Loading...

「EVトラックは現実的な選択肢」――ZO Motors・岡部部長が語る“走れるEV”の条件

2026/05/14 17:15
文字サイズ
「EVトラックは現実的な選択肢」――ZO Motors・岡部部長が語る“走れるEV”の条件

EVトラックは本当に現場で必要な走行量を走れるのか――。物流業界で関心が高まる同テーマについて、ZO Motors(ゾウモーターズ)の岡部純也商用車営業部長が14日、横浜パシフィコで開催中の「ジャパントラックショー2026」にて講演を行った。同氏はEV化の理想論ではなく、「どの条件なら現実的に導入できるのか」という視点から、具体的な運用事例や新型車両を交えながら解説。「EVトラックは現実的な選択肢であり、限られた状況下では“将来の話”ではない」と強調した。

 

すべての輸送の置き換えは難しい

 

講演の冒頭、岡部部長は「すべての輸送をEVに置き換えることは、現時点では難しい」と率直に語った。一方で、「一部領域ではすでに実証段階を超え、本格運用に入っている」と強調。EVトラックは“未来の乗り物”ではなく、条件次第ではすでに現場で機能する存在になっているという認識を示した。

 

背景には、物流業界を取り巻く環境変化がある。以前は「EVを導入していますか」という確認にとどまっていたが、最近では「どれだけCO2を削減できたのか」「どんな効果が出ているのか」までを荷主企業に求められるようになった物流事業者も多いという。

 

さらに、燃料価格の高騰や安定供給への不安、ドライバー不足、深夜配送における静粛性ニーズなど、環境対応以外の観点でもEV導入を検討する物流事業者が増えていると説明した。

 

EVトラックは「問題なく走れるのか」

 

岡部部長は、「EVは走れるかではなく、回せるかが重要」と繰り返し強調した。単純な航続距離ではなく、「何時に戻るか」「どこで充電するか」「休憩時間をどう使うか」といった運行設計全体が重要になると伝えた。シチュエーションを限定すれば、実運用下でもEVトラックは十分に走れることを示唆したかたちだ。

 

特に、毎日決まったルートを走り、夜間に車庫へ戻る車両はEVと相性が良いと説明。1日100〜150キロ程度の固定ルートであれば、比較的導入しやすい領域だとした。逆に、長距離輸送や24時間稼働、不定期な配車が多い業務では、高度な運行計画や急速充電設備が必要になるという。

 

講演では、EVトラックが適する用途も紹介された。2トンクラスは都市配送や住宅街での配送、3トンは地場配送、4トンは拠点間輸送から導入が進むと分析。サイズよりも「用途」が重要だと語った。

 

さらに、港湾エリアについては、「待機時間が長く、走行距離が短い」「充電器を設置しやすい」などの理由から、EVトラクター導入に適した環境だと説明。都市部では急速充電器の設置スペース確保が課題になる一方、港湾部では比較的インフラを整備しやすいという。

 

また、性能自体も向上していると報告。「EVは冬に弱い」という懸念点に対しても、実証データを示しながら説明した。販売中の「ZM6」を用いた冬季実験では、カタログ記載値の水準に合った走行距離が達成できたと伝えた。「今までの“走らないのでは”というイメージから、フェーズが変わってきた」とし、適切な運行計画を立てれば、冬場でも十分実用可能との見方を示した。

 

充電インフラについても、「充電器が足りるかより、どう回すかが重要」と指摘。普通充電に加え、急速充電を組み合わせることで稼働率を高められる一方、設備費や電力契約コストとのバランスが重要になると説明した。

 

小型EVトラックの新型モデルを初公開

 

 

トラックショーの同社ブースでは小型EVトラックの新型モデル「ZM5」も初披露された。同車両は、車両総重量5トン・積載量2トンを確保し、1回の充電で約177kmの航続距離を実現。急速充電規格「CHAdeMO」にも対応している。

 

航続距離はカタログ値ではあるが、実運用下でも140キロ程度を安定して走行できるという。条件が良ければ200キロ以上走行するケースもあると述べた。同モデルの追加により、EVトラックが活躍できるシチュエーションの幅が広がったといえる。

 

講演の最後、岡田部長は「物流は止められない」と前置いた上で、「EVがすごいという話ではなく、どの条件なら成立するのかを見極めることが大事」と締めくくった。

 

EVトラックは万能ではない。しかし、運行条件を見極めれば、すでに“現実的な選択肢”になりつつある――。今回の講演は、そんな物流業界の現在地を映し出していたように思える。

Kota Kuribara

関連記事

新着記事

ランキング