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【特別対談】重要鉱物を巡る米中対立と高市政権の外交方針――日本企業が直面するサプライチェーンの危機

2026/07/30 10:57
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【特別対談】重要鉱物を巡る米中対立と高市政権の外交方針――日本企業が直面するサプライチェーンの危機

中国による重要鉱物(レアメタル・レアアース)の輸出規制が激しさを増している。ガリウム、ゲルマニウム、タングステンなどの供給が絞られる中、日本国内の産業への影響は避けられない状況だ。さらに、現在の高市政権下における対中外交や米国追従の姿勢が、事態をより複雑にしているとの声も経済界から上がり始めている。今回は、最前線で国際的な資源ビジネスに携わる中国系商社の幹部をお招きし、現場のリアルな状況と今後の日本の針路について語り合った。(モデレーター:棚町)

輸出規制の現状:止まる重要鉱物と中国企業のジレンマ

棚町: 本日はよろしくお願いいたします。まずは足元のリソース確保の動きについて伺いたいのですが、例えばベトナムの電炉メーカーがラオスにレアアース資源権益を持っており、日本企業に出資を打診しているといった話も耳にします。大手商社も関心を示しつつ、政治的リスクから二の足を踏んでいるようですね。

中国系商社幹部(以下、商社幹部): ええ、ラオスなど東南アジアの案件は確かに話が来ます。ただ、やはり政治的なリスクがネックになり、大手は手を引きがちです。一方で、中国からの輸出規制は本当に厳しくなっています。直近の統計を見ても、イットリウムやAPT(パラタングステン酸アンモニウム)の日本向け輸出は完全にゼロが続いています。ガリウムやゲルマニウム、インジウム、さらにはサマリウムも全く出ません。

棚町: それほど厳格に止まっているのですね。ただ、中国の事業者側も商売ができず苦しんでいるのではありませんか?

商社幹部: その通りです。先日あるモーター関連の展示会で、中国の磁石メーカーが「耐熱性のないネオジム磁石」を売り込んでいました。中国政府の規制対象から外れるため、開き直って売っているわけですが、果たしてそれに需要があるのか疑問です。とはいえ、エアコンのコンプレッサーなどフェライト磁石への回帰や、鉄と窒素を使った完全レアアースフリー磁石の開発も進んでいます。中国が規制を強めれば強めるほど世界の「レアアース離れ」を加速させ、長期的には中国産業界自身の首を絞めることになりかねません。

高市政権の外交方針と経済界の懸念

棚町: そうした中、日本国内の政治状況について伺います。現在の高市政権による強硬な対中姿勢をどう見ていますか?

商社幹部: 非常に危惧しています。いつまでも「中国は発展途上国だ」というような古い認識を引きずっているように見受けられます。自動車、宇宙開発、AI、ロボット産業など、あらゆる面で中国の技術力は先行しています。謙虚に相対すべきなのに、不要な対立を煽っているように感じます。

さらに深刻なのは移民・外国人労働者に対する厳しい政策です。現在、日本は深刻な人手不足ですが、優秀な外国人材のビザ更新すら滞るケースが出ています。私の会社にも日本語・中国語・韓国語などを操る非常に優秀なスタッフがいますが、彼らのような人材を排除していては日本の産業は回りません。

棚町: 確かに、国内のインバウンド消費や不動産市場、さらには介護やコンビニエンスストアなどの現場を支えているのも外国人であり、経済の実態と政治のメッセージが矛盾していますね。経済界からも、政権に対する厳しい見方が出始めているのでしょうか。

商社幹部: ええ、当初は期待して投票した経済界の人たちも、極端な円安や重要鉱物の供給停止という現実を前に、「このままでは日本のサプライチェーンが崩壊する」と危機感を抱き始めています。三菱重工のような企業が事実上のブラックリストの標的になれば、防衛装備品などの製造にも直結する深刻な事態です。信越化学工業のような独自のパイプを持つ優良企業であっても、中国からの原料調達には極めて苦労しています。

グローバルサウスとロシア:したたかな中国の資源戦略

棚町: 供給網の多角化という点では、ブラジルやアメリカでの分離精製プロジェクトも動いています。また、ロシアの動きも気になりますね。

商社幹部: 実は今、中国はロシアから歴史上最も多くのタングステン鉱石を輸入しています。北朝鮮やカザフスタン、モンゴルなどからも積極的に資源をかき集めている。つまり、中国は自国の資源(イオン吸着鉱など)を温存・備蓄しながら、海外の原料を回しているのです。

一方で、欧米の経済制裁は形骸化しつつあります。日本も建前上はロシアと距離を置いていますが、背に腹は代えられずロシア産のタングステンなどの流入ルートを模索する動きすら水面下ではあります。

棚町: 外交において「対話のチャンネル」を絶ってしまうことの恐ろしさを感じます。

商社幹部: かつては自民党や公明党に中国との太いパイプを持つ政治家がいました。東京オリンピックの直後に開催された北京冬季オリンピック(2022年)の開会式などは、首脳外交の絶好のチャンスだったにも関わらず見送ってしまった。こうした外交の不作為が、現在の「目詰まり」を生んでいます。

日本が取るべき現実的な針路とは

棚町: 今後、日本はどのように立ち回るべきでしょうか。「Japan is Back」といった勇ましい掛け声の一方で、1人当たりGDPは世界38位まで後退しています。

商社幹部: まずは現実を直視することです。円安による見かけ上の企業業績に浮かれるのではなく、ドルベースで見た時の日本の国力低下を認識しなければなりません。

その上で、アメリカ一辺倒の外交から脱却し、中国とも是々非々で対話できる関係を再構築する必要があります。対立路線をとるにしても、代替ルートの確保や精錬メーカーの育成など、5年、10年単位の準備をしてから挑むべきです。十分な準備もなく強硬姿勢をとることは、日本企業を致命的な危機に晒すだけです。

棚町: 資源確保という実利を守るためには、したたかで現実的な外交姿勢が不可欠だということですね。本日は現場のリアルな声をありがとうございました。

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