7月17日15時15分、東京製鐵は同日14時に発表した27/3期1Qの決算を受けて説明会を開催した。説明に使われた資料はこちら。詳細は以下の通り。
<27/3期1Q決算サマリー>

〇実績
売上高729億円(前年同期比1.3%減)、営業損失は23.7億円、経常損失は▲17.4億円と赤字を計上、当期利益は▲18.8億円のプラスとなった。
●中東情勢の緊迫化を背景としたスクラップ価格の急騰が大きく影響した。前年度末から計3回の製品値上げを行ったが、原料購入価格の上昇に対して製品価格への反映には一定の時間を要し、タイムラグが生じたため営業赤字となった。当期利益は投資有価証券など不要資産の売却を進めた結果が寄与。
図表1、27/3期1Q実績(百万円、千円/トン)

出所:会社発表資料よりIRU作成
〇製品出荷数量と品種構成
今1Qの輸出比率は14.8%(前年同期は18.4%)と減少した。輸出量は10.9万トン、うち板類が8.9万トン。
品種構成は、条鋼が39%(丸鋼2%、形鋼37%)、板が61%(薄板46%、厚板15%)。
図表2、輸出量と国内販売数量(千トン)

出所:会社発表資料よりIRU作成
図表3、鋼板と条鋼の販売数量(千トン)

出所:会社発表資料よりIRU作成
〇営業利益の増減要因
●計画との比較(予想▲20億円に対し実績▲23億円)
ダブル台風による出荷遅れで数量が2.6万トン下振れした。また、売上単価が想定まで上がりきらず、スプレッドが縮小した。一方で、電力料金や副資材(亜鉛・酸素など)のコストは予想より下振れしプラス要因となったが、スプレッド縮小を補いきれなかった。
●前年同期との比較(約70億5000万円の悪化)
悪化要因のほぼ全てがスクラップ単価の急騰(約4.30万円台から5.52万円へ約1.2万円上昇)によるスプレッドの縮小。
<今後の業績予想>
〇通期予想
営業利益の予想(▲40億円)は据え置いたが、株式売却等の見通しを含め、当期利益のみ10億円のプラスに上方修正した。
図表4、27/3期業績見通し(百万円、円/株、千トン、千円/トン)

出所:会社発表資料よりIRU作成
〇2Q(7-9月)の予想
値上げの浸透により売上単価が10万円を超え、スプレッドの改善を見込む。また、1Qの台風による出荷遅れ分が戻るため、出荷数量もプラス2.2万トンと想定。しかし、電力料金が12%以上上昇するなどコスト増の懸念が強く、営業利益は1Qより改善するものの、▲17億円の赤字を予想。
<株主還元と参考情報>
〇株主還元
総還元性向の目標25%は変更していないが、今回の配当額(20円)に当てはめると、配当性向・総還元性向ともに高めの数字となっている。
〇参考情報
5月に「東鉄技術フォーラム2026」を開催し、「ほぼゼロ」などの低CO2鋼材を顧客へ訴求した。また、人権やサステナビリティのイニシアチブである「国連グローバル・コンパクト」に署名した。
<質疑応答の主なポイント>
〇下期の業績見通し
製品価格の値上げは浸透しつつあるが、電力料金などのコストの先行きが不透明なため、通期の下期予想は変更していない。鋼材価格の値上げを進めているので売上高及びスプレッドが上振れする可能性がある。
加えて2Qの鉄スクラック価格の前提が5.57万円/トンと足元の価格より割高となっているが、通期の想定は変更していないので矛盾が生じている。
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〇アンチダンピング措置への期待
中国や韓国等の熱延コイルへのアンチダンピング措置が本格化すれば、サプライチェーンへの不安感から自社材への引き合い(メリット)があると認識している。
〇低CO2鋼材の販売
受注量は2.5万トンを超え、顧客からの評価も高まっており、実績を地道に積み重ねている。
〇需要動向
値上げ前の駆け込み需要の反動や台風影響のズレはあるものの、再開発工事などは進んでおり、実需自体はそこまで悪くなっていないと評価している。
〇投資有価証券の売却
株式市場の状況やタイミングを見ながら不要資産の売却を順次進めており、今後もこの方針を継続して適宜開示していく意向。
<参考>
図表5、鋼材販売数量と鋼材販売価格、鉄スクラップ価格の推移(千トン、千円/トン)

出所:会社発表資料よりIRU作成
図表6、四半期別の業績推移(百万円、)

出所:会社発表資料よりIRU作成
(IRuniverse 井上 康)