説明会で26年3月期を振り返る中川社長
阪和興業は12日、2026年3月期の決算短信を発表した。プライマリーメタル事業や海外販売子会社において取引が拡大したことで売上高が前連結会計年度比4.2%増の2兆6626億6900万円となった一方、利益面では、主にリサイクルメタル事業の損益悪化や人件費増加などが影響。営業利益は5.0%減の584億4400万円、経常利益は12.5%減の522億6200万円で着地した。親会社株主に帰属する当期純利益は15.9%減の382億6500万円。
同日に開催された記者向け説明会に出席した中川洋一社長は、「需要の低下やサプライチェーンの分断など外部環境が良くない中、売り上げや営業利益においては目標(通期見通し)を達成することができたが、経常利益や純利益については若干の目標未達で終わった」と報告。「苦しい環境の中で社員が頑張って結果は出たものの、課題も残る」と総括した。
鉄鋼セグメントは利益2桁増
鉄鋼事業の売上高は7.2%減の1兆719億1300万円、セグメント利益は前連結会計年度比16.7%増の387億700万円となった。各種鋼材価格の下落や鋼板の取扱数量が減少したことなどが収益を押し下げたが、一部の海外子会社で採算が改善したことや持分法による投資利益が拡大したことで利益を維持した。鉄鋼の取扱量は2023~24年度が約1350万トンと横ばいで推移したのに対し、25年度は1433万トンとなり前年比を上回った。

篠山専務
鉄鋼事業の説明を担当した篠山陽一専務は足元の事業関係について「トランプ関税や中国情勢、原料コスト上昇もあり、製造業を中心に建設投資への意欲が減退している」などと厳しい状況を報告したうえで、「各事業の重点施策をしっかり実行し、シェアを維持しつつスプレッドを確保するなどで目標達成を目指していくと述べた。
アルミ地金のプレミアム急騰で事業基盤が回復
プライマリーメタル事業は、一部の副資材の販売が堅調に推移したものの、SAMANCOR CHROME HOLDINGS PROPRIETARY LTD.からの持分法による投資損益がマイナスに転じたことが利益を押し下げ。売上高は32.5%増の2441億500万円、セグメント損益は1億5000万円の損失(前連結会計年度は、60億8400万円の利益)となった。
続いて説明を行った白澤省二常務はプライマリーメタル事業について言及。「アルミ地金のプレミアムが急騰したことが1~3月期に反映され、収益を取り返した形となり、(事業の)土台がしっかりとした形に戻った」と述べ、次期に向けて意欲を示した。
また、ニッケルについては、「EVの需要が低迷しており影響は少なからず出ているが、インドネシアで展開している事業では、ニッケル中間製品を作る原料として新たに硫黄を供給するようになり、大きな収益の柱として育ってきた」と報告した。

白澤常務
リサイクルメタル事業の売上高は前連結会計年度比25.3%増の2842億1200万円、セグメント利益は58.0%減の13億200万円。鉛鉱石の取扱数量が増加したことなどが収益を押し上げたが、アルミなどの採算が悪化したことなどで大幅な減益となった。
海外販売子会社においては、東南アジアでスクラップ取引が拡大したことや、新規連結子会社の業績などが収益 を押し上げた。ただ、主に鉄鋼製品の採算が悪化したことで減益となった。売上高は17.3%増の5177億500万円、セグメント利益は前連結会計年度比33.0%減の55億2800万円。
エネルギー・生活資材事業の売上高は前連結会計年度比2.0%減の3837億1300万円、セグメント利益は18.1%減の85億4100万円となった。期中における原油の平均価格が前連結会計年度比で低調に推移したことや、化学品関連の採算が悪化したことなどが収益、利益を押し下げた。
中期経営目標2028、経常利益750億円へ
また、同日には26-28年度の中期経営計画も発表した。規律あるレバレッジで成長・株主還元の両立による企業価値向上を追求し、ROE 12.0%以上、経常利益 (中計最終年度) 750億円、グローバル鉄鋼取扱重量1700万トンなどを定量目標として設定した。
国内事業で創出したキャッシュを成長市場の域内ニーズに応える機能へ重点的に投下することで、インサイダー化を進めグローバルでの成長を加速させる考えだ。流通基盤事業で培ってきた強みである「サプライチェーン創造力」を起点に、ユーザー価値の向上と社会的要請への対応に資する領域を重要テーマと位置づけ、「ユーザー課題解決型ビジネス」「社会課題解決型ビジネス」の強化を図る。
(IRuniverse K.Kuribara)