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日鉄・礒原氏、鉄鋼のスクラップ使用比率向上は無意味――第7回CEシンポジウム

2026/04/15 23:45
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日鉄・礒原氏、鉄鋼のスクラップ使用比率向上は無意味――第7回CEシンポジウム

CEシンポジウムに登壇した礒原氏(左)と三牧氏

 

「~緊急討論会!許認可制と金属スクラップの今後は?~」のテーマの下、10日に開催された「第7回CEシンポジウム」。本記事では日本製鉄技術総括部の礒原豊司雄氏と経済産業省GXグループ資源循環経済課の三牧純一郎課長の講演を振り返る。礒原氏は、鉄鋼のスクラップ使用比率向上は無意味であり質を上げるべきだと論じ、三牧氏は経産省や政府の施策の最新動向を語った。

 

日本製鉄の礒原氏は、「鉄鋼業から見たサーキュラーエコノミー」の題で登壇。鉄鋼産業をめぐる資源循環の実像を、世界需給・リサイクル・CO2排出の3つの視点から立体的に解説した。

 

同氏は鉄鋼資源の重要性を強調したうえで、「鉄鋼は既にほぼ全量が資源循環している」と指摘。鉄鋼でリサイクルドコンテント(スクラップ使用比率)を向上させる施策は無意味だと見解を示した。輸出スクラップを全量国内利用してもスクラップは足りず、鉄鉱石からの製造(高炉)は当面必要であり、これ以上、スクラップの使用比率を上げてもスクラップの取り合いを招くだけで、鉄鋼の資源循環が高まるわけではないという。

礒原氏によれば、鉄鋼の資源循環で重要なのは、量ではなく“質”であり、スクラップの分別・選別と、それを容易にする製造段階のエコデザインは、「鉄鋼におけるサーキュラーエコノミーの鍵」だと主張した。鉄鋼はきれいに戻せる優れた素材だが、取り除けない銅や錫の蓄積は早急に対応すべき課題であると言及。日本は中国材と比べてもスクラップ中に銅が多く蓄積してきており、スクラップに存在するCuが、加熱時に粒界に浸潤して表面傷が発生するリスクがあるなどと説明した。

 

また、経産省が主導するサーキュラーパートナーズ(CPs)の鉄鋼WGでは、日本鉄鋼業界全体で高品位鉄スクラップの創生・循環・利活用拡大等のためのロードマップを策定しており、その中で、シュレッダー等による高品位化・成分値保証化についても調査予定だと報告した。

 

質疑応答では、自動車に含まれる銅の選別・回収が進んでいない状況について指摘があり、礒原氏は「エコデザインがまず大事」と回答しつつ、「ワイヤーハーネスなどは取りやすいように設計されるようになったが、それで止まっているように感じており、小さいモーターなどは我々も本当に困っている」と述べた。

 

 

経産省、法改正で国内循環を促進

 

 

経産省からは資源循環経済課の三牧課長が参加。成長戦略としての資源循環経済確立に向けた経産省の取り組みについて講演を行い、CPsや資源有効利用促進法(資源法)の改正について報告した。

 

2025年5月に成立し、4月に施行した改正資源法の柱は、①事業者に対する再生資源の利用計画策定・定期報告の義務化②環境配慮設計のトップランナーに対する支援措置の創設②GXに必要な原材料等の再資源化の促進▽CEコマースの促進――の4項目。

 

②に関して、現行法では環境配慮設計を進めるべき製品(50品目)を指定してはいたものの、環境配慮設計が特に優れた製品を積極的に評価し、全体レベルを底上げする仕組みがなかった。改正後はライフサイクル全体の環境負荷低減に特に優れた環境配慮設計(資源有効利用・脱炭素化促進設計)を認定することとし、認定を受けた製品について、▽国による公表と周知▽差別化できる製品表示▽グリーン購入法における国の調達の基本方針への反映▽関連設備投資への産廃処理施設整備法の指定法人による債務保証等▽事業者等の使用努力義務――を規定することになった。直前の講演で日鉄の礒原氏が必要性を訴求したエコデザインの本格的な普及が期待される。

 

講演では、日本の再生資源が海外、とりわけ中国へ流出し、国内の静脈産業基盤が弱体化することへの危機感も示された。中国が大規模な設備投資を進める中、このままでは将来的に日本がリサイクル材を海外依存する構造に陥りかねないと指摘。金属やプラスチックを含む再生材分野を、中長期の経済安全保障政策の重要領域として位置づけ、支援策の拡充を進めていると説明した。

 

質疑応答で、CE政策を進めるうえでのKPI(重要業績評価指標)について問われると、「鉄やアルミ、銅、磁石については目標数値を示す方向で成長戦略が定められている」と述べ、近日中に公表予定であると示唆した。その上で、「日本は他国の政策や他国の企業の動向に影響を受けやすい」ことを懸念点として挙げ、目標値を示しながらも数値ありきにはならないように進めていくと伝えた。

 

輸出規制策についての質問に対しては、急に輸出を止めて値崩れなどのリスクを招かないように、ビジネスの構図を掴んだうえで、国内で資源循環が滞りなく進むように準備し、それから止めるという2段階のアクションの必要性を強調した。

 

また、ある聴講者からはプラスチックリサイクルの需要とコストについて、「バーチャル(仮想)で構わないので、管理と把握ができるような施策を検討してほしい」という要望があがった。

 

(IRuniverse K.Kuribara)

 

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