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日本のレアアース市場の現在地と今後の展望――IRuniverse主催 第2回CMSSレアアース編

2026/06/26 21:41 FREE
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日本のレアアース市場の現在地と今後の展望――IRuniverse主催 第2回CMSSレアアース編

6月26日、IRuniverseは都内で「業界のレジェンドが語る、レアアース・レアメタル産業の過去・現在・未来」をテーマに、「クリティカルマテリアルスタディシリーズ(CMSS)第2回 レアアース編」を開催した。IRuniverseは、経済安全保障の観点から改めて注目されている重要資源・鉱物の市況・市場動向にスポットを当てた「クリティカルマテリアルスタディシリーズ(CMSS)」をマンスリーで開催していく予定で、今回の「レアアース編」は第2回になる。

関連記事:アーカイブ/Archive:The Critical Material Study Series (CMSS) – 第1回 硫酸編/Vol. 1: Sulfuric Acid

近年、レアアースはEVやモーター、防衛、半導体、ロボティクスなどの先端産業を支える戦略物資として存在感を高めている。一方、中国への供給依存や資源ナショナリズムの高まりを背景に、市場を取り巻く環境は一段と複雑化している。特に、日本では2026年2月に中国商務部が打ち出したレアアース輸出規制措置を受け、調達リスクが改めて浮き彫りとなった。こうした状況を受け、各国ではレアアースの安定確保やサプライチェーン強化を重要課題として位置付ける動きが加速している。

会場には約80人が来場し、レアアース市場の最新動向や今後の展望に関する講演に熱心に耳を傾けたほか、参加者同士による活発な情報交換や交流も行われた。

 

◼︎日本のレアアース産業の黎明期〜目からウロコとエピソード〜:元株式会社三徳、小西 功

最初の登壇者は、レアアースの老舗企業である株式会社三徳に53年にわたり勤務し、5月17日にNHKスペシャルで放送された「レアアース 覇権の正体を追う」の制作にも関わった小西功。日本のレアアース産業の発展を現場で支えてきた小西氏は、本講演で希土類工業の起源にはじまり、日本の希土類産業黎明期を支えた企業や先人たちの挑戦をはじめ、時代ごとのレアアースの主要用途の変遷について、その誕生の背景や技術革新、市場の発展過程を解説した。

講演は大阪大学名誉教授である足立吟也氏のお言葉で、小西氏の座右の銘である「希土類の希は希望の希」という言葉で締めくくられた。

 

◼︎間違えやすいレアアースの現状:三井金属株式会社 レアマテリアル事業部、山口靖英氏

2人目の登壇者は、三井金属株式会社 レアマテリアル事業部の山口靖英氏。山口氏は冒頭、レアアースと一言で言っても軽希土類と重希土類に大別されることについて触れ、軽希土類は比較的資源量が豊富で調達しやすい一方、重希土類は産出地が限られ、とりわけディスプロシウム(Dy)やイットリウム(Y)は供給が逼迫しやすいことを説明した。本講演で山口氏は、重希土類と軽希土類では鉱床のタイプも異なり、レアアース全体を一律に論じることは誤解を招いている現状について懸念を示した。

レアアースは今後、中国以外からの調達先の多様化は不可欠だが、新たな調達ルートやサプライチェーンの構築には3~5年程度を要する。山口氏は「レアアースは単なる資源ではなく、経済安全保障を左右する戦略物資となっていることから、日本には備蓄のあり方や新規鉱床開発を含めた長期的な資源戦略が求められている」と述べ、講演を締め括った。

 

◼︎スポンサートーク:株式会社マテリアルトレイディングカンパニー 代表取締役社長、小滝秀明

本セミナーのスポンサーを務めた株式会社マテリアルトレイディングカンパニーは、レアアースおよびレアメタルを扱う専門商社である。同社は1999年にロンドンで設立され、2010年に本社を東京へ移転した。移転直後には尖閣諸島問題を契機とするレアアースショックが発生し、半年ほど売り上げが立たない厳しい局面もあったという。その後、レアアースショックの沈静化や需要拡大を背景に売り上げを伸ばしたものの、市況の下落なども経験してきた。

こうした苦境を乗り越えてきた同社は、中国のレアアース規制下においても輸出許可を得た正規ルートを通じ、調達が困難になっているイットリウム(Y)を安定的に確保しているという。小滝氏は、「誠実で敏速に行動する」をモットーに掲げ、一社だけが利益を得るのではなく、関係者全体にとってプラスとなるビジネスを展開していく姿勢を示し、スポンサートークを締めくくった。

 

◼︎AI文明はレアアースを爆食する― 第二の資源革命が始まった ―:株式会社UMC (Urban Mines Co.,Ltd.) 代表取締役会長、中村 繁夫氏

本セミナー最後の講演は、3月に開催された第13回 Tokyo Battery Summitにも登壇していただいた株式会社UMCの代表取締役会長の中村繁夫氏

中村氏は冒頭、生成AIの普及を支えるデータセンターはガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、ネオジム(Nd)をはじめとするレアメタルやレアアースが不可欠であり、膨大な鉱物資源を消費する「巨大な鉱山消費装置」であると説明。レアアースは、AI産業の急拡大によってその戦略的重要性が一段と高まっていることを指摘した。

世界のレアアース分離・精製能力の9割以上を握っている中国は、1978年の改革開放を契機に国家プロジェクトとしてレアアース産業の整備が始まり、1992年には鄧小平が「中東に石油あり、中国にレアアースあり」と述べて国家戦略としての位置付けを明確化した。その後、2010年の尖閣諸島問題を受けた対日輸出規制を経て、AI時代の到来によってレアアースの戦略的重要性は再び高まりつつあるとし、中国は約半世紀にわたる長期的な国家戦略を着実に積み重ねてきたと振り返った。

一方、日本については資源には恵まれないものの、半導体製造装置や材料など世界トップクラスの技術力を有し、「日本抜きでは半導体は作れない」と強調された。中村氏は、レアアースの輸出規制下でも日本企業には供給を継続しようとする海外パートナーが存在する背景には「日本なら約束を守る」という信頼があると述べ、「技術を支えるのは信頼であり、その信頼こそが日本の見えない覇権である」と締めくくった。

(IRuniverse Midori Fushimi)

Midori Fushimi

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