東京ビッグサイトで27~28日にかけて開催されている「JECA FAIR 2026~第74回電設工業展~」では、電気設備の遠隔監視システムや、電気工事プロセスの改善提案など、電気工事・管理工程の効率化に関する展示が多くみられた。その背景には電気業界の深刻な人材不足があるようだ。
電設工業展は電気設備に関する機器・資材・工具と施工技術に関する日本最大の総合展示会。初日となる27日は3万3894人が来場し、各所でPR合戦が行われた。展示内容は多岐にわたるのだが、きんでん(大阪市)の遠隔監視プラットフォームをはじめ、電気工事・管理工程の効率化、もしくは技術者の安全性向上に関する展示が比較的多かったように感じた。
ある電気工事会社のブースのスタッフにその疑問をぶつけると、その背景には工事・管理に関わる人材不足があり、特に「電気主任技術者の不足が深刻だ」という。つまりは、少ない人材資源を最大限に活用するために遠隔管理システムが必要であり、電気工事に関わる人材の流入を促進するために安全対策や負担軽減策が欠かせないというわけだ。
電気主任技術者は電気事業法で定められた国家資格で、検定(電検)を運営する電気技術センターによれば、電気事業法における⾃主保安体制の中核を担うキーパーソンと位置付けられており、電気事業法では、高圧または特別高圧で受電するビル、工場などの電気設備や電気事業⽤の発電所、変電所、送電線などの電気工作物の設置者に対して、原則として事業場毎に電気主任技術者を選任し、電気設備の工事、維持・運⽤に関する保安の監督を行わせるように義務付けられている。
3種類ある電気主任技術者検定のうち、入門編とされる第三種電気主任技術者試験(電検三種)でさえ、再就職先にも困らないほどの人気資格だったというが、技術者の需要が堅調な一方で、人材の確保に苦戦している状態だという。ある遠隔管理システムの説明スタッフは、「取引先から、『電気主任技術者の確保が難しく、かつ雇用や委託にあたってのコストもあがっており、どうにかできないか』という声が多かったことも開発に着手した理由の一つ」と語った。
電気技術センターの試験統計を見ると第三種電気主任技術者試験の受験者・合格者は減少傾向にあり、2022年度が申込者6万2571人、合格者7307人だったのに対し、2025年は合格者4万8942人、合格者6365人まで落ち込んでおり、4年連続で減少している。
関係者によれば、合格率が10%前後と低いこともあるが、電気業界の現場での労働を志望する若者が少なくなっていることも事実だという。
また、別のブース担当者は、「違法なモグリの電気工事事業者が増えており、質が高い技術者の確保にも苦戦している」と話す。
電気工事業を営むには、一部の軽微な工事を除き、都道府県知事または経済産業大臣への登録・届出が法律で義務付けられているがその一つである登録電気工事業者の申請・承認なしで、違法な工事を実施する業者が増えており、WEB検索でも上位にあがってしまうことも珍しくないようだ。
データセンターや蓄電池施設の建設需要は上り調子にあり、質の確かな電気工事の重要度は増していくと想定される。人材事情が深刻な電気業界の状況改善は急務といえる。
なお、前述した電検三種資格については、合格者が減少し、有資格者で現役の技術者も高齢化の影響で少なくなっていることが影響し、以前よりまして「引く手あまた」の状況になっており、「待遇もなかなか」とのことだ。若手労働者の業界流入に期待したい。
(IRuniverse K.Kuribara)