出光 豪州でのバナジウム探鉱プロジェクトに参画
出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:木藤 俊一)は、豪州でのバナジウム探鉱プロジェクト「リンドフィールド プロジェクト(“Lindfield Project”)」に参画する。このプロジェクトへの参画に向け、豪州クイーンズランド州にバナジウム探鉱鉱区を保有するクリティカル ミネラルズ グループ社(Critical Minerals Group、以下「CMG社」)のIPO株式32.22%を本日取得した。出資は、豪州の当社子会社である出光オーストラリア(Idemitsu Australia Pty Ltd、本社:ブリスベン)がクリティカルミネラル(重要鉱物)鉱山事業推進を目的として新たに設立した、出光ミネラルズオーストラリア(Idemitsu Minerals Australia Pty Ltd、出光オーストラリア出資100%)を通じて行う。
豪州は鉱物資源に恵まれており、バナジウムをはじめとする多くのクリティカルミネラルが賦存する。同社は約40年にわたる豪州での石炭鉱山の操業で培ってきた事業基盤を生かし、石炭鉱山操業業務と親和性があるクリティカルミネラル鉱山事業への参入を検討してきた。今回のリンドフィールド プロジェクトへの参画は、その第一弾となる。
豪州政府は脱炭素化に向けたエネルギー転換を推進しており、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの導入を促進しているが、導入拡大における課題として電力系統の安定化が挙げられる。この課題解決に寄与する技術として、大容量の蓄電技術が注目されており、バナジウムを電解液に使用するバナジウム・レドックスフロー電池※1(以下「VRFB」)もそのひとつです。同社は今後、CMG社とともに、探鉱・技術コンセプトスタディーを進め、VRFB向けの利用を想定したバナジウム生産の事業化可能性を検討する。
【プロジェクト概要】
1.プロジェクト名: リンドフィールド プロジェクト
2.想定埋蔵資源:五酸化バナジウム(V2O5)・高純度アルミナ(HPA)※2
3.場所:クイーンズランド州・ジュリアクリーク (タウンズビルから650km西)
プロジェクト位置のイメージ図
※1 レドックスフロー電池
バナジウムなどのイオンの酸化還元反応を利用して充放電を行う蓄電池。他の蓄電池が電極の化学変化で充放電をするのに対し、電解液の化学変化(酸化還元反応)で充放電を行う。電極や電解液の劣化がほとんどなく長寿命であり、発火性の材料を用いていないことや常温運転が可能なことから安全性が高く、電力系統用蓄電池に適した特性を持っている。
※2 高純度アルミナ(HPA)
発光ダイオード、時計窓用サファイア等の単結晶材料、高強度セラミックス工具、磁気テープ用研磨材などに幅広く使用されている。近年では、エネルギー、自動車、半導体やコンピューターなど高い成長が期待される分野での需要が拡大している。
【参考】
CMG社概要
・名称:Critical Minerals Group(クリティカル ミネラルズ グループ)
・所在地:Level 7, 50 Cavill Avenue, Surfers Paradise, QLD 4217, Australia
・代表:Scott Drelincourt
・事業内容:バナジウム・金・銅等の鉱物資源探鉱
・URL:https://www.criticalmineralsgroup.com.au/
(IRuniverse.JP)
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