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レアアース市場近況2021#2 中国希土類管理強化、その裏で動きをみせるアフリカ大陸採掘地拡大

2021.01.18 17:12

 2017年から草案作成が開始され昨年12月に施行された中国輸出管理法。同法は域外適用を含むとし世界から懸念する声が聞かれる中、特に昨年の最終策定段階においてはレアアースが対象となるか否かにつき各関係者が神経をすり減らしていた。こうした中、施行から1か月が経とうとする先週末になって突如、中国は希土類の管理条例案を発表。今後の動向について目をそらせない状況となっている。

 

 一方、希土類の中国依存から脱却しようと前々から各国において進められていた採掘地域及び精製拡大におけるものとして今週は、アフリカ大陸で目立った動きが複数みられている。

 

 この希土類管理条例案は鉱山での違法採掘、違法分離の規制に加えて今回はメタルの工場、リサイクル工場についても言及している。これまで、磁石のリサイクル工場で、違法採掘の希土類精製を行っていた会社もあるのだが、今回はここにもメスを入れる。この希土類管理上案は第1条~29条まであり、輸出については第15条で一言だけ触れられている。いわく希土類の輸出入企業は希土類の貿易管理法の原則にしたがうこと。

 

 これについてレアアース扱いベテラン筋に聞くと

 「まだ案であるゆえ、なにも起きていない。レアアースとなるとマスコミの方々も政治的に騒ぎたてるが、たいして大きな問題ではないですよ。相場も特に反応していません」といたって冷静だ。しかしこのタイミング(米バイデン大統領就任前)での発表はなにか牽制めいた意図も感じる。

 

 

中国レアアース動向最新

 このたび中国が発表したデータによると、2020年の中国レアアース輸出は3万5448トンと前年比23%減(前年は全前年比12.6%減)と、2年連続減少かつ2015年以来の低水準であったとされる。今年の減少に限っていえば、コロナによる触媒用途における海外需要低迷が主要因とみる向きが主流。

 

 しかしながらその一方、世界生産の内およそ90%をカバーする中国希土類の輸出は、世界的な電気自動車や風力設備の急増をバックに足元で急速回復をみせつつあり、2021年以降にはトップパフォーマーとなるとの見方も専門家の間である。

 

 中国の主要な希土類生産者Southern Rare Earth社が、重希土類テルビウム、ジスプロシウム、ガドリニウム、ホルミウムの価格引き上げを最近になって実行した事実はこうした見方の裏付けの一例となっており、また他にも、中国国内希土類永久磁石材料プラントが2020年の後半以降に生産量を拡大しているとの情報もある。

 

 中国希土類に対する世界需要の回復と今後の伸長に自信をみせた中国は、各国間との継続的な貿易摩擦を背景にした政治的意図を含め、希土類管理強化への具体的行動に踏み切った。同条例案は、従来の鉱山開発・精錬分離を対象の中心とするものから、鉱山開発~製品流通までのサプライチェーン全体を適用対象とするものへと範囲を大幅に広げており、同国の本気度合いが伺える。

 

 相場では、磁石用途として近い将来に需要の急伸が見込まれる金属ネオジムが12月に入り急上昇中で過去5年における最高高値を更新中、短期的にみて今後も上振れの可能性が十分にありえる状況となっている。

 

 

金属ネオジウム輸出相場の推移(99% USD/kg FOBChina)5年

グラフ

 

 

酸化テルビウム輸出相場の推移(99.99% USD/kg FOBChina)5年

グラフ

 

 

 また、希土類の代替サプライヤーとして以下を含めて複数の企業が注目されている。

 

 

※オーストラリアLynas株価推移

 前回レアアースショックの際の上昇に迫っていくかとみられる程の、最近の上昇率と出来高。

 

 グラフ

 

 

※American Rare Earths株価推移

 上場(2011年)以来の出来高は今が最も活発。

 

グラフ

 

 

アフリカでは各地で様々な動きが

 希土類の採掘、埋蔵開拓が進められるアフリカでは試験採掘やアフリカ国内に設営される他国企業研究所においてテスティングが進められる一方、その複雑な歴史的背景から、地域によってはプロジェクトが暗礁に乗り上げる例も発生している等、同地域では今、ダイナミックな動きが展開されている。

 

 

アフリカ採掘に全力を傾けるオーストラリアIonic Rare Earths社 ウガンダMakuutu採掘目標を50%引き上げ

 同社はこの度、ウガンダでのMakuutuレアアース採掘プロジェクトにおいて採掘高目標を5割増の450 to 900 parts per million (ppm)と発表。

 

 1998年に設立された同社は、ニカラグアでのSan Isidro gold projectにおいて100%権利を所有しているほかに、同ウガンダプロジェクトでは51%の権利を所有し昨年2月から試験採掘が開始されている。

 

 

※参考:Ionic Rare Earths株価/純利益推移

 同社がMakuutuプロジェクトに着手以降株価は出来高を伴って上昇中であるものの収益はいまだ赤字が続き安定せず。同プロジェクトへの期待が高まる。

 

 グラフ

 

 

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Rainbow Rare Earthsが(南アフリカ共和国)ファラボルワプロジェクトで掘削を完了

 Rainbow Rare Earthsは、同社が南アフリカに所有する研究所において進められていた希土類プロジェクトでオーガー掘削プログラムを完了したとこの度発表。パイロットプラントの運用を成功させ、3トン以上の生産を可能にしたとされ、この成果は2021年の第1四半期に結果が期待されている。

 

 

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Montero Mining and Exploration社 、タンザニア政府に対する訴訟手続き準備開始

 カナダMontero社は2011年よりタンザニアで、「Wigu Hill鉱山プロジェクト」としてレアアース採掘に着手開始していた。

 

 しかしタンザニア政府は2017年に鉱業法を改正し同年3月に金銅精鉱の輸出禁止を発表した後、2018年に鉱業規則を制定、同規則に基づきMontero社が保有するライセンスは全て政府に返還されたものとしてMontero社に通達を行った。これに対して同社は今年に入り、2013年にカナダとタンザニアの間で結ばれた二国間投資協定違反であるとし国際裁判の場で提訴申立ての意思を通知した。

 

 タンザニア政府による同措置に対しては同社の前にWinshear Gold社、Indiana Resources社の2社が同様の訴えを行っており、今回Montero社の行動はこれらの訴えに対するタンザニア政府の対応が待たれる中で起こされたものであった。

 

 タンザニアはアフリカの中でも実質的1党独裁でありながら数年ごとの大統領交代制を敷くなど独特の政治体制をとっており、近年では現大統領のもと、過去に民営化された企業の再国有化政策が推し進められてきていたといわれる。2018年の法改正が現実に執行されることとなれば、今後しばらく殆どの外国企業はタンザニアへの資源投資を積極的に推進することはできなくなるであろう。

 

 過去には長くフランス、イギリス支配下に置かれ、国ごとに性格の異なる事情を持つアフリカ地域において、これら複雑な背景を考慮することなく企業活動が行い辛い事情が明るみに出た例といえるだろう。

 

 

(IRUNIVERSE USAMI)

 

 

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