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自動車資源回収の実証(主にNi)に係るニーズ例〜レアメタルリサイクル環境合同会社(前)

 第8回 新広島資源循環プロジェクト本会議(オンライン)でのレアメタルリサイクル環境合同会社からのプレゼンテーション。同社 永渕弘人氏からの報告。主に、使用済みEVや電子部品MLCC(積層セラミック用コンデンサー)中のニッケルのリサイクルの現状および同社お取組みを紹介。

 

 

ニッケルのサプライ状況

 自動車ニッケル3カ月物は2007年5月につけていた過去最高値(5万1800ドル)を、この3月初旬、約14年10カ月ぶりに更新した。アジアの取引時間帯から買いが先行して2~3割ほど高く推移し、欧州時間の終盤に上げが加速した。つまり実需ではない先物買いで値段が暴騰した。これはロシアのウクライナ侵攻が、その発端である。

 

 ニッケルはステンレス鋼や電気自動車(EV)のバッテリーなどに使われる希少金属で、もともと需給の引き締まりが意識されていた。ロシアは資源大手ノリリスク・ニッケルが高純度品で高い世界シェアを握るなど、供給者として存在感が大きい。ウクライナ侵攻による経済制裁で輸出が滞る可能性への懸念が強まった。

 

 

図Li電池はニッケル、コバルト、MLCCはニッケル、チタン、バリウム

 自動車用電子部品、特にMLCC(積層セラミック用コンデンサー)はニッケル含有率30%と高いが、現在使用済み品は産廃処理されている。また電子部品メッキ液も産廃処理となっている。このスクラップの再生化する実証を行う。

 

 

MLCCからニッケル回収

 半導体など電子部品製造は、コスト他の追求により、生産拠点および技術が東南アジアなどに出て行ってしまったが、MLCCに関しては村田製作所などの装置、材料、技術とも国内にある。そうしたこともあり、国内ではこの市場は非常な活況を呈しており(世界の70%シェア)、その規模は1兆円を超えたといわれている。

 

 MLCCは、いま国内では1個あたり50銭程度だが、中国では1個5円という価格になっており、実需ではなく金融商品として扱われ、買い占めが行われている状況。こうしたことを受け、国内メーカーでも、製品の供給先元を明らかにして販売していく方策を取り始めている。

 

 

図

 

 

では、電池用のニッケルとはどんなものか?

 ニッケル鉱石は硫化鉱と酸化鉱しか存在しない。硫化鉱から作る中間製品には「マット」や「ミックスサルファイド」などがある。これを電気分解し地金を作り、電池に供するために「硫酸ニッケル」、「酸化ニッケル」の形にする。また中間製品のマットからも硫酸ニッケル、酸化ニッケルは作ることができる。こうした工程を現在は非鉄大手が行っている。

 

 また、酸化鉱からはフェロニッケルやニッケル銑鉄が取り出せるが、これは多くはステンレス製造などに用いられる。しかし最近、中国青山集団は硫化鉱から作る中間製品のマットへフェロニッケル、ニッケル銑鉄を用いる手法をスタートさせ、かなり流れが変わってきてもいる。

 

 

グラフ世界のニッケル埋蔵量(単位:1,000トン)

 米国地質調査所(USGS)が2022年1月に発表した「Mineral Commodity Summaries 2022」によると、世界のニッケル埋蔵量は9,500万トン。オーストラリアとインドネシア2カ国で、総埋蔵量の約半分を占める(図参照)。ロシアの埋蔵量は750万トンで、世界第4位。

 

 

グラフ世界のニッケル生産量(2020年、単位:トン)

 世界のニッケル生産量は251万トン。インドネシアが77万1,000トンと最大。次いで、フィリピンが33万4,000トン、ロシアが28万3,000トンで第3位(図参照)。

 

 ロシアには高純度ニッケルの生産力がある。

 ・ロシアにはノリリスクのように、ニッケル生産で世界的な大手企業がある。

 ・EVバッテリーに利用するためには、純度99.8%以上の高純度ニッケルであることが必要

 ・当該製品に限ると世界シェア約2割を占めるなど、ロシア大手は大きな存在感を示している。

 (「ウォールストリート・ジャーナル」紙2022年3月)

 

 

(後編に続く)

 

 

(IRuniverse kaneshige)

 

 

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