(左:髙見社長、右:成長戦略室部 松本部長)
―3年ぶりに伊賀市のタカミを訪問、スクラップ業界の"次の一手"を聞く
IRuniverse(MIRU)は、三重県伊賀市に本社・工場を構えるスクラップディーラー、株式会社タカミを3年ぶりに訪問した。
同社は近年、組織改革と事業基盤の強化を着実に進め、先代時代と比較して売上高は約3倍となる規模へと成長した。
現在はパート・業務委託を含め約30名体制となり、新たに「成長戦略室」を新設。2035年までに売上100億円企業を目指すという長期ビジョンを掲げ、新たな挑戦を進めている。
激変するリサイクル業界の中で、同社がどのような成長戦略を描いているのか、高見尚吾社長に話を聞いた。
売上は先代時代の3倍、営業強化が成長を後押し
近年の成長を支えているのは、相場環境だけではない。
営業体制を強化し、新規顧客の開拓と既存顧客への提案活動を積極的に進めたことに加え、港湾ヤードの活用によって物流面でも競争力を高めてきた。
「今まで十分に訪問できなかったお客様にも営業活動ができるようになりました。」
その成果もあり、鉄スクラップを中心に取扱量は着実に増加し、非鉄金属についても安定した取扱量を維持している。
「100億企業宣言」に参画、成長戦略室を新設
同社は昨年、「100億企業宣言」の承認を取得。
今後の設備投資、新規事業、M&A、既存事業の強化など、中長期的な経営戦略を推進するため、「成長戦略室」を設置した。
また、社長自ら松本本部長とともに解体工事施工管理技士資格を取得するなど、人材育成にも積極的に取り組んでいる。
高見社長は、「安定・停滞は後退。失敗を恐れず挑戦し続けることが大切です。」と語る。
港湾物流を強みに柔軟な販売体制を構築
大阪府貝塚市の港湾ヤードを活用し、国内外の需要に合わせた物流体制を整備している。
スクラップディーラーとして港湾機能を活用することで、
- 輸送効率向上
- ロット調整
- トラック物流問題への対応
など、顧客ニーズに応える体制づくりを進めている。
「市場環境やお客様の要望に応じて柔軟に販売しています。」
次の成長に向けた新たな挑戦
今後は既存事業の強化に加え、高付加価値リサイクル分野や新たな資源循環分野への取り組みを検討している。
詳細についてはまだ公表できる段階ではないが、これまで培ってきた現場力と技術力を活かし、新たな価値創出につながる事業を育てていく考えだ。
「今すぐ結果を求めるのではなく、5年後、10年後を見据えて準備を進めています。」

AIを活用した経営
今回の取材で印象的だったのが、AIの積極的な活用である。
高見社長は生成AIを日常的に利用し、
「経営判断」「組織づくり」「新規事業」「情報整理」など幅広いテーマについて活用しているという。
「AIは答えを出してくれるものではなく、自分の考えを整理するパートナーですね。」
現場経験とAIを組み合わせることで、新しい発想や意思決定の質を高めている。
将来を見据えた事業基盤づくり
同社では以前から国内市場だけでなく、将来を見据えた情報収集や事業基盤づくりにも取り組んできた。
短期的な利益を追うのではなく、中長期的な視点で成長機会を模索しながら、一歩ずつ基盤整備を進めている。
「今は焦らず土台を固める時期だと思っています。」
オンリーワン企業を目指して
大手企業と同じ土俵で競争するのではなく、
- 高付加価値リサイクル
- デジタル活用
- 物流機能の強化
- 新規市場への挑戦
を通じて、自社ならではの強みを築こうとしている。
「今の規模だからこそ、大手にはできない挑戦があると思っています。」
編集後記
3年ぶりの取材で最も印象に残ったのは、単なるスクラップ業者という枠を超え、「資源循環」「テクノロジー」「経営改革」を融合させながら、新たな価値創造に挑戦している姿だった。
100億企業という目標を掲げるだけでなく、デジタル技術を積極的に取り入れ、将来を見据えた事業基盤づくりを進める姿勢からは、「安定・停滞は後退」という経営哲学が随所に感じられた。
2030年、そしてその先を見据えた同社の挑戦は、リサイクル業界に新たな可能性を示す取り組みとして注目されそうだ。