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ローカルモーターズのマイクロファクトリーは次世代工場のロールモデルになるか?

2020.10.23 09:34

写真・ローカルモーターズという会社

 ローカルモーターズ(Local Motors)は、2007年に起業家ジョン・ロジャースが立ち上げたアメリカの自動車メーカーだ。オープンソースによる車づくり、世界規模でのクラウドソーシングの活用など、異色の経営で知られる同社は、世界で初めて3Dプリンターで車を製造した事で一躍有名になった。

 

 「ストラティ」と名付けられた小型の二人乗り電気乗用車は、2014年にシカゴで開催された国際製造技術展示会で公開され、3Dプリンターで44時間かけて製造された。その後試運転に成功したストラティは、世界で初めて走行に成功した3Dプリント自動車となった。

 

 ストラティが象徴するように、ローカルモーターズの車づくりは大量生産を志向していない。同社は逆に、3Dプリンターなどを使ったオンデマンド・マニュファクチャリングを志向している。そして、ローカルモーターズのオンデマンド・マニュファクチャリングを象徴しているのが同社のマイクロファクトリーなのである。

 

 

・ローカルモーターズのマイクロファクトリー

 ローカルモーターズのマイクロファクトリーを一言で表現するならば、「自己完結的なミニ工場」となるだろう。3Dプリンターやレーザーカッターなどの各種の工作機器を完備し、車づくりに必要な部品の製造をほぼ自己完結的に行う。モーターやタイヤなどの外注部品は必要に応じてオンデマンドで発注する。当然の事ながら、材料や部品の在庫は必要最低限しか備蓄しない。

 

 マイクロファクトリーは基本的に消費地のそばに設置される。製造した車をすぐに供給出来るのみならず、メンテナンスや修理なども効率的に行える。部品交換が必要になったら、3Dプリンターで逐次製造する。従来型の車づくりとは違い、マイクロファクトリーのサプライチェーンは、消費地においてほぼ完結する。

 

 マイクロファクトリーの頭脳たるオフィススペースもそれほど必要ない。インターネットに接続したマイクロファクトリーのオフィスは世界中のエンジニアやデザイナーとつながり、必要に応じてクラウドソーシングで仕事を依頼する。同社の主力シリーズ「ラリーファイター」は、世界中の2,900人のクラウドワーカーが参加し、35,000ものデザイン案をベースにオープンソースで設計されたという。

 

 クラウドワーカーの多くは、自発的にローカルモーターズの車づくりに参加しているという。マイクロファクトリーを中心に、世界規模のローカルモーターズコミュニティが形成されているのだ。

 

 

・消費地のエコシステムとしてのマイクロファクトリー

 ローカルモーターズのマイクロファクトリーは現在、本社があるアリゾナ州フェニックスをはじめ、全米に4か所、ドイツに1か所存在する。いずれも消費地の近くでエコシステムの中核として機能している。

 

 ジョン・ロジャースは、100年前のヘンリー・フォードの時代には、大量生産方式による車づくりが最も適していたと言う。そもそも車そのものが普及しておらず、需要が供給を大きく上回る環境で、メーカーは可能な限り大量生産して市場へ供給する必要があった。結果として資源は浪費され、大量の産業廃棄物や公害問題が発生しても、メリットがデメリットを上回る限り、大量生産方式は否定されなかった。

 

 しかし、地球規模で環境問題が深刻化した今日、そうした従来型の車づくりはもはや受容され得ない。今日求められているのは、必要最低限の規模で、可能な限り資源を無駄にしないエコフレンドリーな工場だ。消費地のエコシステムとなるマイクロファクトリーが、今日の環境に最も適しているとロジャースは主張する。

 

 

・マイクロファクトリーの未来

 ローカルモーターズは最近、ドイツ鉄道と共同で小型自動運転電気バスOlliを開発した。Olliはドイツ鉄道の主要駅と近隣住宅地をつなぎ、住民の足となる予定だが、Olliのメンテナンスはベルリンのマイクロファクトリーで行う。Olliの交換部品などは、マイクロファクトリーに設置された3Dプリンターでオンデマンドで製造される。

 

 なお、Olliを共同開発したドイツ鉄道は最近、自社が運航している鉄道車両用部品の3Dプリンターによる製造を拡大すると発表した。同社は現在約2,000点の鉄道車両用部品を3Dプリンターで製造しているが、来年末までに15,000点に拡大するとしている。

 

 3Dプリンターの性能向上がマイクロファクトリーを成立させる重要な要素になっている事は間違いないが、3Dプリンターの性能がさらに向上する今後、マイクロファクトリーが様々な業界で普及すると筆者は予想している。ローカルモーターズは今後、マイクロファクトリーの数をさらに増やしてゆくとしているが、車以外にも、家電などの分野でマイクロファクトリーが登場してくると思う。

 

 既に一部の家電メーカーが消耗交換部品の3Dモデルデータを公開し、3Dプリンターで製造出来るようにしているが、その延長線上には、消費者の依頼に応じてオンデマンドで部品を製造するマイクロファクトリーがあるかも知れない。今から10年後には、消費地の中心に各種のマイクロファクトリーが生まれていても不思議でもなんでもないだろう。

 

 

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前田健二 (Kenji Maeda)

 経営コンサルタント・ビジネスライター。大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスでビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わる。アメリカのニュービジネス事情に詳しく、3Dプリンター、ロボット、ドローン、ITにおけるニュービジネスを研究、現地のネットワークから情報収集している。

 趣味は料理。好きなお酒はビールとウィスキー。

*3Dプリンターに関するアドバイスのご用命は→MIRUの「お問い合わせ」フォーム又はお電話でお問い合わせください。

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