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Fe scrap watch2026#9 市場は完全に下げトレンドへ突入——電炉の夏季減産と輸出環境悪化で今夏は寒冷市況

2026/05/28 13:46
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Fe scrap watch2026#9 市場は完全に下げトレンドへ突入——電炉の夏季減産と輸出環境悪化で今夏は寒冷市況

国内の鉄スクラップ市場は、これまで維持してきた価格維持の「踊り場」を抜け、完全に下落トレンドへと舵を切った。
世界的なインフレと高金利に伴う実需の深刻な不振に加え、安価な中国産をはじめとする輸入材の流入、および中国の膨大な鉄鋼製品輸出によるアジア市場への影響、さらに今夏控えるメーカー各社の夏季減産が例年以上に長期化する懸念が強まっているためだ。足元の需給バランスは急激に緩和(余剰傾向)に向かっており、市場関係者の間では「ここが天井。これからは下げる一方だ」との見方が広がっている。

ベトナムと台湾の輸入鉄スクラップ相場の推移


1. 崩れる輸出不敗神話:ベトナム一本足打線の限界と「390ドルの壁」
これまで国内の余剰玉を吸収し、市況の下支え役となってきた輸出環境は一変している。
バングラデシュやパキスタンなど他地域の需要が消失する中、日本の輸出構造は事実上「ベトナム一本足打線」の状態にある。
しかし、そのベトナム市場も限界を迎えている。足元では日本のH2オファー価格「FOB 390ドル」に対し、ベトナム側の買い手は一切応じない姿勢を見せ始めている。実際上図のようにベトナムの輸入スクラップ相場は下落し始めている。足元ではCFRベトナムで398ドル。これは先々週から2.2%の下落となっている。

中国から年間1億トン規模で溢れ出る安価なビレットやホットコイル(FOB 500ドル台前半〜570ドル近辺)がアジア市場全体を席巻しており、インドネシア、フィリピン、台湾の鉄鋼メーカーはすでにスクラップからビレットへシフトしている。このビレっと価格が現在500ドル。つまり、トン50,000円以上の日本の鉄スクラップは高いということが言える。
唯一ベトナムは政策的に自国での鉄鋼生産を是としているため、日本からの鉄スクラップを買い続ける可能性は高いがアジア市況に合わせて彼らの買値も前述したように下落しているのが現状だ。

さらに、追い打ちをかけるように海上の港湾混雑や地政学リスク等に起因するフレート(海上運賃)の上昇が止まらない。売り手(日本側)としては運賃上昇分を価格に転嫁したいところだが、買い手(ベトナム側)の買い気が極めて鈍いため、スプレッド(利ざや)が圧迫される最悪の悪循環に陥っている。

2. 内憂外患の国内市場:夏季減産の長期化と「関東鉄源」の大幅下落予測
国内に目を向けると、構造的な「実需不振」が鉄鋼メーカーの経営を直撃している。
プライスリーダーである東京製鐵をはじめとする国内電炉メーカーは、歴史的な円安に伴う原料高に苦しむ一方、安価な輸入材との競合から製品価格への転嫁が進まず、深刻なマージン圧縮(赤字化)に直面している。これを裏付けるように電炉トップの東京製鐵の直近の決算は大幅な赤字を計上している。
この結果、以下の国内要因が市況の下げ圧力を劇的に強めている。

夏季減産の長期化リスク: 例年、7〜8月は電力料金の高騰に伴う「夏季減産(夜間操業シフト等)」が行われるが、今年は実需そのものが少ないため、減産期間が異例の長期に及ぶ可能性が指摘されている。
これにより、国内メーカーのスクラップ買入量はさらに減少する。

関東鉄源の急落予測: 輸出環境の悪化と国内需要の減少を受け、来月(6月)開催の「関東鉄源協同組合」の輸出入札では、前月比でトン当たり2,000円近い大幅な落札価格の下落が予想される。
これが国内電炉メーカーの買値を引き下げるという連鎖安を引き起こすトリガーとなる公算が大きい。
 

関東鉄源輸出テンダー価格(H2 FAS)の推移


3. 総括:急速な暴落は起きずとも、底の見えないジリ貧の展開へ
かつてのような「急降下・大暴落」といった急激なショックには至らないものの、上がり目が見つからない下げトレンドに入ったと見てよい。
ウクライナの復興需要や中東向けのインフラ需要など、かつて期待された「特需」は資金面や地政学的な物流遮断(紅海回避による1,000kmの陸送迂回など)によって実態を失っている。
国内の都市鉱山から湧き出るスクラップ(年間輸出ベースで700万トン超)に対し、国内メーカーは食い切れず、唯一の活路であった輸出も事実上、ベトナムのみで出口は塞がれつつある。
今夏、スクラップディーラーおよび電炉メーカー各社は、需要消失と価格下落が同時進行する「暑くて寒い夏」を覚悟せねばならない局面を迎えている。

YT

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