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【独占BIRマラガ】若手人材の獲得へ「Future Recyclists」始動 リサイクル業界の「見えにくさ」解消に挑む

2026/10/29 01:02 FREE
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【独占BIRマラガ】若手人材の獲得へ「Future Recyclists」始動 リサイクル業界の「見えにくさ」解消に挑む

就職先として考える業界を学生に挙げてもらっても、リサイクルが出てくることはまれである。国際リサイクル貿易協会BIR(Bureau of International Recycling)は、この状況を変えようとしている。BIRはマラガで開いた世界リサイクル大会で、次世代人材の獲得と定着を目指すグローバルキャンペーン「フューチャー・リサイクリスツ(Future Recyclists)」を発表した。リサイクル業界で働くことの実像を若者に伝えるオンラインプラットフォームも併せて立ち上げる。

本誌は、この取り組みを主導するBIR会長のスージー・バレッジ氏(Susie Burrage)と事務局長のアルノー・ブリュネ氏(Arnaud Brunet)に取材し、発足の時期や背景、対象、今後の展開を聞いた。

厳しい就職環境、見えにくい業界の魅力

キャンペーンが始まるのは、若年求職者にとって厳しい局面である。BIRのプレスリリースは、求人情報サイトAdzunaのデータを引き、英国の新卒求人が2026年7月に前年同月比45%減となり、過去最低を記録したと紹介している。同プロジェクトのために実施された独立調査(LinkedInの2022年版「グローバル・グリーン・レポート」に基づく)は、グリーン関連職の需要と供給の間に2%のギャップが生じると予測する。BIRはこれを業界にとって好機であると同時に課題と位置づける。厳しい雇用市場で専門性が高く意義のあるキャリアを提供できる一方、その魅力の発信にはさらなる努力が必要だという。

バレッジ氏にとって、出発点は自身の経験だった。「私は金属リサイクルの4代目で、会員にも2代目、3代目、4代目、5代目という人が多い。業界外から新しい人材を呼び込めていないことに気づいた。リサイクルには認識の問題がある。業界外の人々は、私たちが担っている有意義な仕事を必ずしも理解していない。それがこの構想の種の一つだった」と語る。

ブリュネ氏は別の道筋から同じ結論に至った。弁護士出身で、IT、石油、電子機器の各業界で働いた経歴を持つ同氏は、若い卒業生は「リサイクル業界でキャリアを築こうとは自然には考えない。ほかの業界を思い浮かべる」と指摘する。他業界と同様に人材獲得競争にさらされている以上、業界でキャリアを築く意欲のある若者を引きつける必要があると判断した。

バレッジ氏は、業界は一般的なイメージよりはるかに裾野が広いと強調する。「単に再生資源を回収する人の仕事ではない。会計士、弁護士、海運の専門家、金融の専門家、マーケティング担当者、ジャーナリストなど、あらゆる人材が必要だ。製薬業界はよく話題に上るが、リサイクル業界も一つの産業であり、その存在を広く知らしめなければならない」と述べた。

BIR会長Susie Burrages氏(左)と事務局長のArnaud Brunet氏(右)

まずは「認知」、変わる業界構造

問題は若者が業界の存在を知らないことにあるのか、それとも業界自体がキャリア環境や昇進機会を改善する必要もあるのか。バレッジ氏は、当面は認知の問題であり、BIRが重点的に取り組むのもそこだと答えた。若い世代は地球環境を守ることに関心が高いとみる。「持続可能なキャリアを望むなら、リサイクル業界ほどふさわしい産業はない。若者はグリーンなキャリアに特に関心があり、リサイクル業界はその理想に合致する」と語った。

ブリュネ氏は、業界そのものも変化していると付け加えた。リサイクル業界はかつて家族経営の企業が中心で、外部の人間にとっては入りにくい面があった。同氏は「家族以外の人にも門戸が開かれつつある」と述べ、企業の大型化や合併、プライベートエクイティ(PE)投資の拡大を背景に挙げた。「今後、この業界はますます人材に開かれていく」という。

プラットフォームの中身

「フューチャー・リサイクリスツ」のウェブサイトは現在ベータ版である。BIRがこれまで用いてきた企業色の強いブランディングとは一線を画し、リサイクル業界の内外の学生や卒業生と共同で開発した。編集記事のようなデザインで、Z世代の情報の取り方に合わせた短く手軽に読める「スナッカブル」な双方向コンテンツを特徴とする。BIRによると、テスト参加者の反応は非常に良好だという。

掲載予定のコンテンツは、若手リサイクラーの体験談、リサイクルにまつわる通説を正す事実の紹介、循環型経済における業界の役割の解説、職種を解説するデータベースなどである。業界ストーリー、実践的なキャリアアドバイスをまとめたツールキット、よくある質問(FAQ)、メンター制度のハブ、リサイクル各分野の詳細ガイドといった専用セクションも設ける。

バレッジ氏によると、調査の開始前に一部の大学生に意見を聞いたところ、彼らは内容に強い刺激を受けたという。「これまで考えたこともなかった世界だと言っていた。それで、このプロジェクトには確かに必要性があると確信した」と話す。

ウェブサイトの正式公開は2027年第1四半期を予定している。

会員網を生かし、世界の大学

ブリュネ氏は、現時点で具体的な目標値は設けていないと率直に語った。「正直なところ、具体的なKPIは設定していない。まず公開して、どうなるかを見たい」。サイトが注目を集める自信はあるとし、今後数カ月の課題は、大学や学校など届けたい層にきちんと届けることだと説明した。

そのためBIRは、ブリュッセルの本部ですべてを進めるのではなく、各国の会員網に頼る方針である。「私たちはツールをつくる。BIRはそれを使い、大学を直接訪問することもあるだろうが、会員にもその役割を期待している。73カ国に会員がいるので、各地域でツールを活用し、大学と対話し、連絡を取り、訪問してもらいたい」と同氏は述べた。

対象は欧州や西側諸国に限らない。両氏とも「完全にグローバル」と明言した。BIRで最大の会員数を抱えるのはインドであり(バレッジ氏)、東南アジアとインドで会員が急速に増えている(ブリュネ氏)。中国や日本などの学生も情報にアクセスできるのかとの質問には、両氏とも対象に含まれると確認し、世界規模の展開を強調した。

バレッジ氏自身も大学での活動に意欲を見せる。今年初めのインド・ジャイプールでの講演に続き、豪ブリスベンのジェームズ・クック大学とも協議を進めており、同大学は開催に関心を示している。インド・マテリアル・リサイクリング協会(MRAI)とも親しく、同協会からは、さらに多くの都市や大学で講演するよう求められているという。「始動した後は、世界中のほかの大学とも積極的に関わりたい。招かれれば、喜んで講演する」と語った。

会員企業の関与については、現段階では多くの企業が自社の情報、職種、職務内容の共有に前向きだと説明した。インターンシップや新卒ポジションの提供といったコミットメントには触れなかった。「どの企業も優れた人材を求めている。この業界なら、彼らは大いに活躍できる」と話す。

Future Recyclistsのチーム。ウェブサイトを制作したAMLのDavid Weston氏とHannah Cooper氏、BIRのコンサルタントであるSophy Norris氏も参加している。
(左から)Ibrahim Aboura氏、David Weston氏、Hannah Cooper氏、Susie Burrage氏、Arnaud Brunet氏、Elisabeth Christ氏、Sophy Norris氏

特定スキルの不足はなし、定着率の高さが強み

意外にも、BIRは採用が特に難しい職種を特定していない。バレッジ氏は「特定のスキルが不足しているとは考えていない。そうした分析はしていない」と述べ、「会計士が100人、保険ブローカーが100人必要だと言っているのではない。あらゆるスキルが必要だ」と強調した。問題は、世代を超えて家族で受け継ぐ従来型の経営では将来的に人材が持たない点にあり、業界は外部に人材を求める必要があるとの考えである。

ブリュネ氏は、課題を二つに分けて整理した。「人材の獲得だけでなく、定着も重要な課題だ」。このうち定着について、バレッジ氏は楽観的である。大会の開幕セッションに触れ、この業界に「偶然入った」人は辞めないという指摘があったと述べた。「一度この業界に入ると、情熱に火がつき、長く働き続ける傾向がある。人材を引きつけることさえできれば、定着は容易だと確信している」。そうなると、若者が進路を選ぶ前の段階で業界への関心を呼び起こすことが肝心になる。バレッジ氏もこの点に同意し、「必要なのは、その『前』の段階だ」と話した。

将来は求人の場にも

現在のフューチャー・リサイクリスツは、認知拡大と情報提供のためのツールである。ただ、バレッジ氏はこの位置づけが続くとは考えていない。「いずれキャリアの機会につながると思う。現段階ではないが、将来的には職種の募集や、業界の世界各地の求人を掲載できる可能性がある。それは非常に楽しみだ」と述べた。続けて、「私は21歳のとき、この素晴らしい業界なら世界のどこでも働けると思えた。同じように感じてもらえればうれしい」と語った。

Giulia Zanasso

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