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2026年5月チタンスクラップ輸出入統計分析 輸出は米国向け減少、輸入は台湾材急増も価格は高止まり

2026/07/31 09:47
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2026年5月チタンスクラップ輸出入統計分析  輸出は米国向け減少、輸入は台湾材急増も価格は高止まり

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為替相場推移 TTS 3か月
純チタン板スクラップ・合金チタンスクラップ国内相場推移(JPY/KG) 1年

 

(輸出詳細分析)
■数量では、
5月単月は413トンと、4月の703トンから前月比59%へ減少し、前年同月比でも88%と前年を下回った。米国向けは172トン(前月比48%、前年同月比97%)と大幅に減少した一方、「その他」は241トン(同70%、前年同月比82%)となり、数量では米国を上回った。その他の内訳は、インド94トン、タイ92トンを中心に、ベルギー17トン、韓国12トン、台湾11トン、シンガポール9トン、ドイツ6トンなどで構成され、アジア向けを主体に欧州向けも交えた分散調達が続いた。英国向けは引き続き実績がなかった。
1~5月累計は2,685トンで前年同期比107%と前年を上回った。米国向けは1,266トン(前年比112%)で最大仕向け先を維持し、「その他」も1,404トン(同104%)と前年を上回った一方、英国向けは15トン(同38%)にとどまった。5月は単月数量こそ減少したものの、累計では前年超を維持しており、米国を主力としつつアジア・欧州向けが補完する分散型の輸出構造が続いている。
(表―1、グラフ―1)。



 

■数量構成比では、
米国向けは4月の51%から5月は42%へ低下し、数量も360トンから172トンへ減少した。一方、「その他」は49%から58%へ上昇し、全体の過半を占めた。その他の内訳は、インド94トン、タイ92トンを中心に、ベルギー17トン、韓国12トン、台湾11トン、シンガポール9トン、ドイツ6トンなどで構成され、アジア・欧州向けへの分散が続いている。英国向けは引き続き実績がなかった。
結果として5月は、4月の米国主導から再び「その他」向け主体の構成へとシフトした。ただし、累計では米国が最大の仕向け先を維持しており、「米国を軸にアジア・欧州向けが補完する分散型輸出構造」に大きな変化はみられない。
(グラフ―2)。



 

■金額では、
5月単月は2億65百万円と、4月の5億17百万円から前月比51%へ大幅に減少し、前年同月比でも91%と前年を下回った。米国向けは1億67百万円(前月比49%、前年同月比107%)と減少した一方、「その他」も98百万円(同57%、前年同月比72%)へ縮小した。その他はインド、タイ、韓国、台湾、ベルギー、ドイツなどアジア・欧州向けの小口案件が中心となり、英国向けは引き続き実績がなかった。
1~5月累計は18億29百万円で前年同期比92%。数量は前年同期比107%と増加している一方、金額は前年を下回っており、高単価案件の減少や輸出先構成の変化を背景に、「数量は堅調だが金額は伸び悩む」構図が続いている。
(表―2、グラフ―3)。



 

■FOB単価は、
全体平均で4月の736円/kgから5月は642円/kgへ低下した。5月は為替が160円台から159円台へやや円高方向に推移したことに加え、米国向けが955円/kgから971円/kgへ小幅上昇した一方、数量が360トンから172トンへ半減し、全体に占める比率も51%から42%へ低下したことが平均単価を押し下げた。また、「その他」も506円/kgから407円/kgへ低下し、全体平均の下落要因となった。
一方、スポンジチタンやスクラップなど国際チタン原料価格は高値圏を維持しており、航空宇宙向け需要も底堅いことから、市況そのものが大きく軟化したわけではない。5月のFOB単価下落は、円高の進行に加え、米国向け高単価案件の減少と「その他」向けの調達・輸出ミックスの変化による影響が大きく、価格水準は依然600円/kg台を維持しているものの、輸出先構成の変化による調整色が強い月と整理できる。
(グラフ―4)。


 

主要税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績

主要国別税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績


■今後の展望
数量面では、米国向けが引き続き最大市場となる一方、インド、タイなどアジア向けを中心としたスポット取引も継続し、輸出先の分散化が続く見通しである。日本鉄鋼連盟統計では特殊鋼生産は緩やかな回復基調にあるものの、本格的な需要拡大には至っておらず、国内需要を補完する輸出の役割は当面変わらないとみられる。
価格面では、7月初旬時点で国内チタンスクラップ価格は純チタン板スクラップや6-4合金スクラップを中心に前月比20円程度上昇しており、国内メーカーの積極的な原料調達姿勢が相場を支えている。一方、チタン鉱石や二酸化チタンは需要低迷から軟調な推移が続くものの、航空機・高級合金向けのスポンジチタン需要は堅調で、スクラップ価格の下支え要因となっている。
さらに、6月以降は為替が161円台まで円安方向へ進んだことで円建てFOB価格には追い風となっており、米国向け高単価案件や航空機向け需要の動向が輸出採算を左右しやすい状況が続く見通しである。総じて当面は、「数量は横ばい圏ながら、価格は円安と高級合金向け需要に支えられ底堅く推移する」展開が基本シナリオとなろう。


(輸入詳細分析)
■数量では、
5月単月は150トンと、4月の162トンから減少し前月比93%、前年同月比179%となった。最大の供給源は台湾で91トン(前月比140%、前年同月比1,820%)と大幅に増加し、全体の約6割を占めた。中国は44トン(前月比79%、前年同月比119%)と減少したものの引き続き主要供給源を維持し、韓国も13トン(同57%、前年同月比72%)へ縮小した。米国品はゼロとなり、「その他」はインド2トンのみと小口輸入にとどまった。
1~5月累計は801トンで前年同期比94%と、前年水準に近づいた。中国は331トン(前年比149%)と引き続き増加基調を維持し、台湾も231トン(同125%)と前年を上回った。一方、韓国は132トン(同79%)、米国は46トン(同44%)、「その他」も61トン(同36%)と前年を下回った。
総じて5月は、台湾向け輸入の急増が全体を支える一方、中国も引き続き一定の数量を維持し、供給構造は中国・台湾を中心とする東アジア依存型が一段と鮮明となった。 ただし、全体数量は前月をやや下回っており、輸入需要はなお力強さを欠く状況が続いている。
(表―3、グラフ―5)。



 

■金額では、
5月単月は1億33百万円と、4月の1億47百万円から前月比90%へ減少したものの、前年同月比では139%と前年を大きく上回った。台湾品が81百万円(前月比145%、前年同月比1,439%)へ大幅に増加し、金額ベースでも最大の供給源となった。一方、中国品は39百万円(前月比68%)へ減少し、韓国品は12百万円(同84%)へ小幅減、米国品はゼロとなった。「その他」は1百万円とごく小規模にとどまった。
1~5月累計は7億64百万円で前年同期比81%となり、依然として前年水準を下回る。内訳では、中国が3億01百万円(前年比126%)、台湾が1億97百万円(同121%)と前年を上回る一方、韓国は1億18百万円(同71%)、米国は81百万円(同71%)、「その他」は68百万円(同26%)と低調な推移が続いている。
総じて5月は、台湾向け輸入の急増が金額面でも全体を支え、中国と合わせて東アジア勢が市場の中心を占める構図が一段と鮮明となった。 一方で、米国やその他地域からの調達は縮小しており、輸入金額全体は前年を上回ったものの、供給源は再びアジアへ集中する展開となっている。
(表―4、グラフ―6)。



 

■輸入CIF単価は、
全体平均は4月の910円/kgから5月は887円/kgへ小幅低下し、前月比97%となった。5月は為替が4月の160円台から159円台へやや円高方向へ推移したことに加え、中国品が1,025円/kgから885円/kgへ低下したことが全体平均を押し下げた。一方、韓国品は602円/kgから896円/kgへ大幅に上昇し、4月の低水準から正常化したほか、台湾品も860円/kgから893円/kgへ小幅上昇し、アジア材は総じて底堅さを維持した。5月は米国品の輸入実績がなかったため、高単価材による平均価格の押し上げ効果もみられなかった。
総じて5月は、円高への小幅な転換と中国品の価格調整が全体CIF価格をやや押し下げたものの、韓国・台湾品は堅調に推移し、平均価格も900円/kg近辺の水準を維持した。 市況全体が弱含みに転じたというより、主要供給国の価格調整や米国材不在といった調達ミックスの変化が平均単価に反映された月と整理できる。
(グラフ-7)。


 

主要国別税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績

主要国別・税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績(  )内は前月実績



■今後の展望(輸入)
輸入は中国・台湾を中心としたアジア材が主力を維持する見通しで、スポット案件による調達先の変動が続きそうだ。国内スクラップ価格は供給不足を背景に底堅く推移しており、輸入材の需要も一定程度下支えされる。
価格面では、6月以降の円安進行が円建てCIF価格を押し上げる一方、国際チタン原料市況は軟調で上値は限定的とみられる。当面は**「数量は横ばい、価格は円安に支えられ高止まり」**の展開が続き、為替動向が輸入価格を左右する最大の要因となろう。

(IRUNIVERSE S. Aoyama)
本記事は執筆者個人の分析および見解であり、IRuniverseの公式見解を示すものではありません。内容は情報提供を目的としたもので、投資判断の根拠として用いることを意図したものではありません。

 

青山 雫

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