石油化学工業協会から21日に発表となった4月の生産・出荷動向では、エチレン稼働率が67.3%と定修要因が大きい中で中東情勢の悪化が重なり歴史的な低水準となった3月から更に低下した。5月以降には中東以外からの調達も進み稼働率は緩やかな改善基調に入る見込み。合成樹脂は在庫の取り崩しによる需要対応もあり4月末の在庫率は前月からの改善が見られなかった。
4月の国内エチレン生産は前月比増も前年同月比では続落
石油化学工業協会による4月の国内エチレン生産は定期修理の要因が大きく283,500トン、前月比では3.6%増となるも、前年同月比では37.1%減と3月の同38.8%減に続き大幅な減産となった。今年は大型定期修理の入るプラントが3月に続き4月も4社4プラント(国内12プラント中)となり、この定期修理の要因だけで生産が前年比22.6%減少している。稼働プラントの実質稼働率は67.3%と3月の68.8%からさらに低下しているが、原料のナフサ調達面などを考慮した稼働調整が前月比で3.4%生産を押し下げた格好にある。
石油化学工業協会では「国内石油精製から供給される国産ナフサが一定量確保され、影響緩和に寄与している。さらに会員会社による継続的な中東以外の地域からのナフサの代替調達の確保が進み、従来は 2 割程度であった中東以外の輸入ナフサ量は 5 月には大幅に増加する見込みとなっている」と需給の改善方向にあることを示している。

4月末の国内樹脂在庫率は低密度ポリエチレン、ポリプロピレンでやや悪化
個別製品ではアセトアルヒデドを除きポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂などの生産は前年比減少傾向にあり、国内出荷の確保のため在庫を取り崩し、ほとんどの製品で輸出を削減しての対応となっている。この結果、主要樹脂の季節調整済み在庫率は低密度ポリエチレン(LDPE)とポリプロピレン(PP)が前月比0.1ヵ月分の減少となり、高密度ポリエチレン(HDPE)とポリスチレン(PS)が横ばいとなっている。この統計からは需給の改善は先送りされたが、サプライチェーンでの在庫の積み増しの動きによる需給のひっ迫などのネガティブな影響は見られない。

5月以降は定修後の再稼働時期の先送りも解消され、中東以外からのナフサの調達、国内石油精製からのナフサ供給の高まりからエチレンプラント(ナフサクラッカー)の稼働率も徐々に上昇し、前回のレポートで述べたように8割程度に向けて回復が見込まれる。ただ、川中、川下の企業は必要とする量を十分に確保できるまでには時間を要しよう。輸入原料の手当てを含め、必要原料の調達を月毎に期間を延長する厳しいやりくりと原料高などのコスト上昇への対応が続くことになる。