LME銅 13,800~15,200ドル 高値継続・調整注意 | 国内銅建値 2,270~2,470円 2,400円台も視野 | ドル/円 157~160円 米金利・日銀に注意 |
EXECUTIVE SUMMARY|8月のポイントと9月の判断
8月のポイント ● LME現物高値 14,850ドル ● 国内銅建値 2,420円 ● 7月自動車生産 761,142台 ● 7月伸銅品生産 60,240t ● 7月銅電線出荷 53,400t | 9月の見方 ● 基本シナリオ 高値継続 ● 高品位材 タイト継続 ● 込銅・真鍮 高値警戒 ● 最大材料 米関税・在庫偏在 ● 注意点 ニュースによる急変 |
9月の基本判断
高値継続を基本としつつ、数量確保を優先する高品位材と、採算重視の込銅・真鍮系で対応を分ける。在庫を持ち過ぎない。
INTERNATIONAL MARKET|国際概況・為替
8月のLME銅は、月初13,945ドルから上昇し、17日には現物14,850ドルまで上伸した。その後も14,000ドル台を維持し、28日は現物14,535ドル、3か月物14,370ドルで終了した。米国の精製銅関税観測を背景にCOMEX向けへの在庫移動が続き、米国外の現物需給が相対的に引き締まったことが相場を押し上げた。LME在庫は月初24万4,025トンから一時20万4,975トンまで減少し、28日は23万4,275トン。国内銅建値も月中2,420円まで上昇し、高値圏で推移した。
9月は、米国の精製銅関税方針と在庫移動が引き続き最大の材料となる。LME在庫減少、中国の現物需要、鉱山・製錬所の供給不安は上値要因。一方、関税方針の後退、ドル高、中国景気懸念、投機筋の利益確定が出れば調整も大きくなりやすい。高品位銅スクラップは引き続きタイトで、込銅・真鍮系は高値警戒から品種・品質による価格差が広がりやすい。
指標 | 8月の動き | 9月の注目 |
|---|---|---|
LME銅 | 14,000ドル台へ定着 | 13,800~15,200ドル |
LME在庫 | 24.4万t→一時20.5万t | 在庫偏在・現物需給 |
国内建値 | 月中2,420円 | 2,270~2,470円 |
ドル/円 | 155円台~160円台 | 157~160円 |
DOMESTIC DEMAND|自動車・住宅
自動車生産
国内乗用車メーカー8社の国内生産は、6月73万7,488台(前年同月比+6.8%)と2か月ぶりに増加。7月は各社が8月28日までに公表した月次速報を合算すると76万1,142台となった。公的な全国統計の公表を待たず、メーカー速報・業界紙を積み上げた速報値で、国内生産は5月の落ち込みから6、7月に持ち直している。

| 月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
|---|---|---|---|---|---|
| 生産台数 | 約78.9万 | 約68.7万 | 598,817 | 737,488 | 761,142 |
| 前年比 | +8.9% | +2.7% | -0.9% | +6.8% | 速報合算 |
出典|乗用車メーカー8社月次速報、MONOist・マークラインズ等業界公表値。7月は各社速報の合算値。
自動車販売
自動車販売は、6月42万6,884台、7月41万7,163台と前年同月を上回った。一方、9月1日公表の8月軽自動車新車販売速報は10万3,710台、前年同月比▲9.5%と2か月ぶりのマイナス。乗用車も8万69台、同▲10.5%となり、夏場の販売は一服した。9月は中間決算期の販売施策による持ち直しが期待されるが、自動車向け銅需要は販売より生産動向を重視して見る局面となる。
月 | 6月 | 7月 | 8月 |
|---|---|---|---|
販売台数 | 426,884台 | 417,163台 | 軽 103,710台 |
前年比 | +8.6% | +6.8% | 軽 ▲9.5% |
出典|日本自動車販売協会連合会・全国軽自動車協会連合会
INDUSTRIAL DEMAND|住宅・伸銅品・電線
住宅着工戸数
7月の新設住宅着工は66,439戸、前年同月比+8.2%で4か月連続の増加。6月の66,344戸(+18.6%)から戸数はほぼ横ばいながら、持家・貸家・分譲住宅がそろって前年を上回った。住宅関連需要は春先の落ち込みから持ち直しが続いている。

出典|国土交通省「建築着工統計調査」2024年1月~2026年7月。2026年7月分は8月31日公表。
伸銅品生産
日本伸銅協会の発表では、2026年7月の伸銅品生産量速報値は6万240トン、前年同月比+2.2%で2か月連続増。自動車関連が総じて好調で、AI・データセンター向けを含む半導体関連も下支えとなった。

月 | 5月 | 6月 | 7月 |
|---|---|---|---|
生産量 | 52,800t | 約59,000t | 60,240t |
前年比 | +0.1% | プラス | +2.2% |
出典|経済産業省統計・日本伸銅協会・業界公表値。2024年1月~2026年7月(7月は速報値)。
日本電線工業会 出荷速報

日本電線工業会の7月銅電線出荷量は速報値で約5万3,400トン(銅量ベース)、前年同月比+4.3%。3か月ぶりに前年水準を上回り、輸出向けと自動車向けが支えとなった。
月 | 5月 | 6月 | 7月 |
|---|---|---|---|
出荷量 | 45,700t | 約50,000t | 53,400t |
前年比 | -2.0% | 確認中 | +4.3% |
出典|日本電線工業会・業界公表値を参考に作成
TRADE|貿易関連指標(6月確報+7月最新実績)
指標 | 6月実績(確報) | 7月実績(最新) | コメント |
|---|---|---|---|
電気銅輸出 | 約48,000t | 47,790t | 6月から7月も約4.8万tの高水準。 |
銅スクラップ輸出 | 39,737t | 35,443t | 6月比4,294t減。海外向けは高水準ながら反落。 |
電気銅輸入 | — | 1,637t |
|
銅スクラップ輸入 | — | 30,732t |
|
FX|前月の経済指標
月間のドル/円レート(TTM) 8月は月初160円台から一時155円台まで円高に振れた後、月後半は159~160円近辺へ戻した。8月28日の仲値は159.40円。
出典|七十七銀行 米ドル対円仲値一覧・市場公表値を参考に作成
DOMESTIC SCRAP MARKET|国内概況まとめ
8月の国内銅・銅合金スクラップ市場は、LME銅が14,000ドル台へ定着し、17日には現物14,850ドルまで上昇した。米国の精製銅関税観測による在庫移動で、COMEX在庫が積み上がる一方、LMEなど米国外の現物が相対的にタイト化したことが大きな材料となった。国内銅建値も2,400円台を付け、高値圏で売り手・買い手双方が慎重になる展開が続いた。
需要面では、国内乗用車メーカー8社の生産が5月59万8,817台から6月73万7,488台、7月76万1,142台へ回復。一方、新車販売は6月42万6,884台、7月41万7,163台と堅調だったものの、8月の軽自動車は10万3,710台(前年比▲9.5%)と減速した。伸銅品生産は7月6万240トン(+2.2%)、銅電線出荷も5万3,400トン(+4.3%)と改善しており、現時点では販売減よりも生産・部材需要の底堅さが銅需要を支えている。
スクラップ発生は建値2,300~2,400円台で売り時を探る動きが出やすいが、高品位材の不足感は残る。需要家側は高値警戒から買値を慎重にしやすく、込銅・真鍮系や低品位材では歩留まり・選別品質による価格差が広がりやすい。9月は高値継続を基本とするが、米関税関連ニュースによる急変には注意が必要である。
| 自動車生産 | 6月73万7,488台、7月76万1,142台(8社速報合算)と持ち直した流れを踏まえ、9月も高水準を想定。ただしメーカー間の強弱には注意。 |
| 自動車販売 | 7月は登録車+軽で41万7,163台と前年超え。8月は軽自動車が10万3,710台、前年比▲9.5%へ減速した。9月は中間決算期の販促効果で持ち直しを見込むが、需要判断は慎重に。 |
| 住宅着工 | 7月は66,439戸、前年比+8.2%で4か月連続増。春先の落ち込みから持ち直しが続いており、建設・電販向け需要の下支えを想定。 |
| 伸銅品生産 | 自動車・半導体・データセンター向けが下支え。5万8千~6万2千トン圏を想定。 |
| 電線 | 輸出・自動車向けが支えとなり、5万~5万5千トン圏を予想。 |
| スクラップ景況 | 高品位材は引き続きタイト。高値で発生は出やすいが、需要家の高値警戒も強く、品種間格差が広がりやすい。 |
| LME・為替 | LME銅は13,800~15,200ドル、為替は157~160円を想定。米関税・在庫偏在、中国需要、鉱山供給が主材料。 |
橋本アルミの9月判断
9月の銅は「高値継続」を基本シナリオとするが、8月以上にニュースで振れやすい。数量確保を優先する高品位材と、採算重視の込銅・真鍮系で対応を分け、在庫を持ち過ぎないことが重要になる。
※統計確認:住宅着工は国土交通省7月分(8月31日公表)まで反映。財務省6月確報は8月28日更新。自動車生産は6月8社実績、7月各社速報合算まで反映。販売は8月軽自動車速報まで反映。