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中国や台湾産のニッケル系ステンレス冷延鋼板類に対するAD措置を告示―熱延は対象外に

2026/07/10 13:05
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中国や台湾産のニッケル系ステンレス冷延鋼板類に対するAD措置を告示―熱延は対象外に

財務省は3日の閣議決定を受けて、中国や台湾、澎湖諸島、金門、馬祖から成る独立の関税地域産ニッケル系ステンレス冷延鋼帯と冷延鋼板に対する暫定的な不当廉売関税の課税(AD措置)についての政令を8日に告知した。暫定的な不当廉売関税率は3.6~42.1%で一定の効果は期待されるものの、あくまで冷延を対象としたものであり、熱延鋼帯や熱延鋼板は対象外となっており、一部の関係者からは懸念の声が上がっている。

AD(アンチダンピング)措置とは輸出国の国内価格より不当に安く輸出された製品によって、輸入国の国内産業が損害を受けている場合に、その価格差に相当する追加関税(AD税)を課して公正な競争環境を回復させる措置のこと。今回のケースでは、2025年7月から調査が開始され、26年6月19日に、不当廉売がされた貨物の輸入の事実と対象輸入が日本産業に与える実質的な損害等の事実を推定するに至ったことから、仮の決定が下された。

その後、同月23日に関税・外国為替等審議会(関税分科会特殊関税部会)から、不当廉売関税を暫定的に関することが適当である旨の答申が提出されたことから、閣議決定を経て今回の告示に至った。

AD措置の対象については、「ニッケル系ステンレス冷延鋼帯及び冷延鋼板」のうち、ニッケルの含有量が全重量の0.6%を超えるものなどの条件が定められているが、「冷間圧延をしたもの(クラッドし、めっきし、又は被覆したもの及び次に掲げる加工したものを除く」と明記されており、熱間圧延されたものは対象外となっているため、業界関係者からは「効果は限定的」とする声も聞こえている。

また、対象国を“原産地”とする製品を対象としたAD措置である一方で、第三国で一定以上の加工を行った製品は規制の網を潜り抜けてしまう可能性もあるため、同措置による市場の変化と、今後の政府の動向に注視していきたい。

なお、同措置の告示後の片山財務大臣による声明・コメントは確認できていないが、6月中旬の閣議後記者会見では、同件について、「不当廉売された価格差は、差額率は中国産品で最大約45%、台湾産品では最大約21%」と報告するとともに「10月末までの最終決定をメドに引き続き調査を進めていく」と意欲を示していた。

同措置は、国内のステンレス産業を不公正な取引から保護し、健全な市場環境を取り戻すための重要な一歩ともいえる。しかし、暫定措置の効果を確実なものとするためには、今後の輸入動向や価格変化を詳細に分析し、実情に即した柔軟かつ厳格な運用を続けることが不可欠である。政府には、10月末に予定される最終決定に向け、公正な貿易秩序を維持するための透明かつ毅然とした判断が強く期待される。

Kota Kuribara

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