウム相場(Ruthenium):
ルテニウム相場は1月上旬に過去最高値を更新した後、2月は1,400ドル台を中心とする横ばい推移となり、様子見姿勢が広がった。中国の旧正月明け以降は投機的な買いも散見されたが、相場を一段と押し上げるには至らず、上値は抑えられている。
需給面では、HDD分野を中心とした需要の底堅さが続く一方、流動性の低さから売り手も限定的であり、下値は大きく崩れにくい構造に変化はない。ただし、新規材料に乏しい中では方向感を欠きやすく、当面はレンジ内での模索が続くとみられる。
また、同じく低流動性市場であるイリジウムの動向次第では投機資金の関心が波及しやすく、連動した値動きが生じる可能性には引き続き注意を要する。総じて、下値は堅いが上値追いにも慎重な、均衡的かつ神経質な展開が続く見通し。


JMルテニウム価格($/toz)と国内ルテニウム価格(\/g)の推移 3か月


 

■ 総括:金主導、銀が増幅、PGMは選別へ
2月相場を俯瞰しても基本構図に大きな変化はない。金が制度不安と地政学リスクを映す中核となり、銀がその値動きを増幅、PGMは資金循環の影響を受けつつ個別需給で選別される展開が続いた。
金は調整局面を挟みつつもレンジでの値固めを経て再び上値を試し、制度不安・通貨不信を背景とした「基軸資産」としての強さを維持。一方、銀は構造的な供給不足に支えられながらも、投機資金の出入りによってレンジ内で振幅の大きい動きを繰り返し、引き続き資金フローの増幅装置としての性格を強めている。
PGMについては、プラチナ・パラジウムともに金主導の資金流入の影響を受けつつも、米政策や株式市場動向に伴う資金の出入りに加え、自動車触媒需要やリサイクル供給、産地動向といった個別要因が価格形成に色濃く反映される局面となった。ロジウムやイリジウム、ルテニウムといった低流動性メタルでは、在庫動向やスポット需要が価格を大きく動かす構造も引き続き顕著である。
総じて、市場の基調は依然として制度不安と地政学リスクへの警戒に支えられており、押し目では長期資金が入りやすい環境が維持されている。ただし、株安局面での換金売りや投機資金の回転の速さにより、高値圏では不安定な値動きが常態化しやすい。
金を軸とした構造的な強さと、銀・PGMにおける高ボラティリティ――この二層構造が、当面の貴金属市場の基本図である点に変わりはない。


(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)
 

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