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Battery Summit 2020 電池の今と将来を熱く語る(第一部)

 2020年1月30日、前日までの季節外れの雨続きが嘘のような冬晴の快晴の中、都内学士会館でバッテリーサミット2020が行われた。ノーベル化学賞受賞された吉野彰先生を含む7人が、電池の技術とそれを利用した社会、今までと今後の姿を語られた。吉野先生登場とあって会場は約200名の参加者で埋まった。

 

 

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写真ソニーでの研究開発を通じて「経験は生きて行く肥やし、人を変える」

 元ソニーの業務執行役員上席常務の西美緒氏は、ソニーで40年間、ソニーで電池や音響システムを材料から製品まで幅広く研究開発をされてきた。その研究開発「R&D」の経験を語られた。

 

 子どもの頃から研究に興味をもち、様々な角度からデータを取る姿勢を見せていた。ソニーに入社後、データによる根拠を見せずに「こうなるはずだ」と決めつけた考えを示す上司に抵抗を感じ、データをもとに進める開発スタイルを貫いた。燃料電池開発に始まり、音響材料の開発で実践し、そして米国企業のカーボンナノチューブの論文にも、データの誤りを指摘した。ただ、それに伴う苦い経験もあったと言う。それらは、リチウムイオン二次電池の開発に役立ったと言う。

 

 西氏は、研究開発を進める上で、上からの指示にも自分の意見を述べる大切さを語った。また、上司が開発を止めろと言う「止の谷」を超えるため、説得し、勝つことが重要だと言う。また、現在の研究開発に対して、必要なハードもソフトもすぐ手に入るため、開発過程における開発者の創意が失われてきていることへの危惧を述べていた。西氏は、自分のスタイルを中国の作家老舎が90年前に北京の人力車夫を描いた「駱駝祥子」の言葉を引用した。

 

 

写真古河電池の鉛、ニッカド、はやぶさ搭載のリチウムイオン電池

 続いて、古河電池株式会社シニア・フェローの古川淳氏は、自社の鉛電池、ニッカド電池、そして宇宙の衛星に搭載されているリチウムイオン電池について紹介した。

 

 現在、鉛電池市場は、リチウムイオン電池の市場規模と二分している。ただ、同社でも将来を見るとリチウムイオン電池市場が伸びて行くだろうと予測している。それでも、鉛蓄電池やニッカド電池にもリチウムイオン電池より「悪い点」だけでなく「良い点」も多々あると言う。鉛電池の良い点は、「安い」「安全」「リサイクル率が高い」である。自動車関係は、リチウムイオン電池だけでなく、まだ鉛電池も沢山活躍している。鉛電池を搭載しないクルマは、テスラ―のクルマなど限られた車のみである。そして「安い」理由の一つ簡単に作れるのもメリットである。そのため、鉛電池のメーカーは世界に3,500社と多数ある。また、リサイクル率99%を超えている。

 

 ニッカド電池も急速充電や高温化での充電にも耐える点が優れている。また用途も防災関係だけでなく、鉄道や航空機用など以外と広い。最後に衛星用のリチウムイオン電池だが、様々な人工衛星や「初代はやぶさ」に搭載された。現在の「はやぶさ2」にも搭載されて、採取したサンプルを地球まで帰還させるために活躍していると言う。

 

 

写真偉大な発明リチウムイオン電池の再生利用標準化を含む二次電池の国際規格

 FDK株式会社プロダクト事業推進室シニアプロフェッショナルの寺岡浩仁氏は、ニッケル水素電池とリチウムイオン電池、そして電池全般の国際規格化の進捗を語った。

 

 IEC(International Electrotechnical Commission国際電気標準化会議)では、電池の性能面、安全面そして環境面の3つから標準化を進めている。IEC内のポータブルなアルカリ二次電池やリチウムイオン二次電池などの分科会では、日本人が座長となって活動を主体的に進めている。そこでは、例えば二次電池のリユース、リサイクルの判断を非破壊で行えないか検討し、国際的な標準化に盛り込むことなども含まれている。特に自動車のバッテリーのリユースに関しては、電池工業会(BAJ)だけでなく、JARI(Japan Automobile Research Institute日本自動車研究所)と共同で、特に安全面と環境面から検討を進めている。また、リチウムイオン電池からコバルトなど稀少原材料の再生についても、欧州との会話も始まった。FDKでは、リチウムイオン電池やニッケル水素電池の生産だけでなく、リサイクルにも力を入れて行くと、寺岡氏は語られた。

 

 ここでは講演の概況を紹介する。それぞれの講演の詳細は、別にMIRUに掲載する予定です。

 

 

(K.AKIYAMA)

 

 

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