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日本のリサイクル業界が成長するためには?示唆に富んだパネルディスカッション

2015.11.25 13:03

 20日の廃棄物資源循環学会のシンポジウムではすでに関連記事をアップしているが

→(関連記事)リサイクルを成長産業とするための戦略 廃棄物資源循環学会シンポジウム

ポイントは日本のリサイクル業界も曲がり角に立っているということで、大所高所、異分野からも意見提案がなされ非常に有意義なシンポジウムであった。そのシンポジウムの最後に行われたパネルディスカッションをお送りする。

 

 全プレゼンテーションが終わった後、本シンポジウムの主催者、産業技術総合研究所の加茂氏からの趣旨説明となったが、冒頭、「なぜリサイクルをやらねばならないか?」について、「1.やらざるを得ない2.儲かる3.資源及びエネルギーのためになる」という3つの理由が挙げられた。

 

 そのような現状の中で「過去の法律が使いづらくなっている」こと、「法体系のうち、環境基本法、循環型社会形成推進基本法という上位にある精神が、容器包装リサイクル法や小型家電リサイクル法といった下位にある個別の法律に届いていない」という問題が指摘され

「見方によっては、(容器包装リサイクル法も小型家電リサイクル法も)一緒にするということも指摘出来る。よく挙がるペットボトルの例のように、資源としてもっと効率的に使える法整備が必要」と説明がなされた。

 

 「容器包装リサイクル法における入札価格と量」では「容器法リサイクル一つを見ても、小規模の業者が高値で取引するマテリアルリサイクルは入札平均価格は高いが、装置産業であるケミカルリサイクルは入札総量は多いが入札平均価格は低いという2つが並行している状況」が挙げられた。

 

 「国内外の廃棄物処理会社の売上」では、Waste ManagementやVeoliaとJFE環境・JFEエンジニアリング、スズトクGP、DOWAホールディングスの売上を比較し、「大きければいいというわけではないが、日本はもっと集約化が必要である」ことが挙げられた。

 

 「主要国の名目GDPの推移」では、「名目GDPが勢いを表す以上、日本はしょぼくれている。停滞気味であることは考えねばならない」ことを、「各国の人口ボーナスの推移」では「かつては人口ボーナスを上手く使った。これが急激に減り、非常に厳しい」ことを挙げ、いずれも「新しい産業の芽が必要である」とした。

 

 それに対し、「起業行動調査の国際比較」が挙げられ「経済は機だが、企業行動調査で見ても、起業する機会がありながら、失敗に対する恐れのため起業を躊躇している割合が高い日本は特殊。このままではジリ貧」と説明がなされた。

 

 そのような現状の中でさらに「2015 G7エルマウ・サミット 首脳宣言及び附属書」があり、「日本は宿題を背負っている。G7の高い目標に対しどうするかが問われている」こと、その活路を見出す課題として「アジアエコタウンは、確かに展開されているが、中々うまくいっていない。どうやって、アジアで稼いでいくか?」が挙げられた。

 

 最後に現在の状況を、「幕藩体制から廃藩置県、開国へと進む。そのうち、黒船がやってくる状況」であるとし、「だからこそ、今回、行政、市場動向、法律、金融、IT、経営戦略、海外展開という7分野のスペシャリストに集まってもらった」と厳しい状況と共に、解決がまったなしであるという趣旨を説明された。

 

パネルディスカッション 

 主催者である産業技術総合研究所の加茂氏(質問側)、に座長の大迫氏と先のプレゼンテーションを行った7名(回答側)が加わり→(関連記事)リサイクルを成長産業とするための戦略 廃棄物資源循環学会シンポジウム

リラックスした雰囲気の中にも、趣旨に沿い、それまでの個々の充実した密度の濃いプレゼンテーションをお互いに高め合うかのような鋭い意見が交わされた。以下に、その印象的なものをご紹介したい。

 

 加茂氏「EUに対してはどの辺りから切り込んでいくか?戦術は?」

大迫氏「日本が打ち出したものがグローバルスタンダードになるかは疑問。技術を持つことが大切。戦術は行政でも、強い武器を持つ戦略が必要」

佐藤氏「EUが考えていることは産業政策的。お金の循環を考え、国際的な資源循環の中で配分している。日本の場合は国内にメーカーがいると国内のみとなっている」

加茂氏「EUは人の褌で相撲を取るのが上手い」

林氏「REもCEもくそくらえで、EUの場合、メーカーは金だけ払う。日本は連携が出来ている。日本は日本の道を歩めばいい」

 

 加茂氏「動脈静脈が競争しながら(変化する)という方がダイナミックなのでは?」

鈴木氏「作る時から、資源循環のことを考えているという段階までは、まだ到達していないのでは。メーカーの中で、資源が外に出ていかないようにという議論までいっていない。(しばらくは)それぞれがやっていけばいいのではないか」

 

 加茂氏「政策としてやっている動脈静脈連携については、どうなっているのか?」

経産省酒井氏「非対称性を解消するメリットを説明し、EUの事例を上手く使っていく予定」

 

 加茂氏「中古車業界がメーカーの支配を受けたくないという話を聞くが、静脈産業が嫌がることはあるのか?」

林氏「純粋なリサイクラー以外にメーカーの子会社があったから、クローズドループが出てきた。メーカーからの情報提供が、最も効率的な処理のために必要だと思う。そうすれば、静脈産業がいやがるということはないだろう。メーカーに求めてはどうか?」

黒田氏「元自動車業界にいた立場として言えば、動脈産業と静脈産業は、商売の文化が異なる。資本力だけではうまくいかない」

佐藤氏「動脈産業と静脈産業がどう連携するか?で大切なのは、動脈産業が一定の費用を負担するということ。一定数を製造側が引き取るという一つの制度が欲しい。ただ、TPPもあるので、国内だけでは難しい。EUはやっているのではないか?」

 

 加茂氏「法律の話だが、(リサイクル産業を成長産業とするためには、既存のものを)解釈変更する方が良いのか?それとも作り直す方が良いのか?」

佐藤氏「法律は抵抗勢力があるとうまくいかない。自然と、世代交代の中で、業務連携が出来てきている。情報によって変わっていく。その盛り上げを担うことが我々の立場」

 

 加茂氏「(現在のリサイクル産業の)効率はどうか?」

鈴木氏「良いわけがない。GDPで3位でいながら、1,000億を超える(資本の)リサイクラーがいない。日本のリサイクル業界が大きくなれないのは法律が原因。小さいものが守られるといういい面もあるが、非効率は残る。必ず、黒船が来る

 

 加茂氏「金融について。ファンドの棲み分けや目的は今後どうなるのか?」

新井氏「金融には様々な役割がある。政府系になればなるほど公平性に寄る。独立系には、市民やお客が参加出来る。極端に言えば、主観でどうにでもなる。ただ、全ての金融業は循環型社会に対してアグリーだ。でも、立ち位置が異なる。そこにメスが入るようになってきた。例えば、フリーになっているお金として、日本では200~300億円の休眠口座の存在がある。海外では、これは社会のために運用されるが、日本ではようやく議論の俎上に上がってきて議論の最中という段階」

 

 加茂氏「海外展開について。企業規模はどのくらいがありなのか?海外企業については?」

酒井氏「必ず、(日本企業が)こうでないといけないということはない。海外展開もオールジャパンでということではない」

 

 加茂氏「Win-Winでいくと、(大きなもの同士で)より大きくなるということはどうか?」

鈴木氏「地球規模でいい国になればいい。誰がやったっていい。なるべく早く、循環型社会が出来ればいい」

佐藤氏「静脈産業はエリアビジネスなので、大きいかどうかより、拠点がないことの方が意味があるのでは。お互いにハイブリッドになることが必要」

 

 この後、会場からの質疑応答となったが、その中で、「かつてメジャーが日本に進出しようとしてやめたことがあったが、法制度上の問題についてはどうか?」という会場からの質問に対し、林氏より「法制度上は問題ない。いい会社は売らない」、

佐藤氏より「海外にとっては、1,700の自治体に許可を取らないといけないため、ビジネスモデルとして難しい。今後ということでは、入ってこない代わりに、日本(の会社)も大きくなれない。では改正?となると、(改正せずとも)運用面でかなり変える余地があるじゃないか」と回答が続いた。

さらにそれを受け、鈴木氏より「日本は個々は優秀だが、総合化するということが苦手。これから先はコンソーシアム。日本には既に全てある。もう一つ不足しているのは、情報発信力。全体の構成はEUが強い。ストーリーにすることが(日本は)苦手」と鋭いコメントが続いた。

 

 こうして、80分のパネルディスカッションもあっという間に予定時間となり、最後にまとめとなったが、加茂氏より「日本は技術はあるが、発進力とまとめる力が不足している」と、先の鈴木氏のコメントに通じる総評が提示された。

 

 最初から最後まで、新たな発見や課題が見出されるといった、実に示唆に富んだセミナーだった。本セミナーに通底する基調ともいえる「非常に重い課題をそれでも楽観的に解決していかないといけないという姿勢」は、日本にとってのリサイクルを成長産業とするための戦略立案と実施はもとより、世界にとっての循環型社会形成が待ったなしの状況であること、それに対し我々は日々、いかに思考停止に陥りやすいか、留まりがちかを示唆していたように思える。大変な充実の一方で、それ以上に疲労も覚える時間だった。

 

(IRuniverse kataoka)

 

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