国際エネルギー機関(IEA)は7月16日、ホームページ上で、重要鉱物に関する最新報告書「Global Critical Minerals Outlook 2026」を発表した。IEAはこの中で、「供給の一極集中によるサプライチェーン(供給網)の脆弱性が続いている」と指摘し、「複雑化する地政学的環境の中で、重要鉱物が国家安全保障の最前線に押し上げられる」中、「さらに強力な対応が必要」だとした。(図表はすべてIEAレポートから)
レポート:Global Critical Minerals Outlook 2026 – Analysis - IEA
■中国の輸出規制、世界の6兆5000億ドル規模の産業に影響も
レポートによると、2025年の重要鉱物の供給量は前年比で9%減少し、数年ぶりの前年割れとなった。これは中国の輸出制限が関連していると考えられる。中国はインドネシアが4割超を占めるニッケル以外で、ほぼすべての重要鉱物で主要な供給元となっている。特に精錬分野では寡占しており、IEAは「中国が輸出規制を完全に実施した場合、世界では自動車、ハイテク、防衛、エネルギー分野における約6兆5000億ドル相当の産業が供給途絶の影響を受ける可能性がある」と推計した。影響の半分は欧米としている。
主要な重要鉱物の国別供給元。中国がほぼすべての鉱物でシェアが高い

種類別では、サプライチェーンリスクが最も高いのはガリウム。レアアース磁石やイットリウムも高リスクだ。
種類別のサプライチェーンリスク トップはガリウム

もちろん、他国が努力していないわけではない。米国とマレーシアにおける新たなレアアース精製プロジェクトが奏功し、中国の世界の重要鉱物供給シェアは2025年に全体の85%と、2023年の90%から低下した。IEAは各国で現在進行中の生産プロジェクトが予定通りに進めば、「中国のシェアは2035年までに70%に低下する可能性がある」としている。
■最終製品段階での需要は限定的なケースも
一方、需要面では、実はイメージほど重要鉱物が必要不可欠でもない。例えばバッテリー材料の場合、バッテリーセル段階での重要鉱物需要は26%だが、電気自動車(EV)完成車の段階では3%に落ちる。レアアースも磁石には材料需要の40%を占めるが、航空機に占める需要は0.001%以下だ。IEAは「たとえ脱中国依存により重要鉱物の調達コストが上昇しても、最終製品価格への転嫁は最小限に抑えられる可能性がある」と分析した。
製品別の重要鉱物需要

IEAは「脱中国依存は重要鉱物価格の値上がりにつながる可能性はあるが、これは地政学的不確実性の時代における鉱物安全保障プレミアムと見なせる。IEAとしては、重要鉱物供給の安全性強化を目指す各国政府を支援する」とした。