中国は1月6日、軍民両用品の対日輸出を禁じた。これを受け新聞テレビなどの各社は「事実上のレアアースの禁輸措置では」と連日報じるが、実際にレアアースを扱う専門商社の幹部からは「メディアは騒ぎすぎではないか」との冷静な声が上がっている。IR Universeの1月8日の取材に対し、この幹部は「むしろタングステンなどが心配だ」と話した。
関連記事: 中国、日本向け軍民両用品の輸出規制を強化 6日から、レアアースも対象に?
■禁輸は「中重希土類7種」? ネオジムは対象外か
中国は6日の発表では、どの品目が具体的に禁輸対象になるのかを明示していない。ただ、商務省と税関総署が2025年末に「2026年度に輸出入を管理する軍民両用品リスト」を発表しており、韓国メディアなどはこれを手掛かりに、「サマリウム、ジスプロシウム、テルビウム、ガドリニウム、ルテニウム、スカンジウム、イットリウムの中重希土類7種と、タングステンと黒鉛、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン」が対象になると報じた。
プレスリリース:商务部 海关总署公布2026年度《两用物项和技术进出口许可证管理目录》
一方、前出の専門商社幹部はあくまで冷静だ。同氏は「中国がレアアースを輸出規制してくるだろうことは、2025年11月の高市早苗首相の発言直後から言われていた。関係者は準備を進めていたと思う」と指摘。「中国側の輸出業者も現時点では様子見」と話した。この幹部は、リストには磁石向けネオジムが入っていないようだが、との問いにも「軍民両用なので対象外なのだろう」とみている。
事実、中国の発表から丸2日経つが、レアアース価格の反応は鈍い。第三者価格調査機関アーガス(本社:英ロンドン)のアーガスの最新データによると、ジスプロシウムやテルビウムなどの欧州価格は足元で下落している。2025年下期に急伸した酸化イットリウムも横ばいだ。
■タングステンはパウダーも輸入停止の恐れ
レアアースについては冷静な受け止めだった幹部だが、タングステンやガリウム、ゲルマニウムについては懸念を隠さなかった。特にタングステンは「これまで輸入できていたタングステンパウダーも、入ってこなくなるかもしれない」という。一時は輸出再開がみられていたガリウム、ゲルマニウムも「輸出が再び止まる可能性がある」と警戒した。
タングステンは中国国内でも鉱山の老朽化などにより枯渇気味だ。そもそも中国国内価格が急騰しており、それに連鎖する形で国際価格も値上がりしている。ベンチマークであるタングステンAPT価格は、2011年に付けたそれまでの過去最高値の2倍となる水準で、過去最高値を更新し続けている。
過去20年間のタングステンAPT価格の推移($/MTU)

(IR Universe Kure)