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広島に根付き、MAZDAとともに生きるヤマコーのCarToCarリサイクル

写真 広島のヤマコー株式会社(本社;広島県広島市安芸区 山本周二社長)は地域密着型のリサイクル企業である。親会社に自動車部品 開発製造の株式会社ワイテック(Y-Tec)をもち、そのグループ会社のリサイクル部門という位置づけにヤマコーは存在している。地元の誇れる自動車メーカーMAZDAとともに成長してきた企業であり、親会社がMAZDA向けの自動車部品を作れば、ヤマコーはMAZDA関係の工場から発生したスクラップを加工処理することをメインとしており、いわばグループ全体でMAZDAのCarToCarリサイクルに貢献しているのである。

 

 しかしヤマコーはMAZDA向け以外でも、市中スクラップ、ELVリサイクル事業なども手掛けており、レアアース磁石のリサイクルにも挑戦した過去がある。

 

写真 ヤマコーは本社工場、第2工場のほかに海田の公共ヤード、山口県防府市にもスクラップヤードをもっており(*グループ会社の山鋼産業が運営)、海田のふ頭からは内航船を使って月間約15,000トンのスクラップを国内高炉・電炉メーカーなどに納めている。防府は輸出向けのヤードだが、ヤマコーの岡本工場長によると「最近は輸出向けはあまりよくないので国内向けが多くなっている」という。

 

 

 

 

 

 

 

写真

               鉄鋳物加工専門の広島鋼機

 

 また同じくグループ会社の広島鋼機では鉄鋳物用の原料加工を行っている。鉄鋳物用は低マンガン、非メッキの鉄スクラップを加工。これらはMAZDAの関連工場から発生したものをほぼ100%、広島鋼機が処理している。月間に約1,000トンの加工処理を行う。ここで処理された原料は再び自動車用鉄系鋳物に向けられ、CarToCarを実践。20年以上の長きにわたって続けられているということはMAZDAからの絶対的な信頼を得ているということの証左である。ここではマンガン含有0.5%未満のものしか加工していない。

 

写真 MAZDAはこのところ次々と大ヒット商品を世に送り出している。アクセラ、CX-5のヒットでMAZDAの生産台数は増えているが、生産技術向上により歩留まりは良くなったことで反対にスクラップの発生は低下しているという。また、自動車用鋼材のハイテン化、高機能化による錫、クロム分の上昇など、鉄リサイクル側からするとなかなか難しい製品が増えているのだという。スーパーハイテンはマンガンを1.5~2%含んでおり、鋳物原料には向かない材料。

 

 またアルミ材もヤマコーは管理しているが、1000番系、3000番系、5000番、7000番と合金種類は増えており、ヤマコーではMAZDAの関連工場にはそれぞれの合金ごとで管理してもらうように依頼しているという。

 

 自動車メーカーは機能性を出すため、あるいは差別化のために新しい素材、合金成分を使うが、これが多くの場合はリサイクルを難しくするケースが多い。

 

写真 ヤマコーの月間鉄スクラップ扱い量は約3万トンでうち6割が新断。前述したようにほぼ全量を国内鉄鋼メーカー(JFE条鋼姫路、共英製鋼、大和工業、宇部スチール、山陽特殊など)に供給している。

 

 ELV(廃車)は月間400~500台を扱う。広島、山口県内のMAZDA系カーディーラーから引取ってくるものをメインにリサイクル処理している。この処理台数はここ10年でも変わらず横ばい。これもやはりMAZDA系がメインで、取り外した中古自動車部品は全国のマツダ系カーディーラーへ販売している。海外向け中古パーツは圧倒的にニュージーランド向けが多い。というのもニュージーランドはMAZDA車のシェアが高いから中古部品も売れるのだという。

 

 

自動車ハーネスの徹底リサイクル

写真 リサイクルの進化、拡大を図ってきたヤマコーが6年前から取り組んできたのが自動車ハーネスの徹底リサイクルである。自動車用ワイヤハーネスの銅分はかつては60%程度あったが、現在は50%程度だという。これを破砕に破砕を繰り返して(トータル4回の破砕)、篩で選別し、銅分と樹脂とに分けている。ハイブリッド車に多いアルミのハーネスは被覆の色(オレンジ色)によって分けて処理しているという。

 

 出来上がった銅ナゲット(雑ナゲット)は非鉄製錬所送り、樹脂分は安定型処分場に処理費を払って送っているという。

 

 このハーネス処理で銅品位99%のナゲットが出来ているとのこと。自社でELV解体をしたときに発生するもの、外部からハーネスの買取も行っている。以前からハーネスの買取は行っていたが、やはり中国向け輸出全盛時代は全く歯が立たなかったが、最近はハーネスの仕入れは顕著に増えているという。

 

 ちなみに、ハーネスのカプラは真鍮が塗布されていることで、破砕機にかけて真鍮分と樹脂はわけ、樹脂分は前述したように安定型処分場行き、となるが、エアバッグのカプラは金めっきが塗布されていることで非鉄製錬所に送っているという。一連のハーネス処理は元々はレアアース磁石リサイクルマシンだった設備の一部を応用して使っている。

 

 2010年の中国のレアアース禁輸、レアアース価格高騰から2011年は当時の民主党政権がレアアースリサイクルに補助金を供出し、多くのリサイクル企業がレアアース磁石リサイクル設備を導入した。ヤマコーも2012年に設備を導入。1億5000万円かかった(うち半分が補助金)。現時点ではレアアース磁石リサイクルで活躍はしていないが、もしかすると今後にまた脚光を浴びる設備となるかもしれない。前述したようにこちらは一部、ハーネス処理用として設備の一部を使っている。

 

 

 

(IRUNIVERSE Tanamachi)

 

 

 

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