硫酸協会が5月末に発表した硫酸需給状況(速報)によれば、製錬ガス出硫酸の生産量は前月実績比5.4%減の37万2461t。うち銅出が8.0%減の32万9063t、亜鉛出が20.0%増の4万3398tとなった。なお、前年同月実績比だと、製錬ガス出硫酸生産量は8.3%減。硫酸全体の生産量は7.7%減の45万2800t。
国内需要をみると、肥料用が前年同月比0.7%減の1万3300t、酸化チタンや硫酸アルミニウム、中和石膏などを含む工業用特掲品目が16.0%減の9万3800t、その他工業用が5.1%減の10万9400t、輸出用が14.9%減の25万5100tとなった。
全体的にはマイナスが目立つ形となったが特掲品目の中には鉄鋼用(0.5%増)や紙・パルプ(1.0%増)など前年同月比増となり健闘している分野もある。実際、5年前と比べ生産量は2割ほど減ったものの、硫酸相場が挙がっていることから、売り上げは同水準を維持できているという卸業者もいる。
ホルムズショックの影響も注視すべきトピックスではあるが、ある問屋筋によれば、「(ホルムズショックの影響は)現時点では限定的」だという。もしくは「当社事業にはほとんど影響がない」という声もある。
国際相場に連動し、国内における硫酸の仕入れ価格が大幅に上昇したケースもあるが、連日の報道の影響で、卸先も状況を理解しており、価格転嫁は比較的円滑に進んでいるという。
また、国内相場と国際相場との乖離が進むことで、輸出分の比重が多くなり国内で必要な分の数量が供給されないのではないかという懸念もあるが、某関係者は「現在のバランスが大きく崩れることはない」と分析する。
年間契約で販売量を定めているケースもあるほか、国内産業への供給を担う責務もあることから、国際価格と国内価格の乖離が今以上に大きくなっても、現在のバランスが大きく崩れることはないという見立てだ。さらに、輸出するにはまとまった量を動かす必要があるため、輸出中心への体制変更に対応できる卸業者は限られるという。
ただし、ホルムズ海峡における交渉が長引けばその限りではないため、いずれにしても早期の解決が望まれている。
(IRuniverse K.Kuribara)