6月25日13時、丸一鋼管は「海外拠点長事業報告会」をウエブにて開催した。説明に使われた資料はこちら。
〇Leavitt・MNT(米国)
●業績見込み
25年度はLeavittが増収増益、MNTが減収増益。26年度は両社ともに販売数量、売上高、営業利益の増加を見込む。
●需要を牽引する要因
米国の経済活動は堅調で、AI向けのモジュール型データセンターの建設ラッシュと、メキシコ国境のボーダーフェンス建設が構造用鋼管の需要を強く牽引。一方で、農業機械関連の需要は低迷が続いている。
●課題と対策
旺盛な需要に対し、材料となる熱延コイルの不足が深刻化しており、U.Sスチールなどからの調達先の多様化が検討されている。
〇Maruichi Sun Steel JSC(SUNSCO)(ベトナム)
●業績と戦略
25年度は米国の反ダンピング関税やメキシコの通関問題等により減収となったが、高付加価値製品への注力により利益率が改善し、前年を上回る営業利益を確保した。26年度はパイプの重点エリア(米国・ベトナム)での数量増と、鋼板の利益率向上を目指す。
●市場環境
ベトナム経済は高成長(25年GDP成長率8.02%)を維持。二輪車市場では、VINFASTの電動バイク販売加速による需要増が期待される。
●取り組み
収益基盤の強化、生産性向上によるモノづくり強化に加え、バイオマスボイラーの稼働などCO2削減に向けたESG経営を推進。
〇丸一ステンレス鋼管
●業績回復
25年度は半導体メーカーの設備投資遅延により減収減益。しかし、26年度は韓国Samsung等の需要急増により、半導体向けBA管の販売本数が前年比82.0%増、営業利益が80.4%増の大幅な回復・増益を見込む。
●生産体制
世界の半導体市場はAIサーバー向け需要等で大幅な成長を予測。同社はBA管の生産キャパシティを月産25万本まで引き上げており、26年度下期の稼働率は80%強に達する見通し。
〇MST-X(米国)
●業績見込み
25年度は米国の半導体プロジェクト遅延や在庫調整により赤字だったが、26年度はMicron/Idaho向け需要の立ち上がりを見込んでおり、営業利益の黒字化を計画。
●新規市場(H&I)への参入
半導体市場の設備投資の大きな変動リスクを軽減するため、新たに「油圧・計装用配管(H&I)市場」に参入。半導体向けで培った内面品質や寸法精度の高さを強みに米国大手問屋への参入を図り、受注基盤の安定化を目指す。
※米国データセンター需要の今後の展望について
●AI需要を背景とした建設ラッシュの継続
現在、米国ではAI需要の拡大に伴い、大規模なデータセンターの建設ラッシュが起きている。すでに約3,100のデータセンターが稼働中だが、さらに約1,800のデータセンターが建設中(バージニア州、テキサス州、カリフォルニア州など)。大手IT企業による積極的な投資は26年以降も続くと見込まれており、半導体市場(AIサーバー向けメモリーやGPUなど)の大幅な成長予測にもつながっている。 これにより、データセンター向けの構造用鋼管や配管材の需要は、今年後半から来年にかけても引き続き活況となると予想される。
●電力網の不足による失速リスク
一方で懸念材料もある。電力網のキャパシティ不足や、環境問題、住民への影響などにより、約1,520億ドル規模のプロジェクトが現在保留となっている。電力や労働力等の供給が追いつかず、需要が失速してしまう可能性も指摘されている。
●「モジュラー型」への移行による需要構造の変化
このような電力不足などの課題を打開する策として、「モジュラー型」のデータセンターの導入が急速に進んでいる。モジュラー型は工期が早く、拡張性に優れ、コストが安いうえに電気冷却効率も高いというメリットがある。この移行により、データセンターの建設に使用される鋼材のニーズも変化している。従来型では冷却用の配管(8〜12インチ)が多数使用されていたが、モジュール型では構造の骨組みとして「角型鋼管」が大量に使用されるようになっている。
(IRuniverse 井上 康)