Loading...

勢いに乗る豪Lithium Australia社 -LMFP正極材のポテンシャル

2021/07/12 18:52

 Lithium Austalia社は、SiLeach®およびLieNA®リチウム抽出プロセスの開発、完全子会社であるVSPC Ltd(Very Small Particle Companyの略)による正極材料の開発、また、リサイクル部門であるEnvirostream Australia Pty Ltdの存在などを通しても、近年めきめきと頭角を現している豪州リチウム企業。今月も、VSPC社を通じて「リン酸マンガン鉄リチウム(LMFP)」正極材料の最初のバッチを潜在的な顧客に発送したとの情報が届くなど、同社のプロジェクトは順調に進んでいるようだ。

 

 声明によれば、今回発送されたのは、同社の第二世代リン酸マンガン鉄リチウム(LMFP)正極粉末で、産業性能基準および物理的特性の仕様をどちらも満たしているとのこと。既存の電池メーカーやその他の潜在的な顧客は、これをリチウムイオン電池での商業テストに利用できるそう。Lithium Australia社のマネージング・ディレクターAdrian Griffin氏は、自社が前例のない能力を示しただけでなく、スケジュール通りに(発送を)実現させたことを喜び、同時に、商業生産の機会を引き続き評価していくとした。

 

 近頃では、中国BYD社、VW社、Tesla社などの大手電池メーカーやEVメーカーをはじめとして、正極粉の材料として世界的に“リン酸鉄リチウム(LFP)”への移行トレンドが見られているが、同じ化学構造を持つことから”LFPの派生品”と呼ばれるLMFPも、LFP同様、ニッケルやコバルトを含む従来の正極材に比べ安価で安全であるとされている。

 

 その上で、同社によれば、LMFPはLFPに比べてエネルギー密度が最大25%も向上しているとのこと。つまり、LFPの優れた特徴はそのままに、より良い性能を持つ、“次世代のエネルギー貯蔵材料”であるものと考えられる。EV使用では、走行距離が伸びるということになろう。

 

 Griffin氏は、自社の開発したLMFPをめぐり、「世界中のほぼすべての電池メーカーから問い合わせがあった」ことをproactive紙に明かしており、「これまで多くの人々がこれに挑戦し、失敗してきましたが、我が社は現在、安定した品質を誇る高性能材料として、この材料を実際に生産できるポジションに居ると感じています」とコメント。商業生産の実現への期待が高まっている。

 

 

(A.Crnokrak)

 

 

*****************************

 豪州シドニー在住。翻訳・執筆のご依頼、シドニーにて簡単な通訳が必要な際などには、是非お声がけください→MIRUの「お問い合わせ」フォーム又はお電話でお問い合わせください。

*****************************

 

 

関連記事

新着記事

ランキング