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BIR国際リサイクル会議2026、スペイン・マラガ② 銅スクラップ輸出規制、処理能力なき導入は市場混乱招くと警告

2026/10/29 18:59 FREE
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BIR国際リサイクル会議2026、スペイン・マラガ② 銅スクラップ輸出規制、処理能力なき導入は市場混乱招くと警告

スペイン・マラガで開催されているBIR第157回世界リサイクル大会の初日午後、非鉄金属部門セッションが行われた。議長はBIR非鉄金属部門会長でニュージーランドHayes Metals社マネージング・ダイレクターのポール・コイト。本セッションでは欧州の銅市場の現状と、議論が続く輸出規制案の影響について、経済学者、スクラップ処理業者、銅メーカーという異なる立場からの分析が示された。

コイト氏はセッション冒頭、この業界の醍醐味は常に変化していることだと述べ、スウェーデン・ヨーテボリ大会からマラガまでのわずか数カ月間でも市場環境は大きく変わったと指摘した。一方でエネルギーコストや規制上の課題、サプライの安定性といった「変わらない問題」も存在するとし、本日のセッションはマクロな経済分析から、同じ国・地域の処理業者と消費者という極めて具体的な事例まで掘り下げる構成にしたと説明した。

輸出規制は自動的にリサイクル増加につながらない

最初に登壇したのは、ドイツ・イェナ応用科学大学のフランク・ポテン教授。銅・非鉄リサイクル業者が加盟する新設業界団体「サーキュラー・メタル協会(CMA)」を代表しての発表だった。ポテン氏はまず、「銅スクラップ」という言葉が指す素材の多様性を強調した。EUの銅スクラップ輸出統計を精査すると、その約40%が実際には真鍮であり、素材の種類によって市場の動態は大きく異なる。このことを念頭に置かずして輸出規制を議論することはできないと述べた。

輸出規制が導入された場合の主な影響として、ポテン氏は四点を挙げた。第一に、輸出が制限されても国内リサイクル量が増えるのは、余剰スクラップを吸収できる処理能力が国内に存在する場合に限られる。第二に、価格低下によってサプライチェーン内での利益配分が変わり、処理業者には恩恵が及ぶ一方、収集業者や選別業者のマージンは圧迫され、複雑な廃品への投資意欲が失われる。第三に、電気モーターや合金混合物など、より手間のかかる素材への投資が減退する。第四に、政策によって生み出された価格優位性はそれが続く限りにおいてのみ機能するという、本質的な脆弱性を抱えている。

ポテン氏は、規制論議の重点を「貿易を制限すること」から「リサイクルを促進する条件を整えること」に移すべきだと主張した。具体的には、処理・選別能力への投資支援、エネルギーコストの引き下げ、そしてリサイクル業界と金属産業を対立させるのではなく、両者が高品質な二次原料の需給で協力できる仕組みの構築が求められると述べた。

規制先行では真鍮スクラップが滞留するリスク

次に登壇したのは、スペインの家族経営企業ACINリサイクリング・メタルズCEOのジョアン・カンプマジョ氏。同社は従業員約300人、年間売上高約3億ユーロで、電気モーターや電子廃棄物などの複合廃品の処理に強みを持つ。同氏は、規制の方向性を見越して新たな処理設備に約1億2,000万ユーロを投じたと説明した。その投資の一部は、真鍮スクラップから銅と亜鉛を分離する設備と、エネルギーコスト対策のための自家発電設備だ。

カンプマジョ氏は廃棄物と加工済み廃品を明確に区別し、真の廃棄物段階での輸出規制には一定の合理性があるとしながらも、処理を経て規格品となった素材まで規制の対象にすることには強く反対した。真鍮については特に率直だった。欧州に十分な国内選別・溶解能力が整う前に輸出規制が課されれば、ヤードに処分できない在庫が積み上がる。必要な設備を導入・稼働させるには時間がかかり、規制の想定するスケジュールより移行期間は長くなると警告した。

またカンプマジョ氏は、業界が語られにくい課題として「エネルギーコスト」を挙げた。自家発電への投資を決断した背景には、市場からエネルギーを購入し続けることが採算上困難になりつつあるという現実がある。処理能力への投資は、エネルギー問題が解決されない限り欧州内での競争力を維持できないと述べた。

ラ・ファルガ:二次銅と一次銅の両方が不可欠

218年の歴史を持ち、年間生産量約20万トンのスペインの銅メーカー、ラ・ファルガで原料・調達ディレクターを務めるジョルジェタ・ポスタス氏は需要側の視点を示した。世界の銅需要は現在の約2,800万トンから2040年には4,200万トンに増加する見通しで、欧州域内でも190万トンの増加が見込まれる。電動化、モビリティ、デジタルインフラがその主な需要ドライバーだ。

ポスタス氏は、この需要増を満たすには二次銅と一次銅の双方が不可欠であり、どちらか一方だけでは対応できないと強調した。2026年、ラ・ファルガは銅原料の約70%を欧州から調達しており、その比率を高めることが目標だが、それは適切な品質の素材が市場に十分に流通していることが前提となる。同氏は、欧州全域にわたるスクラップフローの可視化、長期的な供給パートナーシップの構築、そして回収率と素材品質を高める技術への共同投資を提唱した。

合金グレードの不一致は構造的問題

質疑応答でフロアから挙手した出席者は、アルミニウム分野の類似ケースを紹介した。欧州では年間約600万から700万台の廃車が発生し、そこから約100万トンの鋳造アルミニウム合金が回収されるが、このグレードはかつて内燃機関部品の製造に用いられていたものだ。しかし欧州での内燃機関生産が縮小するにつれ、このグレードの国内需要が消滅しつつある。

これはカンプマジョ氏が提示した真鍮の問題と構造的に同じだと指摘された。スクラップの輸出は品質が劣るからではなく、廃品がリサイクルストリームに流入した時点と、それに対応する国内産業の需要が存在する時点との間にタイムラグがあるためにグレードの不一致が生じているのだという論点だ。登壇者はこの見解に同意し、輸出規制の議論においてこの「グレード問題」を政策論議にしっかり持ち込む必要があると述べた。

セッションの最後には、バリューチェーン全体での協力体制の構築、中規模処理業者を対象とした国や欧州レベルの投資支援、そして長期的な供給契約が今後の鍵になるという点で登壇者の見解が一致した。

出所:BIR第157回世界リサイクル大会(マラガ)、非鉄金属部門セッション、2026年10月26日

Mehmet Gönültaş

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