バッテリー議連発足 国内LiB市場の競争力強化に向け、安倍前首相などが呼びかけ
6月11日、「未来社会を創出する、バッテリー等の基盤産業振興議員連盟」設立総会が自民党本部で行われた。
バッテリー(蓄電池)産業の国際競争力強化に向けた戦略を議論するこの議員連盟は、自民党・三宅伸吾議員他19名の議員の呼びかけと、それに賛同する80名の自民党国会議員によって発足した。安倍晋三前首相が顧問、甘利明税調会長が会長として就任しており、政府が今月決定する「経済財政運営と改革の基本方針」への反映に向け、緊急提言を提出するとしている。
甘利明バッテリー議連会長「現在、世界のEV生産数は600万台。2030年には3,000万台になると予想されている急成長市場。また、バッテリーは車載用としてだけでなく、安定して電力を供給することができる再生可能エネルギーとして、脱炭素時代のインフラの屋台骨を支える重要な基盤ともなる。バッテリー産業の振興は民間事業者だけに任せるだけでなく、国としてしっかりと戦略を練り、政策として市場拡大を進めることが重要と考え、今回の議連発足に繋がった。」
安倍前首相「バッテリーと半導体は、国家の命運を握る重要な産業。国際競争に勝ち抜くためには、両者の発展に対して国家戦略的に取り組み、様々な支援を行うことが必要だと考えている。そのような視点から議論を進めていきたい。」
さらに総会では、LiB開発の功績で2019年にノーベル化学賞を受賞した、旭化成株式会社名誉フォロー・吉野彰氏による特別講演が開かれた。
講演で吉野氏は、最新のデータを用いながら現在の世界のバッテリー市場動向を説明。「崖っぷち」というワードを繰り返し用いて、日本の電池メーカーが置かれている厳しい現状を訴えた。
吉野氏「国内にはEVマーケットが確立していないため、国内電池メーカーならびに電極など電池材料メーカーは、海外企業を顧客に頼み耐え忍んでいる『崖っぷち』状態。世界のマーケットは既にEV化へ向け大きく舵を切っていて、メインプレイヤーは中国からEUへと移っている中、日本だけがガラパゴス状態という危機的状況だ。
また、LiBは単にEVへ搭載する基幹部品という利用方法だけでなく、再生可能エネルギーとしても大きな可能性を持っている。2030年のCO2排出量46%削減という目標達成に向けても非常に有用なエネルギー基盤。人・資金・施策を集中させ、政府、産業界、研究機関が一体となったオールジャパン体制の政策を国家には打ち出してもらいたい。」
総会後の会見で、議連発起人の一人である三宅議員はこう述べた。
「今回、議連で決議した提言は18日に閣議決定される骨太の方針に盛り込まれる予定。また、今後の経済対策や税制改正等に働きかけ、実現を目指していく。先ほど吉野先生も仰っておられたように『崖っぷち』にある我が国のバッテリー産業が世界のマーケットで戦えるよう、政府としてしっかり後押ししていきたい。」
(IRUNIVERSE EMI Kuroki)
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